『夜届く 猫丸先輩の推測 』の
イラストブックレビューです。
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- 作者: 倉知淳
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2018/01/22
- メディア: 文庫
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ある冬の日の夜、一人暮らしをしている八木沢行寿のもとに、
差出人不明の電報が届いた。内容は「病気、支給連絡されたし」。
慌てて周囲に電話をかけてみるが、病気になっているものはいない。
しかも、火災、浸水など、さまざまな文面パターンで何度も届く。
困った八木沢は、猫丸先輩に相談するのだが。日常に潜む謎を、
猫丸先輩が解決するミステリ短編集。
小柄で童顔、眉の下までふっさりと垂れた柔らかそうな前髪の奥には、
仔猫のようなまん丸で大きな目。三十過ぎだけど、高校生のような
見た目をしていて、定職にはつかすにフラフラしている。
つまり、カタギには見えないけれどかわいい見た目のおっさん?
というなんとも不思議な猫丸先輩は、さまざまな謎に遭遇します。
何度も届く、差出人不明の電報の意味は。
行方不明となった猫の捜索を邪魔する者とその理由は。
商店街の起死回生を狙った縁日に嫌がらせをするのは誰なのか。
夜の街を、何人ものサンタが全力疾走していたのは何故か。
日常に起こるちょっとした謎。
猫丸先輩は、その謎を話を聞いたその場で解決したり、時には現場に
出くわし、怪しい人間だと疑われながらも軽やかで見事な推理を
披露します。
しなやかに、するりと現場に入り込んで、必要な情報を
ゲットして行く猫丸先輩はまさしく猫のようです。
そして適度に厚かましいところも猫に似ています。
図々しくも憎めない猫丸先輩が、その鋭い洞察力を持つのは大きい
目を持っているから?いつのまにか人の懐に入り込んでちゃっかりと
リラックスする様子は、見事なものです。
最初は何だこの変わった男は?と思いながら読んでいるのですが、
読み進めて行くうちに、今度はどうやって解決してくれるのかな?
といつの間にやら猫丸先輩に大きな期待を寄せてしまいます。
そして、思った通りに、時には予想以上に活躍してくれるのです。
個性の強い、何とも不思議な魅力を持った猫丸先輩に、ぜひとも
会って話をしてみたいなあと思ってしまいました。
あ、でも、きっとちゃっかり奢らされてしまうのだと思いますが…。