ぬこのイラストブックれびゅう

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雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

老いは笑いで吹き飛ばせ!爆笑老化エッセイ

読書人が集う『シミルボン』にて、インタビュー記事掲載!

https://shimirubon.jp/columns/1691046 

 

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よれよれ肉体百科 』の

イラストブックレビューです。

 

歳を重ねると、身体が言うことをきかなくなってくるものです。
身体の変化を自然に受け入れて、アンチエイジングにアンチでいよう!
脇腹、鼻の下、足の小指、へそ、尿もれ…。56箇所の部位について
ユーモアたっぷりに描いた抱腹絶倒エッセイ。

 

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人は誰しも歳をとるものです。それも、日常生活の中のふとした
瞬間に気づいたりします。それを著者の目線で、軽妙におもしろ
おかしく綴るエッセイです。

ほうれい線と名前をつけた瞬間から、その部位が気になって仕方が
ない女性たち。最近ではマリオネットラインなるものまで名前が
つき、アンチエイジング活動を活発にさせる動きが世の中にはあります。
しかし、皺は皺。できるものなのだから仕方がない。著者は
毎朝鏡に向かって、ラインを刻んだ自分の顔に「おはようゴルゴ」と
挨拶し、過剰なアンチエイジング思考と戦う姿勢を見せるべく不敵に
笑って見せるのだとか…。

また、せんべいを食べている時に気づいた、口の周りに出る縦ジワ。
サザエさんに出てくる意地悪ばあさんの象徴であるようなこの口の
周りの縦ジワが、いかにもババくさい、と著者は嘆きます。かといって
ヒアルロン酸を注入したりするまででもないし。とりあえず大人として、下品な
食べ方しなければいいや、と落ち着く。

こういった調子で、他にも飲み込んだ時にむせる喉、女性の甲高い話し声が
聞き取れない、手のシミが増えたことを北斗七星になぞらえる…
などなど、様々な部位の老化について自分や周囲の事例を用いて
描いています。

老いに対して抵抗することなく、「ほう、そうきたか」と受け止め、
「まあそういうこともあるね」と柔らかく吸収する姿は、作家ゆえなのか
何なのか。もともと身体や見た目に気を使わないタイプの人なのかと思いきや
ネットで画像を確認したら、和風な美人でした。

著者は現在60代。この世代は、こういった身体の変化があるのか、と
予習するも良し、自分の親が近い世代であれば、母のあの不可思議な
行動や言動はこういうことだったのね、と考えるのも楽しいかも
しれません。

顕著にあらわれる部位や速度の差こそあれ、誰にでもやってくる老い。
あたふたせずにどーんと構え、時に笑い飛ばすようなそん素敵な歳の
取り方をしたいものだなあと思わせてくれるエッセイです。