ぬこのイラストブックれびゅう

ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

本が人をつなぐ 人が本をつなぐ

『だいじな本のみつけ方』の

イラストブックレビューです。

 

 

だいじな本のみつけ方 (BOOK WITH YOU)

だいじな本のみつけ方 (BOOK WITH YOU)

 

 中学生の野々香は、放課後の校舎で、まだ本屋さんで
売られていないはずの文庫本をみつける。
大好きな作家・新木真琴の発売前の新作だ。
なぜここにあるの?
謎に導かれて、野々香は本が好きな仲間や、本に関わる仕事をする
大人たちと出会う。

f:id:nukoco:20171227155644j:plain

 本好きにとって、大好きな作家の作品が発売前に
そこにあるなんて!!そんな状況は興奮せずに
いられません。
なぜ発売前の新刊があるのか?
野々香は仲間と協力して謎を解明すべく奔走します。

謎が解けた後も、自分が野々香だったらもう
飛び上がりたいほどワクワクしてしまうだろうなあ、
という展開です。

自分以外の人が、『自分が好きな本』についてどう
思っているのか、そんな新しい気づきを経て、
『中学生がすすめる本』というブックフェアの企画を
本屋さんへ持ち込みます。

本が好きな中学生だった自分にとっても、本を作る、
売る立場だった大人の自分にとっても、とても
エキサイティングな出来事です。
『本への思い』による差異から、トラブルも起こったり
します。それでも、その『本と人、人と本をつなげたい』
『だいじな本を見つける力になりたい』という野々香と
その仲間たちによって乗り越え、成功させます。

人とは違うので、そこに『売りたい』という意識は
ほとんどありません。それゆえ、純粋な気持ちが
伝わってきます。
本を思う人のきもち。本をだいじだと思ったきもち。
多くの人がそんな本と出会えたらいい。

本を通して、いろんな人の気持ちがある、という
ことを理解する。いろんな感じ方や考え方がある
ということを知る。
本にはそんな力があります。
そうしたことをまっすぐに、やさしく思い出させてくれる、
そんな物語です。