呑むほどに酔うほどに冴える酩酊推理!
続発する奇妙な事件を、屈指の酒量で解く本格推理の快感!
やたらと酒が強い主人公。
「肝硬変を通り越して肝臓が破裂するほど飲む」
とは、うらやましいというよりは、何と言うか
もったいないからもう飲むな、と言いたい。
やたらと飲むからといってくだを巻くわけでもなく
普段からもの静かで、それは飲んでも変わらない。
それでいて出てくる推理はすっきりと整っていて
心地よい。
このような人物は飲み会にいると非情に好ましいので
近くにいたらぜひ誘いたいところ。
現場にいる、というよりは酒場で、人の家で、
酒を飲みながら解決することが多いミス・マープルの
ような「ゆり椅子探偵」に近いのかもしれない。
彼を取り巻く人物は、騒がしく飲む豪傑な先輩や、
誰もが振り返る超美人のお嬢様など一癖も二癖もある
者ばかり。
その人物たちとの化学反応ぶりも楽しく、主人公の地味な様子を
いっそうひきたてている。
日常に起こるようなささいな出来事を、酒を飲みながら
ああだこうだと話し合う。
大概は「まあそうかもね」で終わって結果はわからないのだけど
正しい結論を出してくれるのは気分がいいものなのではないだろうか。
ただし飲みすぎていたら、その結果も覚えてないかもしれないけど。