ぬこのイラストブックれびゅう

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雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

世界が真っ白になる13歳最後の夏

クール・キャンデー 』の

イラストブックレビューです。

クール・キャンデー (祥伝社文庫)

クール・キャンデー (祥伝社文庫)

 

中二の夏、誕生日と夏休みの初日を前日に控え、胸を
弾ませていた渚。
そこへ入ってきたのは兄嫁の訃報。
そして、兄嫁にストーカーをしていた男が同日に変死し、
兄が疑われている。兄の無実を証明すべく、調査に乗り出す
渚だった。

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新宿の小田急の10階にある、STORYSTORYという本屋へ
よく訪れます。有隣堂の経営で、カフェと雑貨と本が
販売しており、カフェでは本とコラボした企画メニューも登場。
書店としての坪数は大きくはありませんが、フェアもいい視点で
選書されているので、じっくりと眺めたくなります。
作家別、分類別などの本の並べ方にも工夫を凝らしており、新しい
作家との出会いも多くあるため、毎回訪れるのが楽しい本屋さんです。

新刊の棚でこちらの本を見つけ、若竹七海さんの著書であるこことと
中学生が主人公というところに惹かれて購入しました。
帰ってからネットで調べてみたところ、この表紙の文庫が
どこにも見当たらない!何故だろう?とおもったら、こちらは
有隣堂の限定復刊本だったのです。おおお!
書店の企画で復刊できるなんてすごい!
有隣堂全体がこれいい!と思ったら復刊できるのですよ!

という事で、文庫で写真が表紙の『クール.キャンデー』をご希望の
際には、先ずは在庫を確認してからお求めになることを
オススメします。

↓詳細はこちらから
http://www.yurindo.co.jp/storeguide/59848

ちなみにアマゾンや楽天ブックスで求めると
イラストの表紙で、中古品となります。
刷数どれくらいだったのかな、気になるな…。

話はそれましたが、中学生の女の子、渚が兄の容疑を晴らすため
奔走します。渚は元気で活発、推理小説が大好き。
夏休みは古本屋でお手伝いして、報酬として本をもらって帰るくらいの
本好き。本で読んだ知識を活かして、聞き込みや現地調査に乗り出します。

友人とのやりとりも、時に賑やかに、淡い恋の予感も感じつつ
青春の世界が繰り広げられます。でも、基本的には渚という女の子は
ひとりで何でもやり遂げようとするところがあります。
それは、血が繋がらない兄も同じ。
それは、彼らが育ってきた環境も影響しているのかもしれません。

小さな事件が解決していくうちに、別の事実が少しづつ明らかに
なっていきます。後半部分は、謎が明らかになるにつれどんどんと
読んでいて不安を感じて、かえって引きつけられて目が離せません。
そして、最後の最後に衝撃の結末がやってくるのです。
いやはやさすが若竹七海さん。爽やかな青春推理小説かと思いきや、
見事にひんやりとさせてくれました。
残暑のひとときの、おともにぜひ。