ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

この一瞬は、どこかにつながっている

主題歌  』の

イラストブックレビューです。

 

職場の同僚と、女の子のかわいさについて語り合う実加。
美術大学時代の友人たちの行く末を思いつつ、自宅で
1日限りの女の子限定カフェを開くことに。

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文庫本で140ページ程のボリュームの物語ですが、ページを
開くと『おっ』と目を引くレイアウト。よくある文庫本よりも
行数が少ない。行間が空いてる。つまり、1ページあたりの
情報量が、比較的少ないです。

内容は、二十代女子や男子の日常を、淡々と描いたもの。
美術大学出身の仲間たち、職場、それらの場所から派生してくる
知り合いの知り合い的な、また会うかもしれないけれど、もう
会うこともないような人たち。彼氏、友人、友人の親、変な男。

女の子1人が毎日生きていくだけで、実に様々な人が関わり、
日常はドラマチックなような、そうでもないような感じで過ぎていく。
10代みたいなキラッキラな輝きはなく、
なにかを少しずつ諦め始めたような部分があったり、その分
友人には諦めないで頑張って欲しいなあ、という実加の思いが
この行間から漂っては抜けていくようです。

実加はかわいい女の子が大好きで、会社のバイトだろうが、レストランの
ウェイトレスだろうが、眺めて分析するのが好き。そして雑誌プレイボーイ
まで購入し、グラビアをじっくりと眺める。
この心理は理解できます。美しい女性は、絵画のように、宝石のように
鑑賞する価値がある。そしてその美しく感じる部分が、人によって
異なるからこそ、他人との美についての意見交換はおもしろいのです。
新たな美的ポイントを知ることは、新たな自分の発見にも繋がるから。

実加が自宅で開催した女の子限定カフェ。ここに集まった、
あらゆる女の子たち。実加が毎日過ごしているような日常が
ここに参加している女の子たち全員に、それぞれにある、という
非常にシンプルな事実に気づかされます。
彼女たちも、仕事をし、食事をし、家族や彼氏と夜を過ごし、
また友としてこうして時を共に過ごしているのです。

なんてことのない、奇跡のような時間。その一瞬は、次の奇跡へ
確実につながっている。日常はそんな奇跡の連続で成り立って
いるのです。そんなことを気づかせてくれるような物語です。