『午后のあくび 』の
イラストブックレビューです。
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- 作者: コマツシンヤ
- 出版社/メーカー: 亜紀書房
- 発売日: 2017/11/09
- メディア: コミック
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毎日がちょっとフシギ。ヘンテコな事が次々と、あぶくのように
湧いてくる、ここは白玉町。この街に住むOLのひび野あわこさんの
うたかた日々を綴った、キュートなショートマンガ。
猫の道案内、傘を通して見える水中の世界、北極を目指して
屋台をしながら旅をするしろくま。おとぎばなしのような
かわいい登場人物、物、景色は、忘れかけていたワクワク感を
思い出させてくれて、時に楽しく、時に切なさを感じさせてくれます。
気に入ったのは『船の図書館』というお話。
その名の通り、船の中に(というか上に?)図書館があります。
借りたい本があったけど、今日出港してしまうという船。
では借りる事は無理か、と肩を落とすあわこさんに、
館長(?)の女性が本を貸してくれると言います。
返却日はだいたい2年後
それくらいにまたここへ来るから
そのとき返しにきてよ
そう言って船は港を出て行くのです。
船の上の図書館、という設定もグッと来ますが、次にやってくる
までの、2年までもの間本を貸してくれる。
その大らかさと、読者を信用してくれる加減に、心がじんわりと
暖まるような感覚になります。
ほのぼのとしたかわいらしい絵柄と、やさしくてファンタジックな
内容がピタリとハマり、極上の癒しの時間を与えてくれます。
ちょっぴりユーモアを効かせたセリフのやりとりもあり、大人の
ための物語としても楽しめます。
日常とフシギの境目が曖昧になる、そんな感覚が心地好い
ショートマンガです。