ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

壮大な物語の全ての始まりがここにある

魔性の子 十二国記』の

イラストブックレビューです。

 

魔性の子―十二国記 (新潮文庫 お 37-51 十二国記)

魔性の子―十二国記 (新潮文庫 お 37-51 十二国記)

 

 

教育実習のために母校に戻った広瀬。
周囲から浮いた様子の高里という生徒が気になる。
彼を虐めた者が不慮の事故に遭うため、高里は祟る、と恐れられていたのだ。
高里の周囲で何が起こっているのか。彼の正体は何なのか。

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壮大なファンタジー、十二国記の序章となる本作。
まずはカバーイラストが大変美しい。物語の世界観とぴったり。
線の細さが、登場人物の繊細さを引き立たせています。

周囲から明らかに浮いた様子の高里。
彼は子どもの頃に『神隠し』にあい、行方不明になっていたことがある。
その事が、彼の周囲で起こる不慮の事故と何か関係があるのか。

高市を取り巻く環境が厳しくて、彼自身もひどい目にあっており
最初は読み進めるのが辛い部分もあります。
ある事件から周囲との軋轢がひどくなり、広瀬が庇いきれなくなってくると
ますます事故もエスカレート。死者も多数出ます。

思わず息を呑むのは異世界の生き物が人間を襲うシーン。
臨場感に溢れていて、背筋が凍るようです。
実際にこんな生き物がいたら恐ろしすぎる!

それでも読み進める手が止まらないのは高里の存在がだんだんと
明らかになっていくから。こちら側の人間なのか、異世界の者なのか。
周囲の人間に事故を起こすのは故意なのか、偶然なのか。

この世界に生きることに違和感を感じる事は、誰にでも起こりうる。
自分がどこの世界の者であれ、あるべき世界で生きていくしかない。
それが、ある者にとっては絶望を伴った選択になるとしても。

この物語を序章として、今後どのような展開が訪れるのか。
非常に楽しみな物語です。