ぬこのイラストブックれびゅう

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雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

仏像の意味や役割を楽しく学ぼう

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やさしい仏像 一生モノの基礎知識』の

イラストブックレビューです。

マンガで教養 やさしい仏像

マンガで教養 やさしい仏像


 

 

仏像の基礎がマンガでわかる。
如来、菩薩、明王、天部がもし会社で働いていたら??
インターンとして仕事の体験をしながら、それぞれの仏の
意味や役割を学んでいきます。

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仏カンパニーへ就職したOL、知子は先輩で小鬼のジャッキーの
案内で、仏たちの仕事を手伝ったり体験したりしながら
仏について学んでいきます。

仏の世界は上から4種類。
もっとも上部にいるのが如来。悟りを開いた存在です。
釈迦如来薬師如来阿弥陀如来大日如来などがいます。
会社で言うところの、社長、役員クラス。

二番目の位置にいるのが菩薩。人々の願いを叶える役目です。
十一面観音、千手観音、如意輪観音など6人の観音が修羅道
餓鬼道、天道などの6つの世界ごとにそれぞれ存在します。
会社では部長クラス。

三番目の位置にいるのは明王。怒りの表情で敵を従わせます。
不動明王を中心とし、東西南北に金剛夜叉明王大威徳明王軍荼利明王
降三世明王五大明王として存在します。
会社では説教くさい係長クラス。

四番目の位置にいるのは天部。もとはインドの神様で、仏教を守る立場に
変化した存在。
梵天帝釈天、吉祥天、弁才天など。
会社で言えば、転職組のためになかなか出世できない平社員。

最下層の五番目は羅漢・高僧。現世で教えを広める人々のことで、
釈迦の弟子であったり、実在した高僧などがこれに当たります。
阿難陀(あなんだ)、達磨(だるま)、羅睺羅(あごら)、
賓頭盧(びんずる)など。
会社に入るために就活中という立場。

と、会社の階層別になぞらえて、各仏の仕事の内容や
衣装、ポーズの意味合いを、美しいイラストで解説。
線が細く、優美な仏たちの姿を眺めているだけでも目の保養になります。

そして、お仕事の様子をマンガでコミカルで描いていて、仏の
激務ぶりに可笑しいやらありがたみが増すやら。
不眠不休で、人間の幸せに力を尽くしてくださっているのです。
まあ、神様だから当たり前なのかもしれないのですが、それを
会社の人間風に描いているところが、哀愁が漂っていたりして
またおもしろい。

今まで仏に地位や役割などの違いがあることも知らず、ざっくりと
神様、というイメージを持っていました。
これほどまでに担当エリアと仕事内容が異なるとは!
新鮮な驚きでいっぱいです。

仏像や、仏教の世界に少し興味を持った時に、大まかに全体像が
掴めるような内容です。
京都や奈良へ旅行に行って寺院を巡りたい。
そんな時に事前のテキストとして読んでおくと、仏像に出会ったときの
感慨もより深いものになるかもしれません。

ちなみに自分のお気に入りは弁才天。音楽と知恵を司る女神です。
才の部分が財に変わると、財宝の神様となるそうです。
七福神の一人になるわけですね。
それぞれの仏が見られる寺院も紹介していますから、まずはお気に入りの
仏様を探してから、寺院に訪れてみるの良いかも。
仏の世界をやさしく、楽しくおしえてくれる一冊です。