ぬこのイラストブックれびゅう

ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

「スマホの使い方」を家族で話し合ってみませんか

読書人が集う『シミルボン』にて、インタビュー記事掲載!

https://shimirubon.jp/columns/1691046 

 

スマホが学力を破壊する』の

イラストブックレビューです。

 

スマホを使用すると偏差値が最大で10下がります。
下手をすると、脳発達に悪影響を与えている可能性もあります。
仙台市の総計7万人を超える子供達を対象に数年にわたる調査を実施し、
スマホのリスクを正面から論じたリポートです。

 

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まずは、全国の中学生のスマホ保有率についてですが、以下のような調査結果が
出ています。

平成25年度の内閣府の調査によれば、中学生の携帯・スマホ保持者のうちで、
スマホ保有者の割合は、平成22年度はわずか2.6%、平成23年度は5.4%でしたが、
平成24年度で25.3%、平成25年度には47.4%と、急激なスマホ普及が始まる端境期に
あたっていたのです。

平成25年度の時点で中学生の半分近くが所持しているというスマホ
このスマホが、子供たちにどのような影響を与えているのか。
中学生の1日のスマホ利用時間と、各教科の成績の関連性、毎日の勉強時間との
関係をグラフで示しており、予想通りというかなんというか、衝撃的な結果が
出ています。

まずは、スマホの利用時間と成績についてですが、利用時間が多いほど、
成績も低くなっています。
全く使用しない群と、もっとも多い4時間使用する群では、教科別の点数に
10〜20点ほど差がついています。

もっと恐ろしいのが、スマホを4時間利用し、かつ家庭学習を2時間している群。
こちらは毎日2時間もの家庭学習をしているのにもかかわらず、スマホを使用
していない、家庭で「勉強していない」群よりも成績が低いのです。
4時間も勉強しているのに、勉強していない人よりも成績が下になるとは!

面白いのは、スマホをやめた場合の調査結果も出ているところです。
スマホをやめると成績が回復、または向上します。
面白いほどにわかりやすい結果となっています。

ラインやインスタントメッセンジャーを利用した場合の影響、テレビや
ゲームの影響、勉強中のスマホ使用の実態などについても述べられています。
脳発達への影響については、手書きや会話などをすると活発的に機能する
前頭前野という部分が脳の中にあるのですが、これはPCでの文書作成では機能が
働かないのだそうです。会話にしても、電話の場合はこれまた機能しない。
テレビやゲームに至っては機能を抑制してしまうのだとか。

SNSなど、PCやスマホを用いて脳のコミュニケーションを司る分野の
働きを抑制したり止めたりしながら、リアルではないネット上での
コミュニケーションを展開していく。中学生の段階で、こうした状況で
ある場合、果たして10年後、20年後はどうなってしまうのでしょうか。
本書における調査、研究においては、まだ推論の段階であり結論が出るまでに
あと数年かかるそうです。しかし、結論が出る頃までに、スマホの悪影響を
受ける子どもたちが増えてしまうのではないか。
著者はこうした状況に不安を抱き、本を出すことを決意したそうです。

中高生におけるツイッターやラインでのトラブル事例や、学生に対して
SNS利用方法への注意喚起は、学校でも取り組んでいるようですが、スマホ
使用自体についての注意喚起は全くと言っていいほど、聞いた事がありません。
こうした研究における結果が明らかになっていないだけなのか、それとも
何か抑制する力働いているのか。

大人も子どもも多くの人がスマホを持つ時代です。本書を手に取り、
その疑われる危険性や、勉強との関連性を親がまず理解した上で、
スマホの使用について子どもと話し合ってみてはいかがでしょうか。