ぬこのイラストブックれびゅう

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雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

仕事も出産も全部自分の糧にして行く女たち

書店ガール 2 最強のふたり』の

イラストブックレビューです。

 

書店ガール 2 最強のふたり (PHP文芸文庫)

書店ガール 2 最強のふたり (PHP文芸文庫)

 

 

吉祥寺出店する大手書店チェーンに転職した理子と亜紀。
いままでと違った店長という職責に戸惑う理子。
そして、文芸書担当として張り切っていた亜紀は妊娠。
自分と周囲の考えのギャップに不安や怒りを覚えて…。

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今回は、新しい職場で、書店員の仕事に頑張るお二人の物語です。
理子は、店長という立場で仕事をしていますが、優秀な部下に恵まれ
自分が店長じゃなくてもいいのでは?などと考えたりしています。

一方、元気一杯の亜紀は、妊娠が発覚した途端に周囲から心配されたり、
実は夫が子供が産まれたら母として家にいてほしいと思っていた事が
分かったりして、イラだったり、歯がゆい思いをしています。

理子はフェア企画し、さすがの実行力でそれを達成します。
しかも、人々に寄り添う本の良さを知ってほしい、という一念で、
同業他社の書店や、果ては同じビルにある異業種の店舗まで巻き込んで
結果的に大成功となるのです。
この企画が育って行く描写にはワクワクします。
実際にこのフェアがあったら行ってみたい〜!!

理子の本が好き、という真摯な思いが多くの人を動かしたのです。
ホントかっこいい女性なので、こういう人、上司に欲しい。

亜紀はといえば、仕事もこれからというこの時期になぜ妊娠?と戸惑います。
夫は子供を産んだら母親が家で面倒を見るのが当たり前、などと発言して
仕事を辞めるなんて露ほど思っていなかった自分の神経を逆なでする。
なぜ女性だけが子供を産んだからといって変わらなくてはいけないのか。
そんな中、夫が務める出版社でトラブルがあり、夫の今後の働き方を
いやがおうにも考えなくてはいけない局面をむかえます。

自分の価値観をぶつけ合う若い夫婦が、トラブルにより時には反目し、そして
良い形で折り合いをつけていく。決して妥協ではなく、二人の最高の着地点を
見つけるのです。若い二人が1つの家族を形成した瞬間は、とても穏やかで
満ち足りています。亜紀が今後母親として、また新しい局面を備えて帰ってくるのが
楽しみになります。

理子のちょっとしたロマンスにも注目です。仕事ばかりではなく、一人の
女性なんだよ、というところも見ることができて親近感もわきます。

理子と亜紀、二人の女性は年齢も立場も異なります。
そして二人に訪れる出来事も当然違ったものです。
その出来事は、トラブルであろうと、良い出来事であろうと全て自分の糧とする、
力強さを持った二人なのです。
そんな二人に元気をもらえる物語です。