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ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

ピアノが自分の魂の声を届けてくれる

祖父と従姉妹とともに火事に遭い、1人生き残った遥。
全身大火傷の大怪我を負いながらも、
ピアニストになることを決意する。
コンクール優勝を目指して猛レッスンに励むが、
不吉な出来事が次々と起こり、ついに殺人事件まで発生する……。

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多感な年頃の女子高校生が、全身に火傷を負う。
それだけでもショックだが、治療にリハビリ・・・と
痛みと苦痛が伴う試練が待ち受けます。

怒り、苦しみ、あきらめ、悔しさ・・・
あらゆる感情が彼女を取り込み、時に爆発させます。

ひとつ問題を乗り越え、また問題を発生し、といった
出来事の中で、物語全体から漂うのは彼女の「若さ」。

ポジティブな出来事も、ネガティブな行動も、全ては
彼女から発せられる、きらめくような力、輝きを感じさせるのです。
これは40代の今の自分ゆえの感想でしょうね。
今の自分にはないものですから、懐かしむような、うらやましくは
ないような。何せ、力が有り余ってコントロールできない状況じゃ
ありませんか?10代の頃って。

彼女の演奏シーンでは、その彼女の「全て」が全身で
表現されるわけです。
短期間の間に起こった火事、火傷、リハビリ、ピアノの練習。
それだけではなく、それ以前の彼女の人生すべて。

表現する、伝わるということが、それまでの彼女に起こった出来事を
もとに考えれば、しっかりとした説得力を持って読む者に伝わるのです。

音楽の調べに乗った彼女の人生、生き様を私もぜひ聞いてみたい。

きっと涙が止まらなくなるのではないかな。
本を読んでいても、涙が溢れてしまったから。

 

 

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

さよならドビュッシー (宝島社文庫)