ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

己の弱さを知った女の覚悟はすごいぞ

村上海賊の娘 第1巻』の

イラストブックレビューです。

村上海賊の娘(三) (新潮文庫)

村上海賊の娘(三) (新潮文庫)

   

己の不甲斐なさに家へと戻り、船にはもう乗らぬ、と
決意した景。一方、村上海賊と毛利家は一千もの船で
大阪城へ向かうが、攻め入りはしない。
父からその真意を聞いた景が取った行動とは。

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男たちの家を守るための戦、そしてその最先端に存在する
信長を目の当たりにして、自分が戦に対して単なる華やかさを
求めていたことに、甘さを知る景。
大人しく家に帰り、袖の長い着物を身にまとい、化粧まで
施し、のんびりと過ごしていました。
綺麗にしていれば、そこそこの見た目になるというのもいいですね。

村上家毛利家の船が出て行きながら、攻撃を仕掛けない様子に
景は不審に思い、父親に理由を尋ねます。すると父親はうっかりと
真実を漏らしてしまいます。それは、武田信玄が毛利側に協力する
との情報が入れば攻め入るが、そうでなければ撤退する。
すなわち、大阪城への兵糧入れはしない、とのこと。

家の存続を重視した判断であり、やむを得ない選択です。
しかし、これを聞いた景は怒り沸騰。
家の存続のために、門徒たちは死んでいくのか!
極楽浄土へ行けると思っている彼らの思いを何とするのか!
景は着物を脱ぎ捨て、戦いの場へと向かうのです。
すごいのは景を止めない父親です。

誰もが自分のため、家のために戦わないという選択をも
せざるを得ない中、仏のために戦う彼らを助けたい、
彼らを助けたいという景の情熱を認め、送り出します。
心の底では、腹の探り合いのようなやりとりよりも、
単純な理由で戦うことを誰よりも求めていたのはこの
景の父親だったのかもしれません。

景は味方の船がすべて撤収した後、雑賀党の孫市を説得し、
一族を引き連れ、50艘ほどの船で真鍋海賊に戦いを挑みます。
船の数の上でも、味方が火縄の名手とはいえ、陸戦の経験しか持たない
雑賀党であることも不利な戦です。
当然ながら、どんどん追い詰められていきます。

ここで、景が雑賀党を引き連れ、敵方に挑んだという情報が
村上の船に入り、味方は一気に盛り上がります。
景を助けるために元の道を急いで引き返す村上一行。
毛利家の命令は悪いけど無視するね!だって姫の一大事だからね!
とウキウキすらしている様子(笑)。

戦場を目の前にして引き返すなど、みな仕方のないこととは
思っていても 何とも腑に落ちない、嫌な気持ちだったのでしょう。
そして、海賊どもは姫の一大事とあれば喜んで敵方に飛び込んで
いくのです。景によって海賊たちの血が騒ぎ出す様子がよくわかります。
そして、毛利家すらも、え?そう?じゃあ仕方ないなあと
喜んで援軍しに向かうという(笑)。みんなほんとは戦いたかったのね、
ということですね。そして、皆を動かしたのは景のまっすぐな、
門徒たちを救いたい、という情熱です。

さあ、味方の船は間に合うのか?
景たちは七五三兵衛の攻撃に持ちこたえられるのか。
手に汗握る展開で、次巻に続きます!早く読みたい!