ぬこのイラストブックれびゅう

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雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

本当の殺人犯は誰?予測不能な秀逸ミステリー

そしてミランダを殺す  』の

イラストブックレビューです。

 

妻の浮気を知り、怒りの気持ちでいっぱいになっていたテッドは、空港のバーで
見知らぬ美女リリーに声をかけられる。酔った勢いで「妻を殺したい」と言って
しまうテッドに、リリーは同意し、協力を申し出る。二人で計画を進めるうちに
予想外の出来事が起こる。

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実業家でお金持ちのテッドには、若くて美しい、魅力的な妻、ミランダがいます。
別荘を建てることになり、多忙なテッドに変わって、ミランダが現地へと赴き、
工事の進行をチェックしたり、指示を出したりしています。ある日テッドは、
妻を驚かせてやろうと妻には内緒で建設中の別荘へと向かいました。そこで、
ミランダと業者の関係を疑い、日を改めて彼らを観察したところ、浮気の決定的
現場を発見してしまいます。

怒りや苦しみで頭がいっぱいになってしまうテッド。しかし、ミランダにさりげなく
水を向けてみてもシレッとかわされ、まるで疑っているこちらの見たものが嘘だった
のではないかと思うほど。おまけに、現地では疑われるような行動を避け、一切人目
につかない状況で浮気していたという、狡猾な部分も。悪い女だなあ。

そんなテッドに話しかけてきたのは、赤毛の美女、リリーでした。テッドの話に同意し、ミランダは殺されるべきであり、自分が殺害について協力する、と申し出ます。
驚き、戸惑いながらも、ミランダの行為に対してどうにも気持ちが収まらず、殺意を
固めていくテッド。そしてリリーと計画を進めていくうちに、テッドは彼女に惹かれ
始めている自分に気がつくのですが。

ミランダと面識のないリリーが殺害計画に参加することにより、計画は確実性の高い
ものに見えました。しかし、ミランダも大人しく殺されるようなタマじゃございません。さすが悪い女だなぁと思わせる、すごい罠をミランダも仕掛けていたりするのです。

そして、もう一つ、12歳の少女が大人の男性を殺害し、その死体を井戸に入れて隠す
という過去の話が出てきます。この少女はいったい誰なのでしょうか。ミランダ?
それともリリー?二人の女性の過去はどんなものだったのか。

次から次へと明らかになる、ミランダやリリーの本性、そして過去。同時に誰かが
殺されようとしていたり、また他の誰かが殺そうと策略をしたりしていて、怒涛の
展開にページをめくる手が止まりません。

サイコパスな殺人犯とは、魅力的な人物であるということがよくわかります。
その魅力に取り憑かれた人物たちが、さまざまな被害に巻き込まれていくのもまた
仕方のないことなのかもしれません。

そして迎える衝撃のラストに思わず「ああっ!」声を上げた後、深いため息を
ついてしまいます。見事な構成で、最後の最後まで読者を引きつける、秀逸なミステリーです。


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