ぬこのイラストブックれびゅう

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雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

シンプルでシックで快適に生きるコツ

フランス人は10着しか服を持たない 

パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣 』の

イラストブックレビューです。

 

典型的なカルフォルニアガールだった著者が、
フランスのマダム・シックから教わった毎日を
特別の日のように過ごすコツ。

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2014年10月に発刊されて以来、70万部超えるベストセラーと
なった本書。時はやましたひでこさんの断捨離ブームからはじまり、
近藤麻理恵さんの『人生がときめく片付けの魔法』がミリオンセラー
となった頃。

「とにかく捨てねば!」とやたらと捨てた後に、「ときめくものだけ
手に置いて」と諭される。そして今度はフランス人と来たもんだ。
やましたさん、近藤さんの著書と比較して、洋服を前面に打ち出して
来ています。そして10着!とキッパリ言い切ったところが
インパクト大でしたね。たった10着であのおシャレなパリの
マドモワゼルやマダムはやりくりしてるっていうの!?
ってな話です。

これは片付け本ではありません。生き方について指南してくれる
本です。でも、洋服10着というのもこうした生き方に繋がって
いくのです。

アメリカのカリフォルニアで育った著者は、パリへと留学することに。
ホームステイ先のマダム・シックのお家は落ち着いていて、
その名の通りとてもシック。家族は皆パリッとした素敵な服装。

最初に驚いたのは食事。決められた時間のみに食べて、間食はしない。
そのかわり、しっかりとした栄養たっぷりの食事をゆっくりと、
味わっていただく。

洋服は自分によく似合う、ちょっぴり良いもの。それこそ10着で
いいので本当に似合う服を、頻繁に、そして大切に着回す。
アクセサリなどの小物を上手に使って、気分を変えてみる。
そして、ほんのそこまで出かける時でも、決してスウェット&
スッピンで出かけないこと!!朝のゴミ捨てとかね!!

アメリカの大らかというか適当な生活からやってきたら
かなりのカルチャーショックでしたでしょうね。
でも、著者は若者の利点である柔軟さで、パリでの暮らしに
美点を見つけすぐに馴染んでいくのです。
お世話になったお宅が貴族の家柄で、フランス人のなかでも
とりわけキッチリと生活を営む家庭であったのが功を奏したのでしょう。
最高のお手本のお家でパリ生活を満喫したのですから!

食材、料理、ワインは吟味して選び最高の形で供する。
洋服は、本当に自分に似合ったもの、自分を美しく輝かせ、
そして少し値段が張っても良いものを選ぶ。
会話では、相手のプライバシーを訪ねたり、逆に聞かれてもいない
自分のことを話すのではなく、音楽や美術、本など教養のある
話題を提供すること。
インテリアでも洋服でも、良いものを普段づかいすること。

…などなど、なるほどシックねえ~、と頷ける 内容ばかり。
日本で暮らす標準的なオバさんである自分は、洋服10着に収める事に
ぜひチャレンジしたいなあと。クローゼットの中身は定期的に
処分していて、オールシーズンの洋服がタンス引き出し三本分に
収まっている状態。しかし、最近は体型が変化してきて、
今までの細身系の服を着るとちょっとカッコわるい。
でもパツパツじゃないからな、まだ着れるよなあ~っていう
服がいくつかでてきたのです。これ書いてて思ったけど、もう
捨て時だなこれ。

というふうにどういう風にだ?読むとその場でいくつか実行したく
なるのがこの本の最大の利点ではないでしょうか。
アメリカ生まれのイケてない女の子が、ステキな文化と人物たちに
出会い、そこを目指していく、という姿が読者の共感を得るし、
失敗も繰り返していると素直に語る著者だからこそ、安心して
こちらもチャレンジできるのです。

ファッションも大事ですが、服を纏う自分の体づくり、言葉を発する
ための教養作りに日々邁進するパリジェンヌやマダムたち。
完全に追いつくことは無理かもしれないけれど、少しずつ、無理の
ない範囲で取り入れていけば、残されたものの中で光り輝く自分に
出会えるかもしれません。