ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

パートナーとして息づく作家の住まい

作家の住まい』の

イラストブックレビューです。

 

作家の住まい (コロナ・ブックス)

作家の住まい (コロナ・ブックス)

 

 永井荷風川端康成北杜夫、塔本シスコ、大島渚ほか、
作家が暮らした住まいを紹介。玄関、書斎、リビング、庭など、
写真、平面図、エッセイとともに解説。

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鎌倉にある川端康成が暮らした日本家屋、フランスはパリ近郊にアトリエを
構えた藤田嗣治、信州蓼科の山荘で夏を過ごした堀田善衛

どの家も、仕事をするのに快適であるように整えられていて、機能的
であるとともに美しさや楽しさを持ち合わせています。

なかでも 印象的に感じたのは、工業デザイナー、秋岡芳夫宅。
家族や仕事の変化に合わせて、住宅もルールにとらわれることなく
自由に増改築を繰り返してきた、という工房住宅。

1階は『ドマ工房』と称し、左に木工室、右にドマがあり、靴のまま
自由に出入りできます。床材は石敷き、壁や梁にはふんだんに木材を
使用。作業机は庭に面した明るい場所に、ひさし部分からも
光を取り入れる設計。

2階の事務所スペースも天窓が設けられ、いろいろなところから
自然光が入る。この光が照らす使い込まれた作業スペースや、壁などの木の風合い、
石とのコンビネーションが、とてもしっくりと馴染み、落ち着いた空間を生み出しています。

やさしくて大らかで自由な雰囲気を感じるこの住宅は、秋岡氏
そのものなのかもしれませんね。

作家が暮らし、作品を作り出す場所として存在してきた住まいは、
作家のパートナーであるとともに、作家の一部分として共に存在
し続けているのでしょう。

窓から見える、こんな景色を目にしながらあの作品は生まれたのかな?
そんな空想も楽しい本です。