『彼が通る不思議なコースを私も』の
イラストブックレビューです。
友人がビルから飛び降りようとしている現場で、黒づくめの男に
出会った霧子。
後日、霧子は彼に再会し、次第に惹かれて行く。
優秀な小学校教師である彼、椿林太郎にはある秘密があった。
結婚した2人は、互いに仕事に尽力していくが、自ら単身赴任し、
激務に疲れ、夫婦生活のあり方に疑問を持つ霧子は、林太郎に
子供が欲しい、と相談するが…。
林太郎は、相手の寿命がわかります。
林太郎にとっては、死は必ず訪れるものであり、変えられるものではない、
と言います。だから寿命は変えられない、でも死に方は変えられる、と言うのです。
相手の寿命がわかる故か、林太郎は特に教え子である子供達を大事にします。
子供の心を支えるのは愛された、大事にされた記憶。
これがあればあるほど、生きる力になるというのです。
一方、霧子は林太郎からその話を聞いた時に驚きますが、これまでの
彼の行動を思いだし、納得します。
しかし、霧子のすごいところは、諦めないところ。
寿命は変えられないと言うけれど、そんな事はない。
強く願えば変えられるんじゃないか、と考えます。
そして衝撃のラストに向かっていくのです。
生と死、障がいのある児童へのケア、人と人とのつながり、運命というもの…。
いろんなものが交錯していて、一言では言い表せないなあ、というのが
正直な感想です。
ラストは『あっ』となる結末で、なるほどタイトルはそういうことなのか
と納得しました。
人の寿命が見える林太郎は、孤独で虚しい気持ちで生きてきたのかなと
おもいます。ちょっぴり気が強くて、目の前の事に一生懸命になる霧子は
彼にとって大事な支えとなっているようです。
運命は変えられない?それとも変えられる?
この本読んだ後、あなたはどう思うでしょうか。