『キオスクのキリオ』の
イラストブックレビューです。
ノーと言えないおっちゃん、キリオ。キオスクで働く彼のもとには、
なにかを胸に抱えた人たちがやってくる。
なんだかおかしい、なんとも不思議な連作短篇集。
最初の2作あたりでは、不思議な展開ぶりに、は?え?なになに?と
頭の中が????でいっぱいになったのですが、中盤から後半にかけて
じわじわと心に沁みてくる部分があります。
独り身で、生まれたときからおっさんでした、といった雰囲気を
醸し出している、それはそれはスタンダードなおっさんのキリオ。
問題を抱えた人達の様々な要望に対しても、困るわ~ 無理やがな~
と言いながらも結局話を聞いてあげたりお世話してあげたりします。
相手の問題を拒否せず、深刻になりすぎず。そんな距離感が絶妙です。
パッとしない地味なおっさんなのですが、やはり1人の人間として生きてきた
厚みも感じます。そこを相手に押し付けないバランス感覚、というのも
人生経験上で学んだ技術なのでしょうか。
なんとも不思議な短編集です。さらっと読もうと思ったら意外と深く
考えさせられたりする部分もあったり。
シミルボンでは書籍の画像が出ておりますが、購入したのは文庫本。
表紙のイラストのとぼけたキリオの表情が良くて購入しました。
このおっさんがあんなことを・・・ なんて想像しながら読むと
さらに楽しめるかもしれません。