ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

人生の岐路に訪れる7つのドラマ

二年半待て 』の

イラストブックレビューです。

二年半待て (徳間文庫)

二年半待て (徳間文庫)


 
 

 

婚姻届を出すのは、あと二年半待って欲しい。
彼が結婚を先延ばしにする理由は何なのか。
就活、婚活、妊活、就活…。
それぞれの活動にまつわる女の物語。

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梓が婚活で知り合った典生はとても優しい人。
しかし正社員出ではなく、奨学金を返済するために仕事を
掛け持ちしています。そんな彼を、梓は自分の母親に紹介できずにいます。
とりあえず妹夫婦に紹介することにして、妹の里奈の家に
二人で訪れます。その時から、典生の様子がだんだんと
おかしくなっていきます。

典生は、奨学金返済のためのハードなバイトで朝起きられず
就職面接に行く事ができないこともありました。
梓との結婚も視野に入れていますが、正社員になってから、奨学金の返済に
目処がついてから、と何とも歯切れの悪い回答です。正社員になってから、
と言いますが仕事を2つ掛け持ちし、体力的にも日々限界に近く、正社員になるための
活動をできる状態とはとても思えません。

そんな典生を大丈夫よ、何とかなるわ、と優しく励ます梓。
何の結果も本気で求めようとしない、行動しようとしない
ぬるいお二人の関係です。そんな二人の将来はとても想像できません。

そんな折、母親から交際相手を紹介しろとせっつかれた梓は
まずは妹夫婦に紹介しようと考えます。
妹夫婦宅を訪れた典生は、その立派な暮らしぶりに圧倒され
落ち込みます。自分は梓にこんな生活をさせることは無理だと。

そこで一念発起して就職活動を本気ではじめるかと思いきや、
思考不能状態に陥っている典生はすぐにお金を手に入れる方向へと
走ってしまうのです。

典生は盗難で捕まり二年半の執行猶予を受けます。
梓とは別れ、何と別の女性とどうやら新しい人生を歩み始めるようです。
この女性は罪を犯し、その罪を償おうと日々努力を続ける典生を
見て、執行猶予である二年半の間、典生を待つことを決めたのです。

相手の犯した罪ごと受けとめる強さ、共に歩んでいこうと
する揺るぎない思い。こうした思いを持って過ごす二年半と、犯罪を犯した彼を
他人から後ろ指差されることにビクビクしながら過ごす二年半。
どちらを選んだ女性が幸せなのでしょうか。
まあ、棚ぼたで新たな幸せをゲットした典生も、ちょっとおいしすぎるかなと
思いますけれど。

就職、結婚、妊娠、身辺整理など、様々な人生の幸せを求めて活動する女性たち。
自分の幸せは何を持って測るのか。
そこを見間違えると、活動自体が意味のないものになってしまいます。
他人と、世間との比較ではない、自分の幸せの針が大きく動く場所。
それを知る者が、活動の成果を得られる事ができるのではないでしょうか。
そんなことを考えさせてくれる物語です。