ぬこのイラストブックれびゅう

ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

殺人事件とともに成長していく少年の運命は

『さよなら、シリアルキラー』の続編。

ものまね師事件が解決して数カ月、ジャズのもとをニューヨーク市警の刑事が
訪れた。21世紀最悪の連続殺人犯である父ビリーに施された殺人者としての
英才教育を生かして、ニューヨークで起きている連続殺人の捜査を手伝って
欲しいというのだ。

事件を調べるうちに、ものまね師事件との繋がりに気づく。そして被害者の
遺体に書かれた〈ゲームへようこそ、ジャズパー〉のメッセージが意味する
こととは。

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連続殺人犯人を父に持つ少年ビリーは、父親から受けた殺人や死体についての
英才教育がふと無意識に出てくることで、自分も同じように殺人を犯して
しまうのではないかという不安と戦っている。

父親からの教育により、鋭い観察眼と推理力を発揮するが、若さゆえに
勇み足が過ぎたり愚かな行動をしてしまったりもする。
そんなところが彼を高校生らしく、温かみを持たせていて好感が持てる。

ガールフレンドのコニーが、これまたいい子で。
おとなしいなんて部分はまったく持ち合わせてないですが、ジャズが
闇に引きずり込まれないように、しっかりと光を当ててくれる存在。

ティーンらしく、一線を越えるか?というシーンも出てきます。
ですが、ジャズは自分の中の闇に恐怖を感じ、ストッパーとなってしまうのです。
コニーはここでもハッパかける!それも嫌味でなく。
頭が切れて思いやりのあるホントにいい子です。

そんな二人の進展具合が気になるのもそうですが、またしてもジャズの周りで
殺人事件が連発。今回はどうやら父親が関係している可能性も。そして
謎が残る、ジャズの母親の存在。

犯人による、殺人を犯すシーンが本当にリアルです。一作目では寒気を
感じたほど。こちらは二作目なので、多少慣れましたけれども、いやいや
それにしても残虐ですし、やっぱりぞわぞわします。

こういった殺人シーンと、ジャズやコニーの心理描写などのバランスが良くて
一気に読み進めてしまいました。
事件に巻き込まれてしまったジャズの行方も気になりますが、おばちゃんには
若い二人が最後にどうなるかかがとっても気になるなあ。
三作目が楽しみです。

 

殺人者たちの王 (創元推理文庫)

殺人者たちの王 (創元推理文庫)