ぬこのイラストブックれびゅう

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雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

戦場で活躍する男たちの魅力

村上海賊の娘 第2巻』の

イラストブックレビューです。

村上海賊の娘(二) (新潮文庫)

村上海賊の娘(二) (新潮文庫)

 織田信長に責め立てられていた大坂本願寺は、
籠城を余儀なくされていた。回路からの支援を
乞われた毛利家は、村上海賊に頼ろうとする。
織田方では、泉州淡輪の海賊、眞鍋家の若き当主、
七五三兵衛が初の軍議に挑む。

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戦闘のプロ集団、織田軍VS戦闘の素人+一部プロの
大阪本願寺。 その戦いが始まりました。
その前夜、軍議の後に始まった宴会の場で、美人美人と
褒められまくった景。すっかりいい気になって酌を受けては
グイッと飲み干し、うまい肴を供されては舌鼓を打つ。
ホントに豪快な姉ちゃんです。

しかし、醜女と言われてきた彼女にとってはここは楽園。
泉州の荒くれ海賊たちは、ハッキリとした容姿に加え、一筋縄では
いかないような女性が好みの様子。まさに景はどハマりしてます。
チヤホヤされるわけです。

泉州海賊の若き当主、眞鍋七五三兵衛も景のことを
気に入ったひとり。嫁にもらっちゃる、とプロポーズします。
が、子持ちはイヤ、と断る景。もったいない。
お似合いだと思いますけどね。
この七五三兵衛、酔っ払って眠りこける景を、夜這いをかけようとする連中から
守ってあげたり、自身は相手の心が手に入らないのであれば
抱く気はない、なんて結構いい男ぶりを見せてくれてグッときます。
でも景は、ポカンとしていて、男女の情や体の関係とか
全然理解してないようです。まあ、モテなかったから仕方ないか。

そんなゴタゴタから開けて翌日。いよいよ織田軍が大阪本願寺
戦いを仕掛けます。
この和田竜という作家は、戦闘シーンの描写が本当にうまいと思います。
攻め入る地域の地形、草木の生えている様子などが読んでいるものに
ありありと浮かびます。そして、戦う者たちの緊張や昂ぶり、
恐怖におののく様子など、視線を近づけたり遠ざけたりしながら
忠実にその状況を伝えてくれるのです。

素人集団大阪本願寺の兵に対し、織田軍の精鋭が攻め入ります。
織田軍は精鋭ではありますが、皆が忠実に戦うわけではありません。
自分の主を殺したという噂を持つ者、海は得意だけど陸は苦手な者、
織田に忠誠を誓っているのか、いまいち怪しい雰囲気の者…。
どの人物もクセがありながらも魅力を感じるのが不思議です。
クセがあるからこそ、その戦いぶりにインパクトを受けます。

腕は優秀な彼らですが、扱いが難しく上司が大変な思いをしています。
この辺のバラバラ感が、妙にリアルで説得力があるんですね。
新しいCEOがアメリカからきたけど専門分野とか目指すところとか
俺らと畑違いだしね、まあ、言われた事はやりますけど上司だし、
みたいな雰囲気でしょうか。

織田軍押し気味と思われた戦況からあわや敗北か、というところまで
巻き返され、何とか逃げ戻り…。
戦況は一進一退で、目が離せません。

そこへ、満を辞して織田信長の登場!!
近くでその姿を見た景は、織田信長のオーラにおののき、
一歩も動くことができません。なんか怖いよ織田信長

織田信長が登場し、戦局はどう変わっていくのか。
トラブルメーカー、景は何をやらかして、結婚の話はどうなって
いくのか。次巻へ向けてワクワクが止まりません!