『今日は天気がいいので
上司を撲殺しようと思います 』の
イラストブックレビューです。
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今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います (集英社オレンジ文庫)
- 作者: 夕鷺かのう,くろのくろ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/01/18
- メディア: 文庫
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上司である岸本から嫌がらせを受け続ける玲美は、身も心も疲れきっていた。
せめて神頼みをと、縁切り神社に出かけてお参りをした日から、上司を殺すための
準備をする夢を見るようになる。そしてある夜、夢の中で決行しようとするのだが。
部下を苦しめる奴らの行く末を描く、ちょっとブラックなお仕事短編集。
仕事が遅い、確認不足、皆忙しいのだからいちいち聞くな。
出身大学をあげていちいち嫌味を言う。
そんな岸本係長を上司に、日々何とか仕事をしている玲美。
自分が仕事ができないのが悪い…と考えたりもしてみるけれど、どう考えても
こりゃいびられているとしか思えない状況です。読んでいて辛いなあ。
仕事が忙しいとか、大変な場合は周囲に助けてもらうなり、何らかの方法があるとは
思いますが、その助けをのべた手をひっぱたいて足で踏みつけるような上司です。
これはいけません。玲美も岸本を殺せないかなあなんて考えています。
まあ、想像するだけならいいんじゃないでしょうか。それで少しでも気持ちが軽く
なるなら。
それでも毎日毎日受ける嫌がらせに、疲労困憊してしまう玲美。縁切り神社に行き
絵馬に切実な願いを書きます。そしてその日から、岸本を殺すために準備する夢を
見るようになるのです。それも、日々準備は進んでいき、とうとう実行する夢を
見るのです…。果たしてこは夢か現実なのか。
厄介な上司、という一言では片付けられない、部下を壊していくような人間が上に
立つことは珍しいことではないのかもしれません。そうした厄介な上司を持ち、
心身を疲弊させていく部下たち。そうした彼らのやるせない思いは、「念」となって
形を持ち上司に対して報復をもたらすのかもしれません。
会社員時代は変な上司はたくさんいましたが、殺したくなるような人はいなかった
なあ。周囲に上司のことで悩む人がいたならば、そこまで思い詰める前に人に相談
するか、会社をやめようね、と自分だったらアドバイスするでしょうね。
それできるんだったらとっくにそうしてるわ!
という、今まさに極悪上司に苦しんでいるアナタは、とりあえずこれ読んで登場人物を
該当人物に置き換えてみましょう。一時的にはスッキリするかも。でも、その怒りが
「念」になる前に、その人から離れましょうね。