ぬこのイラストブックれびゅう

ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

コミュニケーションは技術であり、武器である

『まんがでわかる 伝え方が9割』の

イラストブックレビューです。

 

まんがでわかる 伝え方が9割

まんがでわかる 伝え方が9割

 

 

まんがでわかるシリーズは世の中に数多く出ていますね。
ビジネスに関するもので、手早くエッセンスを理解したい
場合には、まんがは良いツールだと思っています。

こちらはシリーズ90万部突破のベストセラー「伝え方が9割」の
まんが版。
念願の女性ファッション誌『BB(ビービー)』編集部へと異動した舞。
だがわがままな女優に振り回されたり、モデルの説得に苦労し
たり、デザイナーに手直しを却下されたりと思い通りにはいかない
日々。

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そんな中、ある日謎のオネエと遭遇。そのオネエ、マリアは、舞に
「伝え方ひとつでノーをイエスに変えることができる」とアドバイス
最初は半信半疑のまま、マリアの言う通りに「伝え方」を変えていく
舞だったが、実践するうちにどんどん結果が出始めて……。

伝え方がなっていない若い女性編集者に対して、実績ある(?)
オネエがその伝え方のコツをわかりやすく伝授していきます。

この2人、キャラが立っていて、会話の応酬がテンポ良く、
気持ちよく読み進めていくことができます。
女性編集者、舞は頭で思ったことをそのまま伝えてしまって
います。結果、仕事がうまくいかないのですが、これは
誰でも心当たりがあることなのではないでしょうか?
会社にいた頃は、毎年新人がこんなかんじで何か
やらかしていましたねぇ。もちろん自分もですが。

モデルへの伝え方、デザイナーへの指示の出し方。
編集部という現場での設定でしたが、他の職業でも充分に
応用が利きます。客先に対しての対応、業者への発注などなど。

読み進めていくうちに、ああ、これは確かに先輩から
学んだことが多かったなあと思います。
というか、教えてもらえないことも多く、勝手に盗んでいたかな。

編集者、舞ちゃんは猪突猛進。失敗も数多く起こりますが、それは
立ち向かう勇気があるからこそ。失敗は何かを得るためにある。
そう思わせてくれる女性です。

互いに納得のいく結果を導くには、やはり相手のことを
理解すること。自分のことを理解すること。
互いが良い結果を得るようにすること。
そこを大事にしていけば、良い結果を生み出す伝え方が
できるのかなと思います。

 

夢の中で生きる事はすばらしい?

『私たちは生きているのか? Are We Under the Biofeedback?』の

イラストブックレビューです。

 

 フランスの博覧会から脱走したウォーカロンたちが
潜んでいるという場所へ訪れたハギリたち。
そこは富の谷と呼ばれ、警察すら立ち入らない閉ざされた場所。
そこでハギリたちが目にしたものとは。

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ウォーカロンシリーズ5作目、最終巻。
人工知能であるウォーカロンと人間の識別装置を研究開発している
ハギリ博士は、常にウォーカロンと人間の違い、人間の生に対する
価値観を考えながら研究を続けています。

今回訪れた場所では、人間が1人にあとは全てウォーカロンが住んでいます。
その人間に案内してもらった場所とは、ウォーカロンの脳のみが
保存され、各種コードに繋がっています。
このウォーカロンたちは、機能としては生きています。
彼らは自分たちが築き上げた理想の世界に住んでいるのです。

病気にもならず、怪我もしない。
美しく整えられた環境に身を置き、快適に過ごしています。
欲しいものはプログラミングすれば、手を汚す事なくすぐに手に
入れることができます。

このバーチャルの世界に招待してもらったハギリ博士。
理想的で美しい世界。しかし、肉体はここにあらず。
現実は雑多で、嫌なものもたくさんある。
怪我をしたり、疲れたり、不愉快な思いをすることもあるけど
それは肉体を持って生きているから。

肉体を持たずに、夢の世界で理想的に過ごすのは
快適かもしれないけど生きている実感はないのかもしれません。
しかし、この理想的な夢の世界に行きたい、とウォーカロン
思うこと自体、人間の思考に近づいていることを
示しているのかもしれないなと思いました。
あらゆるしがらみから離れたい、そういった感じでしょうか。

研究者でありながらも生きるということの意味を考え続けている
ハギリ博士。人間と人工知能の境界が曖昧になって行く中で
人間の余計な機能ばかりが目についたりします。
儀礼的なやりとりとか、きまぐれな態度とか。
そんな生きていくにはムダなこととも思える要素こそが、人間に
魅力を持たせ、生きる事に楽しみを与えているように思います。

科学的な記述もありますが、難解ではなく、楽しんで
読むことができるシリーズです。全て読み終わる頃には、
登場人物たちが頭の中で出来上がり、動き出してくるようです。
人工知能あり、アクションあり、生きることについての命題ありと
読みどころが満載のsfアクション小説です。

本たちが心地よく住まう場所

『世界の夢の本屋さん』の

イラストブックレビューです。

 

世界の夢の本屋さん

世界の夢の本屋さん

 

 世界の本屋さんを、質の高い写真を豊富に使って紹介する
ビジュアル解説書。
ベルギー、オランダ、アメリカ、イギリス、フランスなど、
建築的にも見所が多く、また品揃えにもこだわった
本屋さんなど、多くの写真を用いて紹介しています。

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たとえば、イタリアの小さな町にある本屋さんは、17世紀に
建築されたもの。町の人々が集い、レジに行列ができるほどという
そのお店は、重厚でありながら明るく、あたたかな雰囲気です。
あるフロアの壁には壁画が!18世紀末に描かれたものを修復したそう。
この場所はサロンとして使用されており、音楽界などのイベントも
催されるのですって。地元に愛される歴史ある本屋さん、素敵です。

そして、こちらはこだわりの品揃えを持つベルギーの本屋さん。
フランス語で「第九の芸術」と言われるバンド・デシネの専門店。
バンド・デシネはいわゆる漫画ですが、本は分厚く高価であり、
文字もビッシリ。大人が夜に、ブランデー片手に暖炉の前で
ゆったりと楽しむものです。
このバンド・デシネの専門店はポストカードや缶バッジ、フィギュア
なども並び、馴染みのあるビジュアルです(笑)。
なんと日本の「MANGA」コーナーもあり、目玉の一つだそうです。
すごいですね。

ほかにも見ていてわくわくしてしまう本屋さんがたっぷりと掲載
されています。建物、インテリア、品揃え、そして店長や書店員
へのインタビューも、その本屋さんを知る上でとっても良い情報
となっています。

こちらの本、価格が税込み4104円と結構なお値段。
ちょっと悩んだのですが、いつまでも何回も繰り返して
読むだろうなと思って買ってしまいました。
実際、買って2年くらいは経つかと思いますが、ぜんぜん
飽きません。本好きさん、本屋好きさんにはたまらない
内容だと思います。

勢いあまって2巻までまとめて買ってしまったのですが(汗)
そこで理性にストップかけていったん停止中。
でも3巻まで出てますし、『世界の夢の図書館』も気になる・・・
また読み返すと改めて欲しくなってしまいそう。

世界の各国で、愛されている本屋さんたち。
世界の人々にとって、まだまだ本も、本屋さんも求められて
いるのだな、と思うと安心します。
紙のページをめくると、読んだときめきがさらに高まる気が
するのです。

このレシピ本がどれだけ 使えるのか、ということを説明しよう。

『てんきち母ちゃんの 朝10分、あるものだけで ほめられ弁当 』の

イラストブックレビューです。

 

てんきち母ちゃんの 朝10分、あるものだけで ほめられ弁当

てんきち母ちゃんの 朝10分、あるものだけで ほめられ弁当

 

 

人気料理ブロガーのてんきち母ちゃんこと井上かなえさんの
お弁当レシピ集。

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朝の貴重な時間を無駄にすることなく、栄養バランス良く、彩りも良く、
そしてもちろん味も良いお弁当のレシピです。

これまで数々のレシピ本を購入し、利用してきました。
その中でも、この本はもっとも活用した部類に入ると思います。
実際に作ったのは145レシピ中、18レシピほど。
ひとつの本で10個以上作ったのははじめてかも…?

というのも、我が家は3人の娘がいる5人家族。
娘の年齢も3〜13歳と、年齢の幅も広い。
味の好みがバラバラなんですよね。どのご家庭でも
よくある悩みだとは思いますが。

13歳の娘と夫には毎日お弁当を作ります。
ついでなので自分と末娘の分も一緒に、毎日4人分の弁当を作るのですが
長女は豚肉の油の冷えたのがイヤ。
味は薄めが好き。肉が多すぎるとちょっとイヤ。
夫は肉と野菜が一緒に調理されているのがあまり好きではなく、
できれば肉多めで味も濃い目でガッツリが好み。
末娘は ピーマンなど青い風味の野菜が苦手、お肉の固いのが苦手、
味は濃い目が好き。

もうさあ、全員が気に入る弁当なんて作れる気がしないさ…
でも1人で2人でもいいからやっぱりおいしいって感じてくれたらいいなあと
思い、レシピ本を購入しました。

試しに作ってみたら。
まさかの全員おいしい!!ですって。あらびっくり。
じゃあこれは?これは?と試しているうちに18レシピですよ奥様。
しかも今のところハズレなしなんですのよ奥様。
すごいことじゃございませんこと???

その理由は何だろう、と真剣に分析してみたところ
①年中手に入る食材を使用
②調味料もスタンダードなものを使用し、かつその使用量は多すぎない
③冷めてもおいしい工夫がなされている
ほかにも時短のための工夫もいろいろ紹介。

調理や調味料、食材など、極限まで省いているところが
すばらしいです。お弁当レシピは濃い味付けが多いので
クックパッドなどで検索したものを入れると長女には
濃すぎてちょっと…と言われることも。
でも、この味付けは調味料の使用量が多すぎないのに、
濃い味好みの人も薄い味好みの人も両方おいしいと言う。
すごいですね。

今は18レシピを作ってみましたが、これからもいろいろと作ります。
著者が中学生女子が喜ぶ、というコンセプトで作った点も、
我が家の味の傾向に合っていたのかも。
とはいえ、味覚が中学生男子な夫にも好評だったのですが。

毎日のお弁当って、大変なことです。
今さらながら、高校の頃毎日お弁当を作ってくれていた
実母に感謝の思いを改めて感じました。
最小限の手間とコストで、家族が喜ぶお弁当が出来上がる。
それは作る者にとってもうれしく、そしてまた明日のお弁当作りへの
活力となるのです。

 

「心で考える」こと、できていますか?

『「自分らしさ」はいらない くらしと仕事、成功のレッスン』の

イラストブックレビューです。

 

「自分らしさ」はいらない くらしと仕事、成功のレッスン

「自分らしさ」はいらない くらしと仕事、成功のレッスン

 

 暮しの手帖』の編集長を9年勤めた松浦弥太郎氏が
綴る、くらしと仕事を成功へ導くレッスン。

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『暮らしの手帖』の編集長を9年勤めた後に、クックパッド
新入社員として就職した著者。
紙媒体からインターネットへと、全く異なる伝達ツールへ、
しかも一般の新入社員として、という行動力にまず驚きます。

それは心で考えた結果、とのこと。
心で考える、ってなんでしょう??
著者曰く、感受性と想像力と愛情。この3つがエンジンとなって心は
動くのだそうです。

仕事で言えば、相手のちょっとした変化や求めているものに
気がつき、相手がどんな状況に置かれているのかを考える。
そして、相手が喜ぶことは何なのかを考える。
そうして実行したことは、相手にも喜びや感動を与え、相手も
心で考えるようになるとのこと。

編集長時代にも読者のためになることを常に考えて誌面を
作っていたのですが、ある時気がついたのです。
自分の経験に頼っていること。売れる誌面づくりを考えはじめて
いること。

そこからは義務感が生じ、閉塞感が生まれます。
そして新しい発想が出てこなくなるのです。
その結果、それまでの自分をリセットし、ゼロの状態に
自分の身を置いたのです。

「自分らしい」って何でしょう。
性格?やってきた仕事?
そこを気にしていたら、その条件にハマる行動しかできなくなります。
自分らしさは、自分を縛るアイテムともなるのです。

著者はそうした自分らしさは不要だと主張します。
常に心で考えれば、そうした余計なものに縛られることなく
自由に、そして物事がうまくいくようになるのです。

仕事への取り組み方から、元生活雑誌編集長らしく、日々の暮らしの面まで
読者に押し付けるでもなく、淡々と自分の在り方について
綴っています。

エッセイ本でありながら自己啓発書の要素もあり、無意識の領域を
活用する要素あり、暮らし方のヒントあり、とひとつのジャンルでは
くくれない、ある意味お得な内容なのではないでしょうか。
情報過多により価値観の押し付けが起こりがちな現代で、
ふと立ち止まってゆっくりと考えるような、そんなきっかけを
もたらしてくれる本だと思います。

子どものプロからの、肩の力が抜けるメッセージ

『子どもはみんな問題児。』の

イラストブックレビューです。

子どもはみんな問題児。

子どもはみんな問題児。

 

 ぐりとぐら」の作者であり、保育士の経験を持つ作家、
中川季枝子さんが子育て中のお母さんに伝えたい、
子どもの本質と育児の基本。

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育児中の親というのは、気を張り、目を離さず、
そして子どもの成長に悩むものです。
しかし、著者は『子どもは子どもらしいのがいちばんよ』、と
保育士時代の経験を交えながら、親の心をほぐしてくれるような
数々のメッセージを与えてくれます。

私は末っ子で、自分より小さな子供を見る機会は少なく
我が子を育ててみていろんなことにびっくりしました。
なんでも触ろうとするし、危ないことをしようとするし。
少し大きくなれば、汚いしうるさい(苦笑)。

これまでの育児については、周りに迷惑をかけてはいけない、と
我が子に対して随分口うるさくいろいろ行動を制限させるような
発言をしてきたように思います。

どの子もみんなすばらしい問題児です

子どもはたいがい臭いものです

子どもは自分丸出しで生きています

ナンバーワンは、お母さん

などなど、子どもに対して『ああ、こんなに目くじら立てなくてもいいのね』
という気持ちにさせてくれます。
そして、そこに子どもたちのエピソードが。
これも楽しくて、一生懸命で全力で生きている子どもたちの
姿が見えます。

そうやって、子どもを見ている、見守る、そして必要な時には
手を出す。それくらいの距離感で育てるのがちょうどいいのかなと
思いました。
いやあ、実際はそうもいかないんですがね。
心構えだけでもそうありたい、と思えるといいのかなと。

こんな保育士さんがいたら、子どもたちは幸せでしょうね。
うちも上の2人の子どもは保育園に通いました。
保育士の先生たちはいつも子どもたちをよく見てくれていて、
時には育児の相談に乗ってくれたりもしてくれました。
本当にお世話になって、親になる手伝いをしてもらったなと
今でも感謝しています。

そうした、子どもに理解を示してくれる人が周りにたくさん
いると、世の中のお母さんも少しだけ育児が楽になるのかな、と
思います。この本もそうした助けの1つになるでしょう。

頼れる母親かと言われれば自信はないけれど、
子どもが安心できる場所であるような母親でいたいな、と
本書を読んでそう思いました。

成功の法則がぎっしりのダイエット本

『スリム美人の生活習慣をマネしたら 1年間で30キロ痩せました』の

イラストブックレビューです。

 

 1年間で30キロのダイエットに成功したマンガ家、
わたなべぽんさんのダイエット実録コミックエッセイ。

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トイレで腰を下ろしたら、便座を破壊した。
この出来事をきっかけに、ダイエットしようと決意するぽんさん。
しかし、過去何度もダイエットに挑戦し、成功はしたが、
その後確実にリバウンドを繰り返してきたのも事実。

37歳の今、これを人生最後のダイエットにしたい…!
切実に考えたぽんさんが取り組んだダイエット法とは。

このダイエットを実行する過程には、あらゆる自己啓発書の
ノウハウがぎっしりと詰まっています!!

まず、自分が求める姿、つまりスリム美人についての徹底分析。
彼女らの行動を細かく観察していきます。
その結果と自分の現状を比較し、自分の現在の姿をハッキリと自覚すること。
身体のサイズ、食生活における食材の選び方、食べ方、食べる時間など
イラストで徹底的に比較しています。
これは自分の現状に目をそらすことができない!

ここで自分の姿に客観的に目を向けることができれば次の段階です。
『スリム美人になったつもり』で生活してみるのです。
レストランでの注文の仕方、自分を磨く時間を大切にする、など
じぶんが本当にスリム美人になったようで気分も上がります。

ここまでくればレールに乗ったも同然。
走り出せば良いのですがそうもいかない邪魔者があらわれます。
旅先でのドカ食い、我慢できないアルコール、停滞期…。
しかしこれも、夕食は晩酌セットにしてお酒をビール一本分、
米は食べない、食べ過ぎたら翌日に調整、
ダイエットのご褒美として化粧品を購入するなど
自分を喜ばせることも取り入れながら上手にクリア。
停滞期もドカ食いする事なく心穏やかに乗り越えて、30キロ減を
達成するのです!おめでとうございます!!

①自分がなりたい姿を徹底的に調査し、明らかにする。
容姿、生活習慣、日常的行動など、より具体的にビジュアル化する。

②そのビジュアルになったつもりで行動する。
潜在意識がその気になってよりビジュアルに近づいていく。

③行動科学のテクニックを駆使。大きな目標を立てた後は、
小さな目標を作り達成していくこと。達成したら自分を褒めてあげることが
次に達成への自信につながっていくのです。

なりたい対象と自分の姿を客観的に把握することで、目標に近づくための
具体的方策が明らかになるのではないでしょうか。
この現状の自分に目を向けるのって、なかなか難しいのですけれど。

そして、自分を上手にコントロールしながらダイエットを継続していきます。
頑張った自分を認めてあげるからこそ、また明日に向かって取り組む力も
湧いてくるのかなあと思います。

以前話題になったダイエット本ね、と気軽に手にしてみた本書。
目標を達成するためのノウハウと実践例がたっぷりつまった内容で
驚きました。ダイエットに限らず、目標を持つ自分としては、折に触れ
ページを開いて読んでおきたい、と思う本でした。