ぬこのイラストブックれびゅう

ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

YES!規格外!!

行ったり来たり 僕の札束: 日本一有名な整形外科医が初めて語る医者とカネ』の

イラストブックレビューです。

 

 

高須クリニック院長、高須克弥が今まで手がけてきた仕事と
お金について語る。一度も儲けようと思ったことはない、
そう言い切る高須院長のお金に対する考え方とは。

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なんともケバケバしい金色のカバーに、昔懐かし昭和時代から
現代までの高須院長の顔写真が数点。
うわあと思ったのに思わず買ってしまったのはサイバラ効果です。
きっとこの本を買った読者の8割はサイバラファン、もしくは
ダーリンは70歳を読んだ方なのではないでしょうか。

破天荒な寄付っぷりで、この頃世に名を轟かせている高須院長。
その仕事ぶりもまたすごい。昭和時代、美容整形外科は日陰の
存在だったのだが、テレビに出たり、コマーシャルを
流して社会的に認知広めて行ったのは、この人の力。
コマーシャルでさえ流す事ができない時代だったんですね。

処女膜再生技術(そんなんあるんか!)に、包茎手術。
世の中に、声を大にしては言えないが必ず需要がある、
そんな手術を手掛けていきます。

処女膜再生技術なんかは、処女である事の価値が高かった?昭和44~45年頃に
とても人気があったそう。結婚前に手術する、とかそういうことですね。

また、日本男子の8割は包茎で、その頃にテレビや雑誌で女性たちに
『ハゲでもデブでもいいけど包茎はイヤ』みたいなことを言わせて
バンバン流して、『包茎は悪』という認識を世の男性に植えつけたり。
そこで男子たちはこぞって手術を受けに訪れたそうな。
悪いやっちゃな〜。

そんな風にして儲けた60億円。税務署に持っていかれたりしたけれども
今もクリニックは年間50億くらいの売り上げがあるらしい。

その使い方はル・マンで4億円(1周目で炎上)、オリンピックで
ナイジェリアチームに2000万円寄付、ヘリコプターでポケモンGOなど
やはり破天荒。

遺産とかどうするのかな?と思ったら一円も残さず死ぬのが目標とのこと。
子どもたちは自分で稼ぐ能力を身につけているからと。
確かにお子さんたちそれぞれクリニックで活躍されてますね。

高須院長は医者として非常に能力が高い。それでいて、常に最新技術を
自分の身体で試すし、目をつける技術が人と異なる。
その技術を引き継ぎ、完璧に使いこなせる医師たち、医院の運営に目を光らせる
優秀な実務スタッフたち、そういった人たちが、この人の規格外な発想と
行動力に魅せられて集まってくるのではないでしょうか。

自分は医師ではないし、金儲けについても参考にはなりませんが、
高須院長という人間の成分が垣間見える、という点で面白い本だと思います。

医師としての誇りを持ち、お金に対しては正直そう興味を持っては
いない方のように見えます。ユニクロ下着をホテルのクリーニングに出すという
くらいですしね。これからどんどんお金を落として、日本や世界の人々に
元気を与えて欲しいです。

自分も相手も大切にする自己表現法

マンガでやさしくわかるアサーション』の

イラストブックレビューです。

 

マンガでやさしくわかるアサーション

マンガでやさしくわかるアサーション

 

 

アサーションとは、コミュニケーション技法のひとつで、
「自分も相手も大切にする自己表現」のこと。

アサーションの第一人者として活躍する著者によるわかり
やすい解説とストーリーマンガのサンドイッチ形式で
アサーションの基礎を楽しく学べる。

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自分の言いたいことを伝えられない。
多くの人が経験している事だと思います。
アサーションは、自分の思う事を相手に伝える技術。
それも一方的ではなく、相手のことも大切にしながら
さらに自分の事も大切にするのです。

強引に仕事を頼んでくる上司。
自分の仕事もあるから、本当は別の人に頼んで欲しい。
そう主張して揉めるのも嫌だから仕方がない…。

そんな思考を持つ人は多いのではないでしょうか。
自分も若い頃は、苦手なタイプの上司に対してそんな状況になっていました。
当時は解決方法なんて思い浮かばす、同僚と飲みに行って
憂さを晴らしていました。

本書では、人は自分らしく生きる権利がある、と述べています。
それは相手にとっても同じ事なのです。
そして、自分も相手も異なる考えを持っているのが当然である
という事も。

まずは自分の気持ちを分析し、状況を伝え、自分の主張を述べ、
相手に対しても配慮、つまり選択の余地を与える、ということ。

これは、ある程度社会に出て働いている人であれば、身につけている
技術かなとも思います。
それができないと、全部自分で背負い込むことになりますし、
体調を崩したり、退社まで追い込まれる事態になりかねません。

今の世の中は余裕がなくて、皆限界ギリギリで働いている印象があります。
少なくとも、自分がかつて働いていた職場はそうでした。
だからと言って、自分が黙って我慢すればいい、などという考えは
その場は良いかもしれませんが、結局は自分のためにも相手のためにもなりません。

大変なのはお互い様。その状況を変えられないならば、自分と相手の状況を
理解し合い、共有し、新たな発想を生み出していくのが、互いに気持ちの良い
コミュニケーションを生み、仕事に良い結果をもたらすはずです。

忙しいから仕事を押し付け合う?
話し合ってみたら、その忙しい仕事の中に、不要なものが含まれているかも
しれません。それにしても相手と関わらなければ問題点も解決策も
見つからないのです。

これから社会人になる若い世代の人たちにも是非身につけてもらいたい
技術だと思います。自己主張は難しいけど、技術を身につけて経験を
増やしていけば、自分らしく生きていくベースとなっていくのです。

おもしろすぎる動物たちの世界

爆笑! どうぶつのお医者さん事件簿』の

イラストブックレビューです。

 

爆笑!  どうぶつのお医者さん事件簿

爆笑! どうぶつのお医者さん事件簿

 

 動物園の勤務経験がある獣医さんが、実際に起こった
動物のおもしろエピソードを紹介。
ペットの犬や猫、ハムスターから、動物園のサル、ヒツジ、
トラ、シマウマの驚くべき生態まで、驚きと爆笑のコミックエッセイ。

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猫はボルトよりも2秒速く走ることができる
ヒツジは毛を刈らないと熱中症で死んでしまう
チンパンジーはお酒を飲んでストレスを発散させる…などなど
知れば誰かに話したくなる動物ウンチクが盛りだくさん!

動物園にいる動物たちが快適に生きて行くためには、飼育員の環境整備と
獣医による健康管理が重要。
具体的に、日常どんなケアが必要なのかなど、はじめて知ることばかり。

トラの爪切りは命がけとか、新米スタッフを教育するゾウとか、
足が弱ったシマウマを起こす時に噛まれたり蹴られたり…。
それでも皆さん、動物たちが元気になると喜びを感じているんですね。
動物たちに対する愛情がひしひしと伝わってきます。
動物園の動物たちが元気な様子を見せてくれるのは、彼らの愛情と
努力の賜物なんですね。

家庭で飼育するペットについても注目。
可愛いからと、人間が食べる焼き鳥を犬にあげてしまい、太らせすぎたり、
シャンプーをしすぎて皮膚炎になってしまったり。
良かれと思ってやったことが、ペットの負担になっていることもあります。
これは注意しなくてはいけませんね。

家で飼うペットも、動物園の動物も、知れば知るほどもっと動物たちが
好きになる、楽しくてためになるエピソードが満載です。
これを読んで動物園に行けば、今までにない新鮮な目で動物たちを眺める
ことができる気がします。カップルで行く方はオランウータンにご注意を。
何かを飛ばしてくるかもしれませんよ…?

 

連続通り魔と自分。違いは何なのか?

エイジ』の

イラストブックレビューです。

エイジ (新潮文庫)

エイジ (新潮文庫)

 

連続通り魔の犯人は同級生だった。
自分と犯人の彼との違いはなんだ?
揺れ動く14歳の少年の心を描いた物語。

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14歳のエイジは両親と姉の4人家族。
ごく普通の、平凡な日常を過ごしている。近隣ではこのところ
通り魔事件が発生していた。自転車で背後から近寄り、歩いている人に
怪我を負わせるというもの。

同じクラスの同級生が容疑者として逮捕された。
全く信じられない状況に驚き、戸惑うエイジ。
この逮捕により、やってきたテレビ局のインタビューに対し、
別のお調子者の同級生がふざけて失言する。

その様子がテレビで放送されると、当然周りの人たちから顰蹙を買う。
友人のフォローをしながらも、フォローする違和感も持つエイジ。
少し前まで、悪ふざけしても許されたよね?
これは悪ふざけしてはいけない場面だってわかる。
でも分別くさくそんなことやるもんじゃない、って言う自分にも
違和感がある。

否応無しに常識的に考えて行動することが求められてる。
体は大きくなったけど、精神的につていけない部分がある、それが
14歳なんだなあ。

そのついていけないことを説明できない、それもこの年代には
あることなのだな、と理解しました。女子の場合はまた、世間に対する
認識が男子と異なるとは思いますが。

ティーンエイジは、体と心が大きく成長する時期。
世間が認識する成長と本人の成長具合は異なる部分があって当たり前。
成長のスピードや度合いはその人の個性によるのです。

周りの大人が理解して、抑えつけるのではなく見守り、寄り添い
必要な時は手助けしてあげる。そんな風に接することが求められて
いるように感じました。そしてその成長を、本人とともに
分かち合うことができれば、こんなにうれしいことはない。

作品を通して、少年エイジの成長が見届けることができ、
またすっかり忘れていたティーンエイジの気持ちを少しだけ
理解することができた、親としても勉強になった物語でした。

作家たちの作品に対する考えが刺激的

文藝モンスター』の

イラストブックレビューです。

文藝モンスター (河出文庫)

文藝モンスター (河出文庫)

 

 文藝賞受賞者が集まって開催される飲み会で、殺人事件が発生。
ミステリー、ホラー、文学、エンタテイメント、あらゆるジャンルの
作家たちが各自の推理を繰り広げる。

 

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登場する作家たちのキャラクターが際立つ作品です。
自分の書いたホラーが怖すぎて気絶してしまう、超怖がりのホラー作家や、
編集部さえ一度もその姿を見たことがないという恋愛ものが好評価な謎の作家、
小説の一文一句、ページ数まで正確に記憶するミステリ作家など。

主人公の、今回受賞された女性作家が1番地味。というかまとも。
しかし、この人がいないと順調に物語は進みません。

過去と現在の文藝賞受賞者が集まる飲み会、こちらで猟奇的な殺人事件が
発生します。参加者全員並びに、飲み会の会場主人が容疑者に。
互いにアリバイを確認し合ったり状況分析をして推理します。

ここで超怖がりのホラー作家が、怖いのは知らないからだ!
という理論のもと警察も無視してガンガン調査しまくります。
このへんのくだりは、現実の世界の住人VS夢の世界の住人ようで、やりとりが
ずれている感じがおもしろい。

正直、事件の内容と結末に関しては、うーん?と首をひねる部分も。
事件の内容に関しては、犯行を実施するには時間が足りないのでは?とか
結末については、年齢設定がちょっとおかしくないか?とか。

しかし、この作品、ミステリとは言いますが、本当に注目すべきは
登場する作家たちが述べている本についての見解。

作家は書きたいものを書かせてもらえない
作家は売れるものを書くべき
書かなくては生きていけない
本は作家の感情の垂れ流し

などなどこれはほんの一部分。作家が変人だと言われたり
するのは、このようなことを考えているからなんだなと。

そして、作家と編集者・出版社は基本的に相容れない存在であると。
でも、良い本を世に出そう、出したいという気持ちは互いに同じで
あるのではないか、ということを本書は教えてくれているのかなと
思います。

本を書く、作る、売るということはどういうことなのか。買う、読む
とはどういうことなのか。
本との関わり方を今一度見直すことができる物語です。

ねこ背は治る!からだが変わる!

ねこ背は治る! ──知るだけで体が改善する「4つの意識」』の

イラストブックレビューです。

ねこ背は治る! ──知るだけで体が改善する「4つの意識」

ねこ背は治る! ──知るだけで体が改善する「4つの意識」

 

 治療・トレーニングは必要なし。
読んで「知る」だけで、身体が変わります。
1呼吸が深くなり、2ねこ背が治り、3腕力が上がり、
4速く歩けるようになる、知れば納得の知識です!

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PCやスマホを操作する、本を読む。
あらゆる動作で、『ああ、ねこ背になっているなあ』と
感じます。でも、このように、書籍のタイトルや人との
会話で『ねこ背』という単語が出てきたときくらいしか
気にしないです。

長時間同じ姿勢で作業していると、首、肩、腰が痛いなあと
感じることが良くあるので、きっと姿勢が悪い、つまり
ねこ背になっているのだろうなあと思います。

こちらはからだの仕組みを解説し、体の各部位をあるべき
位置に置く事を教えてくれます。
するとなるほど、ストレッチとかせずとも『意識する』だけで
だいぶ背筋が伸びるようです。しかも無理せずに!

画期的ですねぇ。自分が特に参考になったのは、歩くときの章。
みぞおちのあたりに意識を置き、ここから足を出すのです。
年末年始、これを念頭に歩き回ってみたところ、あら不思議。
疲れないんです。ガンガン歩けます。しかも速く。

つまりこれは腿から下の部分を使って歩いているのではなく
腰からみぞおちにかけて存在する大腰筋という筋肉も使って
歩いているため、大きなストライドでぐんぐん歩けるのです。
歩くのが楽しいというのは、40代にして初めて経験しました。

ほかにも、使っていない身体の部分がわりとあるということに
気付きました。一部分だけ一生懸命使っていれば、負荷が高まり、
身体のほかの部分にも影響が出ます。

身体のあらゆる部分を上手に使って、元気良く、快適に過ごしたい
人には最適な本だと思います。今年もガンガン歩くぞ!

思考の「クセ」を直して朗らかな日々を

「ささいなことをつい、引きずってしまう」がなくなる本』の

イラストブックレビューです。

 

 ちょっと太った?いい人いないの?何やってもだめだな。
相手に言われたことをいつまでも引きずってしまう。
それは性格ではなく、思考のクセ。そんな思考のクセが
なくなる方法をマンガと文章でわかりやすく紹介。

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誰しも何かグサッとくる言葉を言われたことがあるはず。
問題はその一言が消えることなくいつまでも心に残り続けて
マイナスの感情が発生し続けること。

まずは相手と自分の領域を分ける。
自分の良いところを見つける。
相手に言われた内容を整理する。
だいたい事実を指摘されているのであって、個人が否定されて
いるわけではない場合が多かったりします。

傷ついた自分を認めてあげて、なおかつプラスの言葉で
感情をプラスにしてあげる。
例えば失敗して落ち込む→経験値を増やしているのだ、
というように。

著者は『ほめ日記』なるものを提唱しています。
落ち込むのは自分の内側ばかりに目が向いてるということ。
自分から一歩離れて、外側から眺めてみるのです。

自分を客観的に見て、よくできた、頑張っているということを
書いていくのです。このことにより自己肯定感が生まれ、
自分にも周囲にもやさしくすることができる。

子供のことは褒めたりするけど、自分のことはなかなか
褒めることはありません。相手の発する言葉にムッとしたり、
イライラしたり卑屈になったりするのは、自分の内面でもやもやと
あれこれ考えすぎになっているからなのかも。

毎日の日記に一行加えて自分を褒めること。
これくらいであればチャレンジできそう。
常に自分を認めること、その結果相手のことも認めることに
つながっていくのかなあとおもいます。