ぬこのイラストブックれびゅう

ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

毎日の食事で心と体を健やかに

毎日の食事でちょっとした不調を改善できる。
症状別にレシピや食材の使い方をイラストで紹介。

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喉が痛い、咳が出る、便秘、ストレスで眠れない…など
病院へ行くほどではないけれど、薬を買って飲むのもなんだかな〜。
そんな時には食事で改善できれば手軽だし、安心。

日常的に買える食材や調味料で、簡単なレシピを教えてくれます。
また、イラストが可愛らしくて癒されます。
夫婦や子供への対応、お姑さんとのやりとりなど
さりげなくあるある感が満載で共感度高し。

体調不良というのは身体の機能がうまく働かなくなっている状態。
これをもとのように戻してくれる食材の働きと、反応する身体機能って
すごいなあと改めて感じます。

もう一つ感じるのは、食べたものが身体を作っているのだということ。
とても大事なことなのですが、つい忘れがち。
こういった健康にまつわる本を定期的に読むことで
再び思い出して食事の内容に気を遣おう、思えるのです。

今回は風邪で咳が出ていた小学生次女と幼稚園児の三女に
茹でレンコンの梅しそ和え、梨と柿ホットジュースを作ってみました。
処方箋の薬とは違いますから、劇的に回復、というわけにはいきませんが
ちょっとずつ良くなったようです。

子供にとって、病気の時のおかゆやうどんの様な特別なごはんは
どうやらテンションあがるようです。ふだん食べないものですから。
それで血流が良くなって回復傾向に向かうという面もあるんですかね。
病気でない長女も食べたがります(笑)。

元気な身体にも美味しく食べられるメニューがたくさんあるので、
ちょこちょこ手に取って作ってみるといいかも。
『レンコンは咳にいいんだって』なんて子供たちとの会話もふくらむと
日々の食卓にまた楽しみが一つ増えるのです。

 

 

おいしく食べて体に効く!  クスリごはん

おいしく食べて体に効く! クスリごはん

 

 

じんわり心にしみてくる 人生とお酒たちの物語

二子玉川にある大人の止まり木、バーリバーサイド。
ここには疲れた大人が羽を休めるためにふらりとやってくる。
お客たちが語る出来事は、読む者の心に何か影を落とす。

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バーの窓から見える双子玉川。川は境界をイメージさせる。
あちら側とこちら側。間には常に流れる水。
川の向こう側にあるのは美しい桃源郷か、それとも死後の世界か。

バーの静かな空気と心地よい酔いで、その境界が曖昧になる。
それが不安でもなく、ときめきでもなく
『ああそうか』と、胸にストンと落ちる感覚。

若い頃ほど、死が決して遠い存在でないことが関係しているのかも
しれない。

1番若い、20代の女性客はそんな曖昧な世界に一石を投じる。
至極現実的な仕事の悩みをぶちまけて、生のエネルギーを溢れさせ、
物語にいいアクセントを加えている。

それぞれのお客に合わせて、カクテルやお酒が登場する。
こんな風に物語が生まれてくるのであれば、お酒が飲めるのって
悪くないな、と思う。

人の生き様が酒の味わいを広げてくれる、そんな風に感じて、
酔いのような、じんわりとあたたかな余韻が残る物語。

 

 

バー・リバーサイド (ハルキ文庫)

バー・リバーサイド (ハルキ文庫)

 

 

別の目線からとらえる日本の「食」

パリ料理修業時代の友人から渡された辻静夫の名著に導かれ、
遠くロンドンから「日本を食べに」やってきたブース一家
新宿、築地、銀座から伊豆天城、北海道は札幌、南茅部まで、
原作に描かれた《東日本》での旅のようすを大胆に漫画化!。

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ベストセラーとなった本書。なんとなく興味はあったのだが
読むのがしんどうそうだなあ・・・
なんて思っていたらコミック発見!これはいいじゃないか~と
手に取りました。

英国人から見た日本食のイメージ。見た目ばかりがきれいで味が薄い。
なるほど~。出汁と白しょうゆなんかで作る煮物は素材の色しか
見えませんしね。

それにしても、出汁や素材の味って、理解できるのかな?
日本人であるわれわれは食べなれていておいしいけど
料理がいまいちと評判の(失礼ですが)イギリスの人に
おいしいと感じられるのだろうか。

本書の中には、日本料理「壬生」での食事の様子も記されて
います。ここでの料理を口にしたとたん、著者はおいしさの
あまり身体が震えたのです。

震えるほどとは!著者がフードジャーナリストであることから
様々なものを食べている経験があるとは思いますが、
おいしさのあまり震えるなんてことがあるんですね。

服部栄養専門学校服部幸應氏にも取材を行い、日本料理に
ついてインタビューします。古きよき日本料理が廃れていくこと
への危機感や食生活の乱れなど、日本の食全般についての
意見はなるほどと納得するとともに、確かに何とかせねば
ならない問題だなと感じます。

驚いたのは、この東日本編で取り上げられていた料理の多さ。
焼き鳥、天ぷら、クジラ、ラーメン、蟹・・・
改めて、日本ていろいろなものを、いろいろな調理方法で
食べているのだなあと感心してしまいました。

一家で旅行しているゆえに、様々なトラブルに巻き込まれる
様子も、ユーモアたっぷりに描かれています。
子どもはどこの世界でも同じですねえ。

たまに調子に乗ってしまう、子どものような著者と頼れる奥さん、
そして二人の怪獣くんたちが繰り広げる日本の食紀行は
楽しい笑いを読者に提供し、日本の食に力を尽くしてくれている人たちの
存在を明るくナビゲートしてくれます。

やっぱり、日本の食は素晴らしい。
そう思えるコミックエッセイです。

 

 

コミック版 英国一家、日本を食べるEAST

コミック版 英国一家、日本を食べるEAST

 

 

安定の疾走感とキレの良さ

小劇団、シアターフラッグ。
度重なる赤字運営により、劇団は解散の危機に追い込まれる。
そこで手を差し伸べてくれたのは劇団運営者、巧の兄である司だった。

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非常に分かりやすい、
劇団再起に向かっていく劇団員たちのストーリーです。

キャラクターがそれぞれクッキリと浮き出ており、個性が強い。
愛され弟キャラの巧、ツンデレ兄貴の司。そして劇団の空気を変えた
新入りの千歳は大人しく見えてコンプレックスの塊&負けず嫌い。

気になるのは、全体的に表現やセリフが大げさというか、それこそ芝居っぽい?
逆にあえてそのように意識されているのかなとも思いますが。

展開は見通しがつきやすいところはありますが、ポンポンポンと
物語が進行して行くスピード感は気持ちいいものがあります。

そして、劇団の運営管理がテーマとなっているのですが
ここの表記は楽しめました。予算管理の仕事もしたことがあるので、経費の
節約具合や、タイアップに持ち込んでしまえ!といった箇所は
どこも同じなんだな、と。なるべく手と金をかけずに利益を出したいですよね。

それから演じるが側がお金に無頓着であること、ここも共感です。
制作側は縛りがないとどこまでも飛んで行っちゃうんだよね〜、うんうん。

ラノベのような、マンガのような、ドタバタしたやりとりは有川さんの
売りの一つではあると思うのですが、とりわけこの話は動きが大きいようです。
共感しきれずに、ちょっとしらけてしまう部分もあり。
個人的には静かな展開話のほうが好みかなあ。

芝居や劇団自体に興味がある人には楽しめるのでは
ないでしょうか。中学生の娘にも、楽しく読めたようです。

 

シアター! (メディアワークス文庫)

シアター! (メディアワークス文庫)

 

 

内臓が強かったら明日はわが身

抱腹絶倒のブログ「オリモノわんだーらんど」で注目を集めた
漫画家まんしゅうきつこ。
そのブログの存在は瞬く間に世に広まり、各所から漫画・イラストの
仕事が殺到した。しかし彼女はその陰でひとり、アルコール依存症
もがき苦しんでいた――。

まんしゅうきつこ初の描き下ろしエッセイ漫画。アルコール依存症
ゆえの大暴走の日々を綴ったノンフィクション。

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巻末には対談とともに著者の写真が掲載されています。
美人ですねえ~。色っぽい。いやはや。
こんな美人が、酔っ払ってトークイベントで
〇〇を出すとか・・・ あり得ない。でも見てみたかった。

ブログで細々と漫画を描いていたまんしゅうさんが
そのおもしろさゆえに話題となり、日々ネタを
探すことに追い詰められ酒に手を出します。

そこからアル中の世界へ一直線。
酒がもたらす失敗エピソードには背筋が凍る思いです。
自分にも心当たりが・・・ 
玄関の前で鍵とライター(喫煙者だったので)持って倒れていたとか。
家に火をつけなくて良かった。人に迷惑をかけるのはいけませんね。

アル中か、そうでないかの境目っていったい何なのでしょう?
自分も毎晩お酒を飲みますし、昼から飲むこともあります。

今は飲みすぎると疲れるので、記憶をなくすほどは飲めません。
でも、体力があった20~30代の頃に何かきっかけがあったら
自分もアル中になっていたのかもしれない。
でもやっぱり無理かな。吐くな。

まんしゅうさんのヘタウマ風な画像が、話を重くなりすぎず
かといって爆笑、というわけでもなく、読者を諭すわけでもない。
不思議な雰囲気にまとめあげています。

読んでいてつらくなる部分もあり、しょっちゅうは読まないですが
たまに開いて読みたくなる。
そんな中毒性のある本かもしれません。

 

アル中ワンダーランド

アル中ワンダーランド

 

 

殺人事件とともに成長していく少年の運命は

『さよなら、シリアルキラー』の続編。

ものまね師事件が解決して数カ月、ジャズのもとをニューヨーク市警の刑事が
訪れた。21世紀最悪の連続殺人犯である父ビリーに施された殺人者としての
英才教育を生かして、ニューヨークで起きている連続殺人の捜査を手伝って
欲しいというのだ。

事件を調べるうちに、ものまね師事件との繋がりに気づく。そして被害者の
遺体に書かれた〈ゲームへようこそ、ジャズパー〉のメッセージが意味する
こととは。

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連続殺人犯人を父に持つ少年ビリーは、父親から受けた殺人や死体についての
英才教育がふと無意識に出てくることで、自分も同じように殺人を犯して
しまうのではないかという不安と戦っている。

父親からの教育により、鋭い観察眼と推理力を発揮するが、若さゆえに
勇み足が過ぎたり愚かな行動をしてしまったりもする。
そんなところが彼を高校生らしく、温かみを持たせていて好感が持てる。

ガールフレンドのコニーが、これまたいい子で。
おとなしいなんて部分はまったく持ち合わせてないですが、ジャズが
闇に引きずり込まれないように、しっかりと光を当ててくれる存在。

ティーンらしく、一線を越えるか?というシーンも出てきます。
ですが、ジャズは自分の中の闇に恐怖を感じ、ストッパーとなってしまうのです。
コニーはここでもハッパかける!それも嫌味でなく。
頭が切れて思いやりのあるホントにいい子です。

そんな二人の進展具合が気になるのもそうですが、またしてもジャズの周りで
殺人事件が連発。今回はどうやら父親が関係している可能性も。そして
謎が残る、ジャズの母親の存在。

犯人による、殺人を犯すシーンが本当にリアルです。一作目では寒気を
感じたほど。こちらは二作目なので、多少慣れましたけれども、いやいや
それにしても残虐ですし、やっぱりぞわぞわします。

こういった殺人シーンと、ジャズやコニーの心理描写などのバランスが良くて
一気に読み進めてしまいました。
事件に巻き込まれてしまったジャズの行方も気になりますが、おばちゃんには
若い二人が最後にどうなるかかがとっても気になるなあ。
三作目が楽しみです。

 

殺人者たちの王 (創元推理文庫)

殺人者たちの王 (創元推理文庫)

 

 

潜在意識って、表に出ないで何してるのさ?

無意識のチカラは、我々の行動のなんと9割をつかさどっていると
言われています。

決して新しい自分になる必要はありません。
誰もが持つ「無意識」の声に、ただ耳を傾けるだけ。
その方法を詳しく解説。

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なりたい自分を手に入れる系の本を探していると
自己啓発、脳の力、スピリチュアル・・・と
いろんな方向からのアプローチがあります。

個人的に長い事気になっているのは「潜在意識」。
これをコントロールできれば無敵なんじゃないの?と
常々思っておりました。

でも意識していないから無意識=潜在意識なのであって。
どうやってコントロールすればいいのだろう。
1年くらい頭にひっかかっていたテーマです。

これはそういった疑問を、一部解決してくれます。
マイナス思考のループから脱出できたり、自分の
動きや考えを制限するような思い込みをはずして
くれたりします。

一部解決、というのは無意識を意識できる領域っていうのを
広げることはできないかなあと考えていたのですが
そうしたことは書いておりませんで。

無意識を良い方向に持っていくよ、という内容でした。
まあ、意識できる領域が増えると正気でいられるのが
難しいのかもしれませんね。

目標が定まっていてそちらに向かっている人、
または最近何かとついてないなと思っている人、そんな人は
この本を手に取り、目に見えない自分の力を活用してみると
役に立つのではないでしょうか。

 

 

無意識はいつも正しい

無意識はいつも正しい