ぬこのイラストブックれびゅう

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雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

ネットはヘロインと同じ!?その依存から抜け出せるのか

読書人が集う『シミルボン』にて、インタビュー記事掲載!

https://shimirubon.jp/columns/1691046 

 

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マンガで分かる心療内科 依存症編(ネット・スマホ・ゲーム・ギャンブル・ポルノ)』の

イラストブックレビューです。

 

気がつけばまた、いつもの画面に見入っている。
早く寝なくてはいけないのに、ベッドにスマホを持ち込み、SNS
チェックしていたら1時間経過してしまった…。
誰もがなり得る可能性のある依存症。本書はネット、スマホ、ギャンブル
などの依存症を克服するための方法を漫画で解説。

 

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スマホやPCがこれだけ世の中に溢れ、電車の中ではスマホを見ていない
人の方が珍しいという昨今。気がつかないうちに依存症になっている
人は多いのではないでしょうか。

本書は、「マンガでわかる心療内科」シリーズの依存症編。
酒・タバコ・薬物編に続く第2弾で、ネット・スマホ・ゲーム・ギャンブル・
ポルノ編になります。

病院のスタッフたちがスマホゲームの世界から戻れなくなり、
心理士の先生がその世界に入り込みメンバーを助けていく、という
ストーリーです。依存症という、重めのテーマにおいて、軽やかな
ギャグで笑いをとりながら、依存症のしくみや、抜け出すための方法を
マンガで解説していきます。

ロンドンで行なった実験によれば、ゲームを50分やると、通常時に比べて
ドーパミンが2倍放出されたのだとか。そして、覚醒剤を静脈注射すると、
ドーパミンは2.3倍に増えるのだそうです。スマホでもゲームはできますので
日常的にやっていれば、これくらいドーパミンが出ていても不思議では
ない状況です。

やる気を起こし、快感を感じさせるドーパミンですが、ネットやゲーム
などで分泌しすぎたりすると、やがて分泌されづらくなったり、受容体が
減ったりして効きづらくなります。そこで、以前の利用時間では足りなくなり
どんどんと利用時間が増えていくのです。

ドーパミンの低下が起こると、記憶力、集中力、意欲が低下し、
日常生活に喜びを感じることが少なくなっていきます。

さらに中国科学院大学のレイハオ教授がでネット依存症の青少年17人と
そうでない16人の脳をMRI スキャンして比較したところ、ネット依存症の
人は脳の前頭前野という部分に神経線維の損傷見られることが多かったのです。

これはコカイン・ヘロインなど麻薬中毒の患者と同じ所見でした。

そのため研究者はネット依存症のことを『デジタル・ヘロイン』と呼んでいます。

これは知りませんでした。名前だけでも相当インパクトありますね。
今日からスマホいじるのは30分以内にしよう!と即決したくらいの衝撃です。
酒もタバコもそうですが、ネットやスマホも手軽にできますから、依存症に
なりやすい状況にあると言えます。
これらの下僕になるか、上手に利用して便利なものとして使ったり、嗜んだり
するのかを決めるのは自分自身です。

ですが、心配なのは、10代の若者たち。韓国ではオンラインゲームを
やめることができずに死亡者が出 たこともありますし、中国ではアヘン戦争
国民男性の4分の1がアヘン中毒となり、国を揺るがす事態となった過去をも持つ
ため、ネットの利用やその依存を抜け出すために、厳しいまでの対策を
講じています。

しかし日本では野放図。今では小学生もスマホ保有率は60%になるのだとか。
小学生に薬物を与える状況になるのか、とゾッとしてしまいます。
ドーパミンの低下からやる気の低下、幸福感の希薄化。
これから社会へ出て行く若者から大事なものを奪ってしまうのです。

脳が喜ぶのは現実の世界。実際に見て、触って、匂いを嗅いで、感情が
動く。そうした実際の出来事で脳は活性化していきます。
しかし、ネットの世界では、感触も匂いもありません。
本物の世界で、現実の人やモノ、景色に触れる感覚が、人を人に
させているのだということを教えてくれる本です。
依存の対象となるネット、スマホ、ポルノなどは、あくまで非現実的なもの。
現実の世界に焦点を置くことが依存から脱するために必要なことなのです。