ぬこのイラストブックれびゅう

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雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

会社の、仕事の正義はどこにあるのか

七つの会議 』の

イラストブックレビューです。

 

 

大手総合電機メーカー、ソニックの子会社である東京建電で活躍する
営業一課の坂戸課長が、年上の部下である八角に、パワハラで訴えられた。
これをきっかけに、社内でのいろいろな問題が明るみに出る。

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営業一課の「居眠り八角」と呼ばれる、八角はその名の通り会議中も居眠りを
していて、営業一課にいながら誰よりも遅く出勤し、誰よりも早く帰るという
ぐうたら社員です。そんな彼が、優秀な坂戸課長をパワハラで訴えます。

坂戸課長が、八角に対してきつく叱るシーンはありましたが、まあ、あれだけ
働かない部下を持ったら、坂戸課長だって怒鳴りたくもなるよなあ、と周囲は
同情的。パワハラ委員会があるから、形だけ審議したことにしておきたいんじゃ
ないの。などと囁きあっていたら、なんと坂戸課長は異動。人事部付となって
役職を外されます。

あまりの処分の重さにざわつく社員たち。坂戸課長と違って、毎月の会議で
部長から絞られまくっていた営業二課の原島課長がスライドして一課へ。
原島課長が最初に取り組んだのは、坂戸課長時代に一度取引をやめたネジ会社へ
再度取引を依頼することだったのです。

営業部長、営業課長、営業課の事務担当の女性。それぞれの立場で、東京建電の
中で働います。そして、会社の中では実に様々な出来事が起こっています。
不倫や不正、部署間での確執など、まさに全国のいろんな会社で起こっている
のでしょうなという内容です。

特に、営業と経理のやりとりでは、数字上での問題を営業に指摘し、改善を求める
様子などは自分がいた会社でも日常的な光景でしたね。営業からしたら、金の
ことはともかく、仕事の中身まで口出しするんじゃねえよって話です。
営業の主張も一理あるとは思うのですが、こうした別部署からの指摘が、監査機能の
一角を担っていると言ってもいいのかもしれませんね。経理も納得するような
説明をするべきなのでは。

経理のみならず、カスタマー室長などからも、疑惑の目を持たれる営業課。
昔は優秀だったという居眠り八角が調査し、明確になった事実は…。

会社の売り上げ目標を達成しようと必死になる。会社のために身も心も捧げて働く。
不倫をする。しかも自分の都合で別れたり、また付き合って欲しいと言ったりする。
やっていることの種類が違う、とは思いますが、どれも根っこにあるのは正義や
倫理観。

どんなに追い詰められても、それは人として正しいことなのか。
悪いことは悪い、と認め、謝罪することができるか。そのことで、立ち直れないくらい
ダメージを受ける結果を招くとしても。 会社で働く、ということは、同時にその
覚悟をしっかりと持ちなさいよ、ということなのかもしれません。

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