ぬこのイラストブックれびゅう

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雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

思い込みという名の贅肉から解放されたい

あなたのゼイ肉、落とします』の

イラストブックレビューです。

 

 

話題のダイエット本『あなたのゼイ肉、落とします』の著者、大庭小萬里はマスコミに一切登場しない謎の人物。個人指導も行っているが、本人が気になった人物しか実施しないと言う。彼女に依頼を持ちかけたのは、アラフィフの働くママ、19歳の女子大生、30代前半のサラリーマン男性、果ては小学生男子など。様々な事情でぜい肉を身につけた彼らに、謎のベールで包まれた小萬里は一体どのようにして痩せさせるのか。

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夫と社会人の娘と三人暮らしの照美。これまでは割と美人扱いをされてきましたが、最近太ってきたせいか、会社の人たちから自分に向けられる視線が冷たいような気がしています。食べたものを記録するレコーディングダイエットもやってみたし、糖質制限メニューも研究して、だいぶヘルシーな食事を毎日作れるようになりました。それなのに一向に痩せないのは何故?

 

『あなたのゼイ肉、落とします』を読んでみたところ、自分に該当する部分が多々あると感じた照美。ダメ元で小萬里に依頼のメールを送ってみたところ、なんとキャンセルが出たためにOKですとの返事。待ち合わせのカフェに現れた小萬里の姿とは。

 

グレーのパンツに黒のカーディガンを身につけ、キルティング生地で作られたお手製トートバッグを手にした小太りのおばさん。そんな小萬里の姿にあっけに取られる照美。あなたの方がダイエットが必要なのでは…?などと考えてしまいます。小萬里から指導された内容は、食生活や生活習慣などどれも照美にとっては理解しているし、心がけているものばかり。不信感と諦めを態度に出す照美に、小萬里はこんな一言を放ちます。

 

「ブスとして生きる訓練をすることです」

  

ええ!?どういうこと!?

照美はもちろん読者もびっくりです。この言葉をきっかけに照美は自身の現在の状況を振り返ります。

 

女性ということを最大限の武器にして生きよという母の考え方が嫌いで、勉強を頑張り大学を出て、堅実に働いてきたこと。しかし、ブスが生きていくには愛嬌が必要。今までそんなことを考えてこなかった自分だけれど、まずは笑顔を心がけてみるべきなのかも。

 

また、懸命に家事をやっているのに無駄になることも多く、それがストレスになり、どか食いに繋がっていくことにも気づきます。そこから、照美は自分の体に合ったダイエット、さらに生き方を見つけていくのです。

 

体が太った、ということは、心や体に何か問題が起こっている状況に目をつぶっているサインなのかもしれません。環境の変化や自分の体の変化は、適切なものなのでしょうか。ちょっとした変化や違和感をそのままにして、見ないようにしているといつの間にか厚い脂肪に包まれて、問題そのものが見えなくなってしまうものなのかもしれません。今までこうだったからそのままでいいのだ、世間的にもこうだからいいに決まってる、といった多くの思い込みは脂肪と同じように体の動きを鈍らせ、新しい考えや行動の妨げとなるのです。

 

愛想のない小太りのオバさん、小萬里はズケズケと遠慮ない言葉を放ちます。それは衣服も言葉も、無駄なものは身につけないから、真実が他の人よりも良く見えるという一面もあるでしょう。彼女が凄腕のダイエットトレーナーである理由は、クライアントが痩せた姿を想定するのではなく、彼らの本当の望むことを手に入れ、笑顔になれる未来を描くことに力を入れているからなのではないでしょうか。ダイエットをしようかな~と思っている方にも、今はいいかなと思っている方にもぜひ読んでみていただきたい物語です。

 

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