ぬこのイラストブックれびゅう

ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

大人のための極上な癒しの場所と時間

午后のあくび 』の

イラストブックレビューです。

 

毎日がちょっとフシギ。ヘンテコな事が次々と、あぶくのように
湧いてくる、ここは白玉町。この街に住むOLのひび野あわこさんの
うたかた日々を綴った、キュートなショートマンガ。

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猫の道案内、傘を通して見える水中の世界、北極を目指して
屋台をしながら旅をするしろくまおとぎばなしのような
かわいい登場人物、物、景色は、忘れかけていたワクワク感を
思い出させてくれて、時に楽しく、時に切なさを感じさせてくれます。

気に入ったのは『船の図書館』というお話。
その名の通り、船の中に(というか上に?)図書館があります。
借りたい本があったけど、今日出港してしまうという船。
では借りる事は無理か、と肩を落とすあわこさんに、
館長(?)の女性が本を貸してくれると言います。

返却日はだいたい2年後
それくらいにまたここへ来るから
そのとき返しにきてよ

そう言って船は港を出て行くのです。
船の上の図書館、という設定もグッと来ますが、次にやってくる
までの、2年までもの間本を貸してくれる。
その大らかさと、読者を信用してくれる加減に、心がじんわりと
暖まるような感覚になります。

ほのぼのとしたかわいらしい絵柄と、やさしくてファンタジックな
内容がピタリとハマり、極上の癒しの時間を与えてくれます。
ちょっぴりユーモアを効かせたセリフのやりとりもあり、大人の
ための物語としても楽しめます。
日常とフシギの境目が曖昧になる、そんな感覚が心地好い
ショートマンガです。