ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

じんわり心にしみてくる 人生とお酒たちの物語

二子玉川にある大人の止まり木、バーリバーサイド。
ここには疲れた大人が羽を休めるためにふらりとやってくる。
お客たちが語る出来事は、読む者の心に何か影を落とす。

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バーの窓から見える双子玉川。川は境界をイメージさせる。
あちら側とこちら側。間には常に流れる水。
川の向こう側にあるのは美しい桃源郷か、それとも死後の世界か。

バーの静かな空気と心地よい酔いで、その境界が曖昧になる。
それが不安でもなく、ときめきでもなく
『ああそうか』と、胸にストンと落ちる感覚。

若い頃ほど、死が決して遠い存在でないことが関係しているのかも
しれない。

1番若い、20代の女性客はそんな曖昧な世界に一石を投じる。
至極現実的な仕事の悩みをぶちまけて、生のエネルギーを溢れさせ、
物語にいいアクセントを加えている。

それぞれのお客に合わせて、カクテルやお酒が登場する。
こんな風に物語が生まれてくるのであれば、お酒が飲めるのって
悪くないな、と思う。

人の生き様が酒の味わいを広げてくれる、そんな風に感じて、
酔いのような、じんわりとあたたかな余韻が残る物語。

 

 

バー・リバーサイド (ハルキ文庫)

バー・リバーサイド (ハルキ文庫)