ぬこのイラストブックれびゅう

ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

楽しそう♪走りたくなってきます

まんぷくローカルマラソン旅』の

イラストブックレビューです。

 

野菜を収穫し、みんなでカレーを作る「たんのカレーライス
マラソン(北海道)」。田んぼのあぜ道、栗畑やぶどう畑を走り
抜ける「小布施見にマラソン(長野)」。夕焼けと暗闇の中を走る
「伊平屋ムーンライトマラソン(沖縄)」など、日本全国の
ユニークなマラソン大会をたかぎなおこが走ります! 
観光やグルメも盛りだくさんに詰まったマラソン&旅のイラストエッセイ。

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たかぎなおこさんのマラソンイラストエッセイ。
今回は、日本全国のユニークなマラソン大会へ参加したときの
様子を綴っています。

日本各地で、こんなにおもしろいマラソン大会が開催されているとは!
驚きです。

北海道の「たんのカレーライスマラソン」では、チームを組み、各走者が
担当の野菜を畑からゲットしたり、肉やルーなどの素材を確保。
ゴールで全ての素材が揃い、到着したチームから
カレーを作って食べるという!なんだそりゃ!おもしろい!

たかぎさんチームは友人のイタリアンシェフをメンバーに迎え、なんと
プロがカレーを作ってくれるという!しかもプロが持参の調味料も加えたり
して、それはおいしかったそうな。いいなあ。

当日の様子をマンガ、イラスト、写真でも紹介してくれているのがまた
楽しい。お料理もおいしそうです。

また、沖縄県伊平屋島で開催された「伊平屋ムーンライトマラソン」は
ハーフの部が17時スタート。夕暮れから暗闇に変わっていく景色を眺めつつ
暗くなれば、歩道の植木のイルミネーションが光り、それはロマンチックな
気分で走れるそうです。素敵ですね~。

その土地ならではの楽しい企画がもりだくさんのマラソン大会。
自分はお腹が弱い&トイレが近いので、長距離を走るマラソン大会とか
とても考えられないのですが、こうして疑似体験させてもらえるだけでも
楽しめます。

たかぎさんと名物編集者、かとうさんのやりとりもおもしろい。
本当に名コンビだと思います。そして、登場するたびに何かやってくれる
かとうさん。今回は参加のための飛行機のチケットやら一式を電車の中に
忘れるという・・・ ひええ。しかし何とか無事現地入りすることが
できたのです。なんとかしてくれるような人が集まっているような。
それも編集者の実力なのか?

マラソン前夜にご当地ものを食べて飲んで、マラソン当日に景色を楽しみ、
終わった後は乾杯!で大いに飲む。まるっと全部を楽しんでいるたかぎ
さんの様子が良く伝わってきます。走るのは苦手ですが、ちょっとだけ
走ってみようかな?そんな気持ちになりました。

 

 

彼女が攻撃する理由がカギとなる

デボラ、眠っているのか?

Deborah, Are You Sleeping? (講談社タイガ)』の

イラストブックレビューです。

 

フランスにある古い修道院で、生殖可能な一族とスーパ・コンピュータが発見された。
施設構造は、ナクチュのものと相似。ヴォッシュ博士は調査に参加し、ハギリを呼び寄せる。
一方、ナクチュの頭脳が再起動。失われていたネットワークの再構築が開始され、
新たにトランスファの存在が明らかになる。

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人工生命体「ウォーカロン」シリーズ第4弾。

デボラと名乗る少女がハギリたちを攻撃してきた。その理由は何なのか。

デボラは媒体から媒体、つまりウォーカロンや機器類を移動できる存在。
そして、敵のトランスファも同様。

人類の未来を考えるために、人工生命体が知能を持ち、いずれ人間の
やり方を正していくという。

コンピューターの無数の演算による、限りなく正確な値に近づいた
データは人間には出せないものであろうし、最適なものなのかもしれない。

それでも人間が人工生命体よりも優れている、と思いたい気持ちは
どこからやってくるのか。人間ですら、細胞を取り替えて半永久的な
肉体を手に入れることができているというのに。

人間を乗っ取ろう、あるいは支配に置こうと考える人工生命体は
それが最良の結果と判断したに過ぎない。そして、彼らには彼らの
正義に基づき行動している。そのプログラムを作ったのは人間
なのだ。

機械にはない、発想力を持って人間はどのように戦っていくのか。
ウグイとハギリという優秀なボディガードを従えて、優秀な科学者で
あり、常に同時に哲学的思考を持つハギリ博士とヴォッシュ博士が
その知能を持って、挑んでいく。

人工知能の可能性の広さに驚き、人間の稼動範囲の限界に嘆息し、
さらに人間の持つ無限の発想力に期待する、そんなSF近未来
ファンタジーです。次刊でどのような結末を迎えるのか。
人間と人工生命体の未来はどうなるのか。楽しみです。

スピリチュアルの観点で子育てする

スピリチュアルかあさんの魂が輝く子育ての魔法

(メディアファクトリーのコミックエッセイ)』の

イラストブックレビューです。

 

子育てには決まったルールはありませんが、それぞれの植物に適した
光や水のやり方があるように、その子の魂がもっとも輝くことのできる
「グランドルール」というものが存在します。
ルールについて楽しく、わかりやすく紹介します。

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いろいろと『見える』『交信する』ことができる作者のおかあさんが
スピリチュアルの観点から子育ての秘訣を教えてくれる。

3人子供がいると『子育てのベテランですね』と言われることがありますが
とんでもありません。
当然ですが、3人とも性格はバラバラです。同じ事を言っても、極端に言えば
全員解釈が異なったりします。まあ、違う人間なんだから当然か。

それで、異なる3人の『本質』ってなんなのかなあとたまに考えます。
『本質』とはスピリチュアル的には『魂』に近いのかな?
本人が夢中になって何かに取り組める、そんな環境を与えてあげられると
いいなあと思ってはいるのですが、なかなか難しい。

忙しくなってくると、つい声を大きくしたり、あとであとでと言ったり。
のちほど後悔の嵐が訪れることもしばしば。

目の前のことにとらわれがちになってしまいますが、本書ではちょっとした
空き時間でできる瞑想法なども紹介。睡眠時間もとりづらい産後間もない
お母さんにはこうした方法は手軽にリフレッシュできていいですよね。

『5歳までが大事』というところも目が惹かれます。この時期は家作りで言えば
基礎作りに当たる部分。『承認の土台』を作ってあげることで、しっかりとした基礎が
でき、その後どんなことが起こっても土台がぐらつかない。
子供を認めてあげる『承認』をすることで『安心』が生まれる。
そしてしっかりとした基礎となっていく。なるほど。肝に銘じます。

ほかにも、子供が生まれてからの夫婦の様子や、夫の子供への接し方、
作者の祖母や父親などの日常エピソードも楽しく紹介しています。

スピリチュアルだからといって、そうかけ離れたわけのわからない話を
しているのではありません。本質的には常々言われているような
内容であると思います。しかし、視点が変わると新鮮でおもしろい。
そして頭に入っていきやすいように感じます。

心に沁みる 食卓の景色

ぶたぶたの食卓 (光文社文庫)』の

イラストブックレビューです。

ぶたぶたの食卓 (光文社文庫)

ぶたぶたの食卓 (光文社文庫)

 

 

見た目は愛らしいぬいぐるみだが、中身は心優しき中年男・山崎ぶたぶた
彼が作る料理は、どこか懐かしく切ない思い出の味だ。
大好きだった祖母が作ってくれたチャーハン、遠い夏休みの記憶を喚び
起こすかき氷…それらが、傷つき疲れた人々の心をときほぐし、新たな
一歩を踏み出す勇気を与えてゆく―。
心の奥をほんのりと温めてくれる、傑作ファンタジー。

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ぬいぐるみが主人公、必ず食にまつわる物語、というしばりがありながら
シリーズはもう20冊近くも出ている。
こういったファンタジーものも嫌いではないので、買ってはみたものの
まさか10冊以上買い続けるとは思わなかった。

このぬいぐるみのぶたぶたさん、見た目がほんとにかわいいぶたのぬいぐるみ。
そして中身が節度ある、とてもやさしい中年男性なんです。いいですね。

料理にまつわる物語ですから、まずはぶたぶたさんが何か料理を作ります。
その料理する姿を見て登場人物は驚き、周囲の人がナチュラルに彼に
接している事に2度驚き、そしてかわいい見た目に反してとても常識的な
思いやりのある中年男性であることに3度驚くわけです。

これはどの話でもパターンとして出てくるのですが、不思議と飽きない。
きっと登場人物の年齢や性別、生きてきた環境が違うために、ぶたぶたさんを
見た反応も千差万別だから、ということなのでしょう。

今回のぶたぶたさんはさすらいの料理人よろしく、料理教室の講師をしたり
カフェのマスターをしたり。

なかでも印象に残ったのは、祖母が作ってくれた思い出のチャーハンの話。
若いOLがふと入った中華屋で思い出の味に出会う。このチャーハンの味を
提供してくれたのは・・・ ぶたのぬいぐるみ。

ぶたぶたさんにチャーハンのレシピを教えて欲しいとお願いしたところから
祖母の空白の期間が明らかになってくる。そして、祖母がOLの彼女と、彼女の家族を
広く、心から大事に思っていた事も。

心のちょっぴりひりつく部分を、やさしく手当てしてもらっているような
そんな気分にさせてくれるファンタジー。
20代のOLから50代のサラリーマンまで、幅広い年代に楽しめる作品です。

「また作って!!」と言われるおやつたち

おやつですよ―くり返し作るわたしの定番レシピ集』の

イラストブックレビューです。

おやつですよ―くり返し作るわたしの定番レシピ集

おやつですよ―くり返し作るわたしの定番レシピ集

 

 

この本のおやつは、実際の作業時間が15分前後の簡単なものばかり。
寝かせたり冷やしたりする間は、お風呂に入ったり本を読んだりして、
日々の暮らしの中で気楽に作れるお菓子のレシピ集。

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お菓子本ではベストセラーとなった『まいにち食べたい“ごはんのような”
クッキーとビスケットの本 』の著者であるなかしましほさんが手がけた
手軽なおやつのレシピ集。

A5版というやや小さめの判型ですが、時代に流される事なく長く売れて
いるレシピ本て、意外とこの大きさだったりします。その昔は、レシピ
の文字組みが3段だったりして。

その流行を追わない、そしてお菓子そのものもスタイリングも素朴で
懐かしく、作り方もシンプルというのがとても好ましい。
個人的に甘いものは好きではありません。
しかし、お菓子づくりは焼いた後や、冷やした後の形状の変化が楽しいので
結構好き。でもレシピ的に甘すぎるとやはり食べ切れなくて・・・

こちらのレシピは、砂糖の量もそんなに多くはないと思います。
口の中に甘ったるい風味が残るのが嫌なのですが、さっぱりと
いただけるものも多いかと思います。

個人的には粉のおやつの項が好きで、全粒粉のパイ、バタークッキー、
たまねぎビスケット、モカロールにチャレンジ。
子どもたちはうんうん、と言いながらもくもくとたいらげていました。

それぞれのレシピについて、ちょっとしたエピソードがついていて
こちらも楽しい。中でも、思い出のおやつで母親がこんなときに
作ってくれて・・・ なんて話が出るとほっこりします。

そしてスタイリングが全体的にセピアっぽい。暗くはないです。
落ち着いていて、午後の日差しがダイニングに伸びているような
なんとも懐かしい雰囲気。

手にとって眺めているのも良し、食べたいレシピに挑戦するも良し。
肩肘張らずにのんびりと、作る楽しみも感じられるレシピ本です。

がんばれ書店員!素直にエールを送りたい

書店ガール (PHP文芸文庫)』の

イラストブックレビューです。

書店ガール (PHP文芸文庫)

書店ガール (PHP文芸文庫)

 

 

吉祥寺にある書店のアラフォー副店長理子は、部下亜紀の扱いに
手を焼いていた。協調性がなく、恋愛も自由奔放。
仕事でも好き勝手な提案ばかり。一方の亜紀も、ダメ出しばかりする
「頭の固い上司」の理子に猛反発。そんなある日、店にとんでもない危機が……。
書店を舞台とした人間ドラマを軽妙に描くお仕事エンタテインメント。

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書店員のお話、というのはいろいろとあると思うのだけれど
この『書店ガール』は、自分にとって共感度がすごく高い。
副店長、新人、アルバイトなどなど、特に誰にというわけでは
ないが書店という職場、それぞれの立場、働き方・生き方に
深く納得してしまうのです。

もと出版社勤めとしては、比較的版元寄りの目線で見て
おります。書店営業も経験しましたが、この業界、好きじゃ
なきゃやってられませんよ!

新刊が毎日どしどし入ってきて、棚の入れ替え、返品業務、
受注発注で体は使うわ、お客様には気を使うわ。

気力・体力共に大変なお仕事でもありますが、売上が出せず
ビルから撤退の危機・・・ というのは某新宿紀伊国屋書店
南口店を思い出します。

それでも副店長、理子はなんとかしようと奮起するわけです。
そんな事情を知らないはねっかえり娘の亜紀との衝突も見ものです。
イデアを豊富に持ち、実行するパワーを持つ亜紀、そして運営側
から冷静に判断し、時にストップをかける理子。

女性ならではのかんぐりも多少発生しますが、それでもいやな印象を
受けないのは、共に『本が好き、書店が好き』という強い気持ちを
持っていることがビンビンと伝わってくるから。

こういう気の強いパワフルな子が部下にいると、面倒だけど
おもしろい企画をどんどんやれそうだな、と思わせてくれるので
どちらかといえば理子に気持ちが近いかな。年代も近いし。

そして2人を隔てる壁がとっぱらわれた時。
ともにプロジェクトを達成した同志として、深い絆が生まれます。
困難な仕事を乗り越えた後ほど、信頼度が高まりますよね。
そこが感じられるのもいいんです。

たまに、つらいのに、なんでこんなことやってるんだろうと
思うこともあるけれど、障害があるからこそ自分がこの仕事が
『好き』ということに気付けるんですね。

『がんばれ諸店員!』と素直にエールを送りたくなる、
そんな物語です。

読んだら速攻 行く店と日にちを決めよ

東京無敵のビールめぐり』の

イラストブックレビューです。

東京無敵のビールめぐり

東京無敵のビールめぐり

 

 

 誰もが愛する正統派のビアホールから銭湯帰りの一杯、
各国ビール飲み比べ…
東京でとにかく美味いビールを飲める場所30軒を巡る!

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暑い季節は外で飲むのが好き!

寒い季節には、暖房がガンガンに効いたお店で
ビールをぐいっとやるのも好きです。

こちらは東京都内でビールがおいしいお店をイラストエッセイで
紹介しています。

ビアホールに居酒屋、ブックカフェに地ビールを出して
いるお店まで。その形態は多種多様です。

ライオン銀座店なんかも載っています。自分は東京に住んで
20年以上になりますけれども、まだ行った事がない!
銀座ではないですが住まいのわりと近くにも店舗が
あるというのに!!

老舗ビアホールのおつまみメニューはポテト!ソーセージ!
肉!ピザ!・・・と『ビール持ってこーい』となるものばかり。
イラストでも本当においしそうなんです。

そして、何よりビールがね。注ぎ方にさすがのこだわりが
あるとのことなのでぜひ飲んでみたい!

ほかには下町酒場めぐりと称して居酒屋を紹介しています。
ここで『赤星の法則』というものが。サッポロの赤星ラベル
ビールを置いている店には基本的に美味いものが置いてあるそうな。
赤星ラベルとは、熱処理ビールのこと。現在ではほとんどのビールが
『生』でありろ過方法をとっているため、熱処理はしていない。
熱処理を加えているビールはキリンクラシックラガー
こちらのサッポロ赤星ラベルくらいらしい。ろ過していないので酵母のうまみが
残るようです。

うーん、美味いビールに美味い酒。最高の組み合わせですよね。
思わず長居してしまいそう。

こんな魅力的なお店が、2人のイラストレーターの食欲&飲みたい欲を
そそるイラストと、詳細な説明で紹介されています。
ビール自体の説明や、各国ビールの銘柄、そしてビールと組み合わせたい
おつまみなど、ビール好きなら喜ぶ情報が盛りだくさん。

ちょっと友人に連絡して、暑気払いの計画立てようかしら。