ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

あした、死ぬとしたらどうする?

あした死ぬかもよ?』の

イラストブックレビューです。

あした死ぬかもよ?

あした死ぬかもよ?

 

 人生最後の日に笑って死ねる27の質問。
あした死ぬとしたら、何をしますか?

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人には必ず死が訪れる。その事を本当に理解していますか?
なんとなく過ごしたその1日は、誰かが必死に望んでも
手に入れることができなかった1日かもしれない。

ひすい氏は読者に様々な質問を投げかけます。
死ぬ前にやりたいことリスト10は?
あなたの人生は100点満点中、今何点?
なんのために、この命を使いたい?
など、どれもこれも思わず考え込んでしまう質問ばかり。

まずは自分が80歳くらいまで生きるとして、残された時間は
どれくらいなのか、両親に会える時間は?
あと何回桜を見ることができるのか?
具体的な数字を見ることで、自分の人生に限りがある事を理解します。
改めて考えて見ると、結構少ないですね。

時間に気づいたら、夢を思い出す、また再確認する。
いつかやる、って言ってる時間はあるのか?

自分は何をしに生まれてきたのか?
何をすれば満足して最期を迎える事ができるのか?

心の奥底にある、本当の自分の声が聞こえているか?
またはその声に従って生きているか。

自分にとっての現状を冷静に理解し、やりたい事を明確にし、
やるべき事を自覚して、自分に素直に生きる。
こういった事を段階を経て、わかりやすく頭と心に落ちていく構成と
なっています。

各章の間には、ひすい氏らしく、様々な人物の名言が挿入されて
います。ここで出会う言葉たちにも沁みるものが多くあるので
気に入ったものは自分の座右の銘にするのもいいかもしれません。

死を柱にして自分の事を見つめ直す事で、今まで見えていなかった
自分を見つけることができるかも。
様々な自己啓発本を集めたような、それでいてどれにもない切り口。
自分に課せられた今の役目にがんじがらめになっていて、逃げ出すことも
できない、と思っているような人にはぜひ読んでもらいたい。
状況を変えてもいつかは死ぬし、変えなくても死ぬんですから。
どうせ死ぬならいい環境で、後悔なく逝きたいものです。

1000年かけた恋

ぬしさまへ』の

イラストブックレビューです。

ぬしさまへ (新潮文庫)

ぬしさまへ (新潮文庫)

 

 江戸の大店の一人息子、一太郎が妖怪たちと事件を解決していく
お江戸妖怪奇譚第2弾。

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短編集といえど、心に残る話ばかりで、どれを取り上げようか
迷うほどです。全6話のうち、印象に残った2話をレビューしたいと思います。

まず、 現代女性にもファンが多そうな仁吉の失恋話。
江戸のイケメン仁吉は、外で仕事をして帰れば、袖の中に大量の付け文を
持って帰るような色男。そんな仁吉が思いを寄せていた相手は、同じ妖怪のお吉。
けれどもお吉は人間に恋していたのです。

人間との恋に落ちたお吉ですが、当然人間の方が命が短いため先に死んでしまいます。
けれどもお吉は生まれ変わった相手とめぐり合い、何度も同じ相手と
恋に落ちるのです。

と、なんともロマンチックな設定!少女漫画のように胸やけがしないのは
お吉さんが小股の切れ上がった、美しくカッコいい女性だから。
仁吉も応援したいけどお吉さんにも幸せになってもらいたいよ〜と
身悶えしてしまいます。

同じ相手と何度も恋に落ちて、まったく脇目をふらないお吉さんのそばで
じっと守り続ける仁吉。彼女を守り、見続けて1000年の時がたってしまったのです。
その長い時間に愕然としながらも、恋しい、ただ愛おしくてたまらないのだ、
とお吉への気持を再確認してしまう仁吉。
うおお こんな風に思われてみたーい、と40過ぎのおばちゃんでも
キュンキュンしてしまうのです。仁吉カッコいい。

それと、もうひとつ印象的だったのはこちらの物語。
ある日、一太郎がこっそり出かけて帰ってくるといつもと勝手が違う。
仁助は一太郎に小言を言うこともないし、妖怪たちもどこかへ出かけたのか
姿が見えない。クシャミをしても、誰も床を敷かない。
これが普通なのか、と自分に言い聞かせつつも、妖怪たちが全く
出てこない寝床は静かすぎて落ち着かない…。

他にもいくつかおかしな出来事がおこるのですが、仁吉や佐助たちは
一太郎の周囲に現れるおかしな気配に気づき、罠を仕掛けていたわけです。

正体の一つは、一太郎に思いを寄せていて、店で働いていた娘の思念。
その事を知った一太郎は、大人になりたい、と切に願います。
その娘の気持ちにはどのように返したら良いのかはわからないけれど、
気持ちに気づいてあげたい。そして対応できるように大人になりたい。

とにかく誠実に、そう思う一太郎は本当に心が優しい。
店で働く娘の気持を知ったところで、あくまで従業員のひとり。特別な
感情をその娘に対して持った訳でもない。
関係ないと言えばそれまでなのに、その気持ちを読み取って何か言って
あげたら良かったと思うのです。

この一太郎の優しさ、誠実さは彼の才能です。
この才能に惹かれて、妖怪たちも人間たちも彼を守りたい、サポートしたい、
と思うのではないでしょうか。むろん読者である私も。

事件解決後に戻ったいつもの生活に、一太郎は安心感を覚えます。
仁吉に自分たちのありがたみがわかりましたか?と言われて
真っ赤になって怒るところも可愛らしいくて、つい笑ってしまいます。
この手代たちと一太郎のじゃれあい?も楽しい要素のひとつです。

短編集ですが、どれも人の心に焦点を当てた印象深いものばかり。
何度読み返しても楽しめる、お得感の高い江戸物語です。

こんな風に暮らしたい 猫と過ごす余生

ねことじいちゃん』の

イラストブックレビューです。

ねことじいちゃん (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

ねことじいちゃん (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

 

 とある島で、妻に先立たれた老人と猫が暮らす日々。
75歳の大吉さんは、2年前に妻に先立たれ、猫のタマと二人暮らし

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意思が疏通しているような、してないような、そんな二人が
海が見える家で、のんびりと暮らしています。

猫好きにはたまらない、猫の生態の数々が、著者のやわらかいタッチで
とてもやさしく、可愛らしく描かれています。
都会と違って、野良もたくさんいる田舎の島。
飼い猫タマも近所の猫たちの集会にも参加して、仲良くやっているようです。

新聞を読んでいると、その上で寝転ぶ、膝の上に乗ってくるくせに撫でると
怒られる…などなど、猫飼いあるあるもたくさんあって楽しめます。

大吉さんも、近所の皆さんとコミュニケーションをとりながら、自炊もして
季節を楽しみ、妻のことを思い出し…とちゃんと生活しています。
自分だったら、連れ合いに先立たれたら引きこもってボケるかも。

季節ごとに、いろいろな料理チャレンジする大吉さん。
妻がかつて作ってくれたものだったり、子供の頃の思い出だったり。

年をとるということは、それだけいろいろな経験をしていくことなのだな
と、しみじみと思います。
当たり前のことなんだけど、その経験で今の自分があって、それを
自分の記憶の引き出しからちょこちょこ取り出して眺めていくのは
生きていくための大事な糧になるのではないかな。

でも、記憶ばっかりじゃ寂しいな、と思った時には、傍に猫がいる。
ゴロゴロ喉を鳴らして横にいてくれたら、それだけでこちらも幸せな
気分になれるのです。

大吉さん、75歳。ときどき健康的に不安な面もあるけれど、タマと二人なら
ホンワカと楽しく、穏やかな日々を過ごしていけそうです。
こんな老後が過ごせたら幸せですね。自分としてはコミュニケーション能力を
高めることが課題になるのですけれど。

食事から伝わる日常の大切さ

キッチンぶたぶた』の

イラストブックレビューです。

キッチンぶたぶた (光文社文庫)

キッチンぶたぶた (光文社文庫)

 

 ぶたのぬいぐるみ、ぶたぶたさんが営む洋食屋には
様々なお客がやってきます。
その料理と佇まいで、訪れた人たちに見えていなかったものを
気づかせてくれるのです。

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ぶたのぬいぐるみ、その名も山崎ぶたぶたさんは見た目は
かわいいぶたのぬいぐるみ、中身は分別のある落ち着いた
中年男。

その見た目に人は驚き、興味をかられ、その料理の腕前と
味、そしてぶたぶたさんの思慮深い言葉から、新しい視点を得るのです。

いくつかの短編の中、印象に残ったのはこちらの話。
ある日、突然に料理の匂いがしなくなったサラリーマン、映一。
好きな仕事に就き、家族にも恵まれ、何の不足もない日常と
思っていたのだが。このところ料理の匂いがせずに、困惑する日々を過ごしています。

通っていたスポーツジムのサウナでぶたぶたさんに出会ったことが
きっかけで、ぶたぶたさんお店に通うことに。
そこでスープをご馳走になったり、味噌汁の作り方を教わったりしているうちに
自分自身の内面に気づいていきます。

代わり映えのない日常に嫌気がさしていたこと。
恵まれた環境なのだからと、その気持ちに蓋をしていたこと。
心を込めて作ってくれたものには味がすること。
その料理はいつも妻が作ってくれていたこと。
代わり映えのない日常に、妻の料理があること。

ぶたぶたさんは食べ物周りを非常に大切にしています。
相手を思って作ること、相手を思って食べること。
日々の食事は、そんな大切な人々の気持ちに溢れているということを
気づかせてくれるのです。

読んだ後は、作ってくれた人、食べてくれた人に思いを馳せて、
日々好きな人食卓を囲むことのありがたさ、美味しい食事を
美味しいと感じるありがたさを強く感じます。

そして毎回思うのは、うちの近所にもぶたぶたさんのお店が
あったら通うのになあ、ということ。
いつか 会えるといいな、そんな想像も楽しい、あったか
キッチン物語です。

知れば知るほどおもしろい!!日本人ヘンな習慣

もぐらと奈加ちゃんが「日本人のヘンな習慣」について考えてみた。』の

イラストブックレビューです。

 

日本人は無宗教なのか?
お土産は何のためにあるのか?
なぜマイ茶わん、マイ箸なのか?

普段はまったく気がつかないいつもの習慣も、外国人から見たら
驚くべき内容だった!?
小学生の奈加ちゃんと、しゃべるもぐらが、そんな日本人の変な習慣を
わかりやすく解説するコミックエッセイ。

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無宗教とか言いながら、お寺の檀家に入っているし、お正月には初詣。
クリスマスにはケーキとチキン!!なんて当たり前の日本人。
いいと思ったらどんどこ取り入れる、そんな柔軟性を持ち合わせて
いるからこそ、の結果のようです。

実際、あなたの宗教なんですか?と聞かれても、うーん?と考えて
しまいます。少なくとも上記3点は普通にこなしてます。
そして目上を敬う、人を傷つけないなどの基本的な倫理観は
特定の宗教がなくても育っているのが日本人。

それには八百万の神、という信仰が影響しているのかと。
この八百万の神、という考え方はこの頃とてもいいなあと感じています。
どこにでも、何にでも神様が宿る。自然も、物も、亡くなった人も
全てが自分たちを見てくれている、と思うとありがたいなあと思うし
大事にしなくてはならないと思うのです。

この他にも、お土産やうがいの由来など、様々な習慣の解説を
してくれます。読んで感じるのは、日本人て本当に深いレベルで
無意識に相手を思いやったり、神様を身近に感じて敬っていたり
している民族なんだなあという事。

知れば知るほど、日本人で良かったなと思える、おもしろ雑学が
満載です。子どもたちにもぜ読んで欲しいなあ。

世界一最高な夢の叶え方

世界一ふざけた夢の叶え方』の

イラストブックレビューです。

世界一ふざけた夢の叶え方

世界一ふざけた夢の叶え方

 

 世界最速で夢を叶える方法。それは仲間と夢を語り合い、
紙に書き、報告し合うこと。

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あした死ぬかもよ?などのベストセラー作家、ひすいこうたろう氏、
インフォトップを立ち上げた菅野一勢氏、人生が変わるセミナーを
次々とプロデュースする柳田厚志氏。

あるセミナーで、ひすい氏を軸に知り合った3名は、居酒屋で
定例会を開くようになります。
そこで目指す夢を各自紙に書いて発表し合います。

当時の3人は、現実とかけ離れた夢を発表。
酔っ払っていた事もあり、お前ならできる!と肩を叩き合って
盛り上がったのでした。

まずは夢を語り合う事ができる友人と巡りあえるというのがすごい。
本田健さんのセミナーで出会った、というのがもう夢を叶えるための
人探しに行っているわけです。

ひすいさんは赤面症で暗い性格、とありますが、この人!と思った人を
見つけ出す力と話しかける事ができたことは、もう夢に向かって
走り出していたのではないかと。

3人が出会い、互いの夢を知り、進捗状況を報告し合う。
これは確かに、目標に向かって走る速度が倍増するかも。
2人だと、相手が凄過ぎれば落ち込んでやる気を無くす可能性もあるけれど
3人というのは絶妙なバランスです。
いい感じでフォローしてあげたり、また助けてもらう、という
ことができる組み合わせなのだと思います。

さらに、3人とも、夢を達成したその先の生き方がハッキリしていたのが
よかったのではないでしょうか。

達成して終了、ではなくてその先にどうやって生きているのか。
その自分の姿が見えるからこそ、減速する事なく成功し続けて
いるのだと。それにしても、成功のその先なんて、1人で考えるには
限界があります。そこで仲間の生き方が参考になったりするわけです。

夢を叶えるのは自分。でも、仲間が横で見ていてくれたり、ちょっと
先から振り返ってアドバイスをくれたり、時には自分が仲間に手を
差し伸べたり。そうして得た成功の喜びは、きっと倍増する事でしょう。
自分の成功だけでなく、人の成功まで我が事のように喜べるなんて、
こんな素晴らしいことはないのでは。

そして仲間と報告し合ったり、仕事をするのが何より楽しそう!
仕事が、生きているのが全てが楽しく感じられる、そんな人生が目標です。
自分の子どもにも胸を張って、大人って楽しいよ!と言いたいですね。

ときめき要素満載のお江戸幻想奇譚

しゃばけ』の

イラストブックレビューです。

しゃばけ

しゃばけ

 

 江戸有数の大店、廻船問屋一人息子である一太郎
大変病弱なために、親や周囲の人間は非常に過保護に彼をお世話する。
こっそりと家を抜け出した一太郎は殺人事件目撃する。
そこで、彼は妖怪たちを使って事件の解決に臨む。

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病弱な一太郎は、病弱で、少しのことですぐに熱を出す。
子供の頃から兄がわりでそばについてくれているのは店の手代である
仁吉と佐助。5つほど年上の彼らは、実は1000年以上も生きている
妖怪であった。

というと、おどろおどろしい世界が繰り広げられるのかと思いきや、
この二人、一太郎に対してメチャメチャ過保護なんである。
一太郎がクシャミひとつしようものならたちまち床をしいて
白湯を差し出す。一太郎はもう17歳。
過保護な妖怪たちにため息をつきつつも、実際自分の体が弱いことは
事実なのであえて文句は言わない。育ちがいいんである。

幼い頃から床についていることが多かった一太郎には、仁吉と佐助のほかにも
優男風のなりをして屏風から出てくる屏風男、小鬼のような姿形で
たくさん出てくる鳴家(やなり)など多くの妖怪たちと時を過ごしてきた。
彼らは、お菓子をくれたり、褒めて撫でてくれる一太郎が大好き。
わらわらと一太郎に群がる姿は微笑ましくて、可愛らしい。

妖怪に囲まれて暮らしている一太郎、体は弱いが頭は切れる。
そこで妖怪たちを使って聞き込みを行い、事件の解決に挑むのだ。
彼が自分の弱点を理解し、諦めるでもなく、ふてくされるのでもなく、
やるべきことに立ち向かって行く姿に好感が持てる。

ふだんから人にも妖怪にもやさしくて、その上、やるときには
彼らの助けを得ることなく、自分で敵に挑んでいくのだ。
その方法も、一太郎らしく、頭を使って賢いやり方でいくのがまたいい。

妖怪という濃いキャラクターの背後で決して埋もれることのない
病弱なお坊っちゃまは、芯の通った男なのである。
でも体が弱いから、頑張った後はまた寝込んじゃうのだけど。

非常に読みやすい、堅苦しくない文章と、情景が浮かび上がってくるような
背景の描写、何より、妖怪も人間たちもイキイキと動き回る姿が目に浮かぶ
楽しいお江戸妖怪奇譚。時代物が苦手という人にも楽しんで読めると思います。