『デボラ、眠っているのか?
Deborah, Are You Sleeping? (講談社タイガ)』の
イラストブックレビューです。
デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping? (講談社タイガ)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/10/19
- メディア: 文庫
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フランスにある古い修道院で、生殖可能な一族とスーパ・コンピュータが発見された。
施設構造は、ナクチュのものと相似。ヴォッシュ博士は調査に参加し、ハギリを呼び寄せる。
一方、ナクチュの頭脳が再起動。失われていたネットワークの再構築が開始され、
新たにトランスファの存在が明らかになる。
人工生命体「ウォーカロン」シリーズ第4弾。
デボラと名乗る少女がハギリたちを攻撃してきた。その理由は何なのか。
デボラは媒体から媒体、つまりウォーカロンや機器類を移動できる存在。
そして、敵のトランスファも同様。
人類の未来を考えるために、人工生命体が知能を持ち、いずれ人間の
やり方を正していくという。
コンピューターの無数の演算による、限りなく正確な値に近づいた
データは人間には出せないものであろうし、最適なものなのかもしれない。
それでも人間が人工生命体よりも優れている、と思いたい気持ちは
どこからやってくるのか。人間ですら、細胞を取り替えて半永久的な
肉体を手に入れることができているというのに。
人間を乗っ取ろう、あるいは支配に置こうと考える人工生命体は
それが最良の結果と判断したに過ぎない。そして、彼らには彼らの
正義に基づき行動している。そのプログラムを作ったのは人間
なのだ。
機械にはない、発想力を持って人間はどのように戦っていくのか。
ウグイとハギリという優秀なボディガードを従えて、優秀な科学者で
あり、常に同時に哲学的思考を持つハギリ博士とヴォッシュ博士が
その知能を持って、挑んでいく。
人工知能の可能性の広さに驚き、人間の稼動範囲の限界に嘆息し、
さらに人間の持つ無限の発想力に期待する、そんなSF近未来
ファンタジーです。次刊でどのような結末を迎えるのか。
人間と人工生命体の未来はどうなるのか。楽しみです。