『人は他人(ひと) 異なる思考を楽しむ工夫 』の
イラストブックレビューです。
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- 作者: さわぐちけいすけ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/04/27
- メディア: 単行本
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嫉妬や劣等感、焦燥感など、人付き合いには様々な悩みがあるものです。
SNSなどで話題になったマンガ「妻は他人」の著者が描く、人付き合いを
テーマにしたコミックエッセイ。
相手に対する伝え方や、物事の捉え方を、作者夫婦のやりとりを例に説明。
事実を事実として伝え、受け取る方も事実として捉える。
当たり前だけど、実践してみると意外と難しかったりします。
例えば著者夫婦の場合、夫が洗った食器に洗い残しがあった場合。
妻は夫に対して
「洗い残しがあったよ。洗っておくね。」
と伝えます。夫の方も「ああ、ごめんね。」で済む話。
ところが
「なんでちゃんと洗えないのよ!?」と言われた場合はどうでしょう。
心のマッチに火をつけてくれる言い方ですね。
言われた立場としては
①まずは、「きちんと洗って欲しい」という要求であれば、そのように
伝えればいい話。質問形式になることが不明。
②洗えないことに対して答えてみれば「そんなことを聞いているのではない」
とか言われたりする。謝罪してほしいならそう言って欲しい。
③洗えないわけではなくて、うっかりしていただけなのに、この言い方だと
プライドが傷つけられてしまう。
などなど、多くのパターンで問題が発生することがわかりました。
これ、親子間のやりとりに変えてみてもいいかもしれませんね。
母親から「宿題あるんじゃないのー」と言われた場合と、「なんで宿題やって
ないのよ!?」と言われた場合と。そんな、キレられても…、と言われた子供も
戸惑ってしまいそうです。
伝える方も、受け取る方もなるべくシンプルに、事実を伝え、受け取るように
心がけたいものです。自分の場合は、疲れたりイライラしたりすると
感情が先立ち嫌な言い方をしてしまうことがたまにあります。
そこはグッと踏みとどまって、「感情の言いなりになった言い方にならないか?」
と自分の心に聞いてみる余裕を持ちたいですね。
中盤は、嫉妬や劣等感などの悩みを持つ読者に、著者の視点で回答。
後半は著者自身の経験を交え、気持ちの仕組みなどを解説していきます。
著者はメタ認知に優れている人物だなあと感じます。
それは、自身や他者について、冷静に、客観的に分析して描いているため。
他者との関わりや、自分自身の気持ちに対する解説内容は、心理学、
哲学、コミュニケーション方法など多岐に渡ります。
それを、クールな笑いを交えながら、わかりやすく描いています。
自分以外の人は他人なのだから、考え方が違って当然。
気の合う人や、好きな人の、自分と異なる部分を楽しめたら、
より素敵な関係を築ける。そんなことを教えてくれるコミックエッセイです。
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