ぬこのイラストブックれびゅう

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雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

いるよねー、とうなずきたくなる「まったくもう」な人々

二人の彼』の

イラストブックレビューです。

 

女子校の同窓会にきた同級生、会社を突然辞めてしまった夫、35歳になった
娘のためにいまでも弁当を作って持たせてくれる母、前妻と別れて
自分と結婚してくれた夫の真実。ちょっと面倒な、でもやっぱり
大切に思う身近な人たちを描いた物語。

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女子校に通った高校時代、不愉快な発言をしては場を凍らせていた
あの子。クラス会で久しぶりに会ってみたら、相変わらずだった。

夫が突然会社を辞めた。次の仕事を探しなさいとハッパをかける妻。
しかし、のらりくらりとかわす夫。そのうち夫は、家事に喜びを
見出したようで…。

35歳で会社に勤める娘のために、未だに立派な弁当を毎日作り、持たせて
くれる母。娘や家の事以外に興味を持って欲しいと思う娘なのだが。

夫に別れた奥さんと子供がいる事は知っていた。慰謝料を毎月払っていることも。
でも支払先は3件。え、なんで?と問いただすと、なんと元奥さんは3人いると
いうではないか!

と、このように身内にいたら結構面倒だなあ、という人たちが登場する
10編を集めた短編集です。迷惑をかけている方の人は、悪気がなく、ごく
自然にふるまっているのだけれども、結果的にはやらかしてしまって、
周りの人がその後始末をしてまわる。そんな関係性が見られます。

やらかす困ったちゃんが、親しくない人間であれば、関係を切ることも
できるでしょうが、母や妹、夫などはそう簡単にはいきません。
こちらが、一生懸命世間的に正しい道へと誘導しようとしても、聞く耳すら
持たない相手には、話を聞いてもらうどころが、向こうのペースに
巻き込まれかねません。

こんな面倒くさい人が身近にいたら嫌だなあ、今のところいないみたいだ
よかったなあ、と思いながら読みすすめていましたが、ふと気付きました。

もしや自分が人をトラブルに巻き込む困ったちゃんなのでは…?

その可能性を全力で否定できないことが悲しくもありますが、裏を返せば
お世話してくれたり、助けてくれる人が周囲にいてくれたのだと解釈し、
とにかくそんな風に手を差し伸べてくれる人の話に、真摯に耳を傾けようと
心に誓ったのでした。

いるよねーこんな人、とうなずくはずが自分が人にうなずかれているのかも
しれないと思わせてくれる作品です。教訓:人のふり見て我がふり直せ。

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