ぬこのイラストブックれびゅう

ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

こんな風に暮らしたい 猫と過ごす余生

ねことじいちゃん』の

イラストブックレビューです。

ねことじいちゃん (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

ねことじいちゃん (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

 

 とある島で、妻に先立たれた老人と猫が暮らす日々。
75歳の大吉さんは、2年前に妻に先立たれ、猫のタマと二人暮らし

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意思が疏通しているような、してないような、そんな二人が
海が見える家で、のんびりと暮らしています。

猫好きにはたまらない、猫の生態の数々が、著者のやわらかいタッチで
とてもやさしく、可愛らしく描かれています。
都会と違って、野良もたくさんいる田舎の島。
飼い猫タマも近所の猫たちの集会にも参加して、仲良くやっているようです。

新聞を読んでいると、その上で寝転ぶ、膝の上に乗ってくるくせに撫でると
怒られる…などなど、猫飼いあるあるもたくさんあって楽しめます。

大吉さんも、近所の皆さんとコミュニケーションをとりながら、自炊もして
季節を楽しみ、妻のことを思い出し…とちゃんと生活しています。
自分だったら、連れ合いに先立たれたら引きこもってボケるかも。

季節ごとに、いろいろな料理チャレンジする大吉さん。
妻がかつて作ってくれたものだったり、子供の頃の思い出だったり。

年をとるということは、それだけいろいろな経験をしていくことなのだな
と、しみじみと思います。
当たり前のことなんだけど、その経験で今の自分があって、それを
自分の記憶の引き出しからちょこちょこ取り出して眺めていくのは
生きていくための大事な糧になるのではないかな。

でも、記憶ばっかりじゃ寂しいな、と思った時には、傍に猫がいる。
ゴロゴロ喉を鳴らして横にいてくれたら、それだけでこちらも幸せな
気分になれるのです。

大吉さん、75歳。ときどき健康的に不安な面もあるけれど、タマと二人なら
ホンワカと楽しく、穏やかな日々を過ごしていけそうです。
こんな老後が過ごせたら幸せですね。自分としてはコミュニケーション能力を
高めることが課題になるのですけれど。

食事から伝わる日常の大切さ

キッチンぶたぶた』の

イラストブックレビューです。

キッチンぶたぶた (光文社文庫)

キッチンぶたぶた (光文社文庫)

 

 ぶたのぬいぐるみ、ぶたぶたさんが営む洋食屋には
様々なお客がやってきます。
その料理と佇まいで、訪れた人たちに見えていなかったものを
気づかせてくれるのです。

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ぶたのぬいぐるみ、その名も山崎ぶたぶたさんは見た目は
かわいいぶたのぬいぐるみ、中身は分別のある落ち着いた
中年男。

その見た目に人は驚き、興味をかられ、その料理の腕前と
味、そしてぶたぶたさんの思慮深い言葉から、新しい視点を得るのです。

いくつかの短編の中、印象に残ったのはこちらの話。
ある日、突然に料理の匂いがしなくなったサラリーマン、映一。
好きな仕事に就き、家族にも恵まれ、何の不足もない日常と
思っていたのだが。このところ料理の匂いがせずに、困惑する日々を過ごしています。

通っていたスポーツジムのサウナでぶたぶたさんに出会ったことが
きっかけで、ぶたぶたさんお店に通うことに。
そこでスープをご馳走になったり、味噌汁の作り方を教わったりしているうちに
自分自身の内面に気づいていきます。

代わり映えのない日常に嫌気がさしていたこと。
恵まれた環境なのだからと、その気持ちに蓋をしていたこと。
心を込めて作ってくれたものには味がすること。
その料理はいつも妻が作ってくれていたこと。
代わり映えのない日常に、妻の料理があること。

ぶたぶたさんは食べ物周りを非常に大切にしています。
相手を思って作ること、相手を思って食べること。
日々の食事は、そんな大切な人々の気持ちに溢れているということを
気づかせてくれるのです。

読んだ後は、作ってくれた人、食べてくれた人に思いを馳せて、
日々好きな人食卓を囲むことのありがたさ、美味しい食事を
美味しいと感じるありがたさを強く感じます。

そして毎回思うのは、うちの近所にもぶたぶたさんのお店が
あったら通うのになあ、ということ。
いつか 会えるといいな、そんな想像も楽しい、あったか
キッチン物語です。

知れば知るほどおもしろい!!日本人ヘンな習慣

もぐらと奈加ちゃんが「日本人のヘンな習慣」について考えてみた。』の

イラストブックレビューです。

 

日本人は無宗教なのか?
お土産は何のためにあるのか?
なぜマイ茶わん、マイ箸なのか?

普段はまったく気がつかないいつもの習慣も、外国人から見たら
驚くべき内容だった!?
小学生の奈加ちゃんと、しゃべるもぐらが、そんな日本人の変な習慣を
わかりやすく解説するコミックエッセイ。

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無宗教とか言いながら、お寺の檀家に入っているし、お正月には初詣。
クリスマスにはケーキとチキン!!なんて当たり前の日本人。
いいと思ったらどんどこ取り入れる、そんな柔軟性を持ち合わせて
いるからこそ、の結果のようです。

実際、あなたの宗教なんですか?と聞かれても、うーん?と考えて
しまいます。少なくとも上記3点は普通にこなしてます。
そして目上を敬う、人を傷つけないなどの基本的な倫理観は
特定の宗教がなくても育っているのが日本人。

それには八百万の神、という信仰が影響しているのかと。
この八百万の神、という考え方はこの頃とてもいいなあと感じています。
どこにでも、何にでも神様が宿る。自然も、物も、亡くなった人も
全てが自分たちを見てくれている、と思うとありがたいなあと思うし
大事にしなくてはならないと思うのです。

この他にも、お土産やうがいの由来など、様々な習慣の解説を
してくれます。読んで感じるのは、日本人て本当に深いレベルで
無意識に相手を思いやったり、神様を身近に感じて敬っていたり
している民族なんだなあという事。

知れば知るほど、日本人で良かったなと思える、おもしろ雑学が
満載です。子どもたちにもぜ読んで欲しいなあ。

世界一最高な夢の叶え方

世界一ふざけた夢の叶え方』の

イラストブックレビューです。

世界一ふざけた夢の叶え方

世界一ふざけた夢の叶え方

 

 世界最速で夢を叶える方法。それは仲間と夢を語り合い、
紙に書き、報告し合うこと。

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あした死ぬかもよ?などのベストセラー作家、ひすいこうたろう氏、
インフォトップを立ち上げた菅野一勢氏、人生が変わるセミナーを
次々とプロデュースする柳田厚志氏。

あるセミナーで、ひすい氏を軸に知り合った3名は、居酒屋で
定例会を開くようになります。
そこで目指す夢を各自紙に書いて発表し合います。

当時の3人は、現実とかけ離れた夢を発表。
酔っ払っていた事もあり、お前ならできる!と肩を叩き合って
盛り上がったのでした。

まずは夢を語り合う事ができる友人と巡りあえるというのがすごい。
本田健さんのセミナーで出会った、というのがもう夢を叶えるための
人探しに行っているわけです。

ひすいさんは赤面症で暗い性格、とありますが、この人!と思った人を
見つけ出す力と話しかける事ができたことは、もう夢に向かって
走り出していたのではないかと。

3人が出会い、互いの夢を知り、進捗状況を報告し合う。
これは確かに、目標に向かって走る速度が倍増するかも。
2人だと、相手が凄過ぎれば落ち込んでやる気を無くす可能性もあるけれど
3人というのは絶妙なバランスです。
いい感じでフォローしてあげたり、また助けてもらう、という
ことができる組み合わせなのだと思います。

さらに、3人とも、夢を達成したその先の生き方がハッキリしていたのが
よかったのではないでしょうか。

達成して終了、ではなくてその先にどうやって生きているのか。
その自分の姿が見えるからこそ、減速する事なく成功し続けて
いるのだと。それにしても、成功のその先なんて、1人で考えるには
限界があります。そこで仲間の生き方が参考になったりするわけです。

夢を叶えるのは自分。でも、仲間が横で見ていてくれたり、ちょっと
先から振り返ってアドバイスをくれたり、時には自分が仲間に手を
差し伸べたり。そうして得た成功の喜びは、きっと倍増する事でしょう。
自分の成功だけでなく、人の成功まで我が事のように喜べるなんて、
こんな素晴らしいことはないのでは。

そして仲間と報告し合ったり、仕事をするのが何より楽しそう!
仕事が、生きているのが全てが楽しく感じられる、そんな人生が目標です。
自分の子どもにも胸を張って、大人って楽しいよ!と言いたいですね。

ときめき要素満載のお江戸幻想奇譚

しゃばけ』の

イラストブックレビューです。

しゃばけ

しゃばけ

 

 江戸有数の大店、廻船問屋一人息子である一太郎
大変病弱なために、親や周囲の人間は非常に過保護に彼をお世話する。
こっそりと家を抜け出した一太郎は殺人事件目撃する。
そこで、彼は妖怪たちを使って事件の解決に臨む。

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病弱な一太郎は、病弱で、少しのことですぐに熱を出す。
子供の頃から兄がわりでそばについてくれているのは店の手代である
仁吉と佐助。5つほど年上の彼らは、実は1000年以上も生きている
妖怪であった。

というと、おどろおどろしい世界が繰り広げられるのかと思いきや、
この二人、一太郎に対してメチャメチャ過保護なんである。
一太郎がクシャミひとつしようものならたちまち床をしいて
白湯を差し出す。一太郎はもう17歳。
過保護な妖怪たちにため息をつきつつも、実際自分の体が弱いことは
事実なのであえて文句は言わない。育ちがいいんである。

幼い頃から床についていることが多かった一太郎には、仁吉と佐助のほかにも
優男風のなりをして屏風から出てくる屏風男、小鬼のような姿形で
たくさん出てくる鳴家(やなり)など多くの妖怪たちと時を過ごしてきた。
彼らは、お菓子をくれたり、褒めて撫でてくれる一太郎が大好き。
わらわらと一太郎に群がる姿は微笑ましくて、可愛らしい。

妖怪に囲まれて暮らしている一太郎、体は弱いが頭は切れる。
そこで妖怪たちを使って聞き込みを行い、事件の解決に挑むのだ。
彼が自分の弱点を理解し、諦めるでもなく、ふてくされるのでもなく、
やるべきことに立ち向かって行く姿に好感が持てる。

ふだんから人にも妖怪にもやさしくて、その上、やるときには
彼らの助けを得ることなく、自分で敵に挑んでいくのだ。
その方法も、一太郎らしく、頭を使って賢いやり方でいくのがまたいい。

妖怪という濃いキャラクターの背後で決して埋もれることのない
病弱なお坊っちゃまは、芯の通った男なのである。
でも体が弱いから、頑張った後はまた寝込んじゃうのだけど。

非常に読みやすい、堅苦しくない文章と、情景が浮かび上がってくるような
背景の描写、何より、妖怪も人間たちもイキイキと動き回る姿が目に浮かぶ
楽しいお江戸妖怪奇譚。時代物が苦手という人にも楽しんで読めると思います。

自分の限界と可能性を教えてくれた本

幸せな小金持ちへの8つのステップ』の

イラストブックレビューです。

幸せな小金持ちへの8つのステップ (サンマーク文庫)

幸せな小金持ちへの8つのステップ (サンマーク文庫)

 

 自分の好きなことを仕事にし、豊かになる生き方とは。
幸せな小金持ちになるための精神的、技術的アドバイス

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若いカップルが、セミリタイアした元コンサルタント
金持ちになるためのアドバイスを乞う、という構成。

お金に縁がない理由からはじまり、幸せな小金持ちという
生き方やメカニズム、具体的なステップを解説している。

このを手にしたのは、会社を辞めようか悩み始めた頃。
仕事の内容が自分に合わない事は今まで何度もあったのに
今回はどうも努力する気が起きない。

それでも自分に鞭打って残業続きの毎日を過ごしていたら
家族の顔もろくに見れず、家庭内でも罪悪感の日々。

人事異動を待つのか?異動せずとも、部内の別の仕事をしたいと
主張するのか。どれも気がすすまない。

そこではじめて会社をやめる、という発想が生まれてきた。
20年以上も勤めた会社に愛着もある、給料も満足な額をもらっている。
子どもにはこれからお金が必要になる…。

会社やめないための理由はいくつもあるし、正直やめたとしても、
その先の生き方が全く想像つかなかった。
そこでやめる前に考えてみよう、検討してみようと思った時に
本書に出会った。

衝撃を受けたのはこちらの記述。

自分が嫌いな事をやって人生を生きるモデルを見せるのは、子供の
将来に呪いをかけるようなものだと金持ちは考えます。

確かに、イヤイヤ仕事やって、家で眉間にしわ寄せていては
子供に『仕事ってつらい。仕事って我慢しなきゃいけない。』という
思想を植えつけていることになります。

ここは購入当時に気になった箇所。子供のため、とはいいながら
ツライ、キツイを連発していては、子供に仕事というのは
親を苦しめる、いやなものであると思われても仕方がない。
全く子供のためになっていないということです。

今回読み直しして新たに気になったのはこの部分。

また、幸せな小金持ちは、「自分にとって人生とは、自分の才能を
開花させ、その結果をまわりの人と分かち合うことだ」と考えています。

やりたいこと=自分の才能をいかしたことを活用し、得た結果を
周囲の人と分かち合う。自分が得意で才能を発揮する事をすることで
自分が幸せを感じる。その活動で充分な収入を得る事ができ、周囲の人に
与えることができれば、周囲の人も、さらに自分も幸せ。まさにWinWin。

この考えを常に念頭に置いておけば、そうそう変な仕事にはつかないと
思います。というか、会社に属していては自分の才能を発揮する機会は
そうそう訪れないのではないでしょうか。
もちろん、会社という枠組みの中で、自分の才能を遺憾なく発揮している
人もいるとは思うのですが、自分の場合はこの時点で完全に違う、という
ことがわかったのです。

会社で働くことの限界と、これからの自分の可能性を提示してくれた、
自分にとっては指標となる一冊となりました。
これまでは働く事の意味と幸せの関係を参考にしてきましたが、これからは
これをどのように収入につなげていくか、その部分を参考に次のステップに
向かう予定です。

定期的に読み返し、自分の人生を振り返りながら確認する。
そんな風に長くつきあえるビジネス書です。

行動力に感服!!の主婦単独世界旅行

主婦を休んで旅に出た よくばり世界一周!』の

イラストブックレビューです。

主婦を休んで旅に出た よくばり世界一周! 上 (朝日コミックス)

主婦を休んで旅に出た よくばり世界一周! 上 (朝日コミックス)

 

 アラフォー主婦が一人で世界旅行へ!
低予算にコロコロバッグでどこまでも。
インド、ヨーロッパ、中東への旅を綴る紀行コミック。

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アラフォー漫画家、ってコレ主婦じゃないよね…。
夫と子供がいれば主婦ってことなのかな?と軽くツッコミを
入れといて。

いや、この著者の行動力は、漫画家だからこそ、と思うのです。
世界旅行に行きたいいなあ、なんて思ってたらあっという間に
アラフォーで。いつ行くんだ今でしょ!
と、決めて直ちに実行に移るその行動力の凄さよ。
旦那さんとお子様が理解あるところも素晴らしい。

準備段階から参考になる情報がたくさん出てきます。
世界各国を周るのに期間一年間で、決められたエリアの国であれば
何度でも行ける航空券や、旅に持って行くものなど。
事細かに、スッキリした絵で紹介してくれてわかりやすい。
でも、ガイドブックが荷物のほぼ半分てどうかなとは思うが。

そして旅はインドからスタートし、北欧、東欧、中東の計20カ国を
訪れます。
インドの街の混沌具合、人のうっとうしさ。
北欧の素晴らしく清潔な公共トイレ、他人に対する不寛容さ。
東欧の美しく立派な建物物。

衝撃的なのは中東。ヨルダン、イスラエルなど、セクハラの嵐!!
著者の取材魂や好奇心が、現地の珍しいものなどに目を向けさせるのは
わかるのですが、身の危険を感じるような出来事があったり。
ご本人も警戒心が全くないわけではないのですが。
外国人の女性というのは犯罪に巻き込まれやすいのね、というのが
わかります。無事で良かったねホントに。

旅の醍醐味は人とのふれあい。
外国で出会う日本人に縁を感じたり、インドで出会ったフランス人と
連絡を取り合い、お宅へお邪魔したりしてしまうコミュニケーション能力の高さは
すごいですね。

ひとり旅というのは、こういった人に対する判断力、旅のスケジュールの
調整力などなど、あらゆる能力が求められるのですね。
そして最も大切なのが『折れない心』。

各国で起こるトラブルにより、恐怖や苦痛、悲しい思いなど、様々な
思いをするけれども、それでも次の国へと向かっていく。
その思いを糧にして、また人や国を信じて動き出す力は著者ならではの
逞しさであり強さだと思います。

今回読んだのは前編。後編はアフリカや南米などだそう。
世界旅行が終わった著者の人生観はどう変わったのか。楽しみです。