『どこかでだれかも食べている 』の
イラストブックレビューです。
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- 作者: オノ・ナツメ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2018/11/16
- メディア: コミック
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実家のロールキャベツの味、子どもの頃、留守番している時に食べたホルモンうどん、
初めて作ったはんぺん入りのおでん、会社の鏡餅で作ったあられ。いろんなシーンで、
いろんな人たちが今日も何かを食べています。そして、そこからやさしいドラマが
生まれるのです。
姉妹が会話を交わしています。実家のロールキャベツはケチャップ味で真っ赤だった。
そういえば母親は、餃子とかメンチカツとかおはぎとか、手のかかる料理を作って
くれてたよね…。
また、あるカップルは、お盆休みに彼女の部屋で、ポテトサラダとワインを用意して、
ひたすらDVDを見て過ごすことになりました。では、ポテト好きな彼女のために、いろんな味のポテトサラダを作ってあげようと用意する彼氏…。
何気ない日、特別な日、作ってもらった料理、自分で作る料理。会社の人と、家族と、
または一人で食べる。様々なシチュエーションで食べるお話を1話あたり5〜10頁、
全21話を収めたコミックです。
姉妹が振り返る実家の味、残業の時に用意するパン屋さんのパン、願いを込めた恵方巻き、増えすぎた庭のブルーベリー。特別高級なものではないけれど、その食べ物と、それを食べる人たちがいるだけで心がほわんと温かくなるようなシーンになるのだから不思議です。
食べ物を口にするときに思わず笑顔になってしまうのは、味だけではなく、その食べ物にまつわる思い出であったり、一緒に食べた人や作ってくれた人の温かな気持ちもいっしょに口にするからなのかもしれません。
食べ物から子どもの頃を思い出す、食べ物から新しい発見をする。
食べ物とは、人と人をつなぐ重要な役割を果たしているのかもしれませんね。
あなたが今食べているそのメニュー、どこかでだれかも食べているのかも。
そう考えると楽しくなってくる、だれかとつながっていることを感じる事が
できるフード・コミックです。