パリ料理修業時代の友人から渡された辻静夫の名著に導かれ、
遠くロンドンから「日本を食べに」やってきたブース一家。
新宿、築地、銀座から伊豆天城、北海道は札幌、南茅部まで、
原作に描かれた《東日本》での旅のようすを大胆に漫画化!。
ベストセラーとなった本書。なんとなく興味はあったのだが
読むのがしんどうそうだなあ・・・
なんて思っていたらコミック発見!これはいいじゃないか~と
手に取りました。
英国人から見た日本食のイメージ。見た目ばかりがきれいで味が薄い。
なるほど~。出汁と白しょうゆなんかで作る煮物は素材の色しか
見えませんしね。
それにしても、出汁や素材の味って、理解できるのかな?
日本人であるわれわれは食べなれていておいしいけど
料理がいまいちと評判の(失礼ですが)イギリスの人に
おいしいと感じられるのだろうか。
本書の中には、日本料理「壬生」での食事の様子も記されて
います。ここでの料理を口にしたとたん、著者はおいしさの
あまり身体が震えたのです。
震えるほどとは!著者がフードジャーナリストであることから
様々なものを食べている経験があるとは思いますが、
おいしさのあまり震えるなんてことがあるんですね。
服部栄養専門学校の服部幸應氏にも取材を行い、日本料理に
ついてインタビューします。古きよき日本料理が廃れていくこと
への危機感や食生活の乱れなど、日本の食全般についての
意見はなるほどと納得するとともに、確かに何とかせねば
ならない問題だなと感じます。
驚いたのは、この東日本編で取り上げられていた料理の多さ。
焼き鳥、天ぷら、クジラ、ラーメン、蟹・・・
改めて、日本ていろいろなものを、いろいろな調理方法で
食べているのだなあと感心してしまいました。
一家で旅行しているゆえに、様々なトラブルに巻き込まれる
様子も、ユーモアたっぷりに描かれています。
子どもはどこの世界でも同じですねえ。
たまに調子に乗ってしまう、子どものような著者と頼れる奥さん、
そして二人の怪獣くんたちが繰り広げる日本の食紀行は
楽しい笑いを読者に提供し、日本の食に力を尽くしてくれている人たちの
存在を明るくナビゲートしてくれます。
やっぱり、日本の食は素晴らしい。
そう思えるコミックエッセイです。