ぬこのイラストブックれびゅう

ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

相続にモメたら「相続仮面」に相談だ!!

相続仮面』のイラストブックレビューです。

編集

所長とスタッフ合わせて3名の、小さな税理事務所に勤める慎吾。
相続の相談が日々舞い込み、親族が故人の財産を奪い合う姿に
ウンザリしていて、仕事にも身が入らない。そんな慎吾の目の前に
現れたのは、赤と銀の全身タイツ、クビに白いスカーフを巻き、赤い
マントを身にまとった「相続仮面」だった。相続仮面は相続に関わる
様々な問題を鮮やかに解決していく。

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相続する兄弟間での収入格差、兄妹間でどれだけ親の面倒を見てきたか、
亡くなった親に借金があった場合…など、様々な相続のケースから
発生する問題を、慎吾と相続仮面で解決していきます。

相続税についての概要から、それぞれのケースの対策法まで
ところどころ図を交えて解説しているのでわかりやすいです。
相続税の実例集、といったところですが、それぞれのケースについてリアルに
相続人達ががモメる姿があったり、遺産を遺す側、受け取る側の思いが描かれて
いたりと、人間ドラマが展開しており、飽きずに読み進めることができます。

相続、という言葉は若い世代では特に馴染みのない言葉かもしれません。
しかし、人は生きている限り何かしら所有するものがあり、亡くなったとしたら
それは残されたものが受け取る必要があります。

当然「受け取らない」という選択もありますが、そういった判断も含めて
相続税とはどんなものかを知っておくことが、遺す者、受け取る者の双方に
とって良い結果に繋がるのは間違いありません。

やり方によっては税金を最小限に抑える事ができる。
または税金を払ったとしても、別の資産を含めより多くの資産を受け取ることが
できる。そうした方法を、正義の味方、相続仮面が力強く、時にはやる気あんのか!
といったふざけた姿勢を見せつつ、わかりやすく解説してくれます。

人が亡くなることは、その人の築いてきたものを受け継ぐこと。
それは大変な事ですが、故人の思いはきっと、遺された人たちが幸せに暮らして
ほしい、ということです。そのために遺してくれたものは、最大限に
知識を活かして無駄なく受け取ること。それが故人の思いに応えることに
なるのではないでしょうか。

相続ことを楽しみながら教えてくれるおもしろ「相続小説」でした。

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世界最大のアヘン産地でアヘンを育てて吸ってみた

アヘン王国潜入記 』のイラストブックレビューです。

ミャンマーの北部に位置し、反政府ゲリラの支配区であるワ州。
アヘンの生産で生活が成り立っていて、常に政治的緊張感のあるこの地域に、
1995年、単身で乗り込んだ著者のルポルタージュ
芥子の種まきから採取までの7ヶ月間、現地で過ごした様子や実際にアヘンを
使った体験など、衝撃の事実を綴る。

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 少数民族が多数存在し、統治するのが困難とされるミャンマー
そのミャンマーの中でも中国との国境付近にあるワ州は、麻薬の「黄金の三角地帯」と
言われるエリアの一角に存在すします。平地が少なく、自分たちの食料を作る事すら
簡単ではない環境に住む彼らが手がけるのはアヘン。アヘンで得た利益を軍事費などに
投じているといわれています。

著者は学生時代に探検部に所属していたこともあり、誰も足を踏み入れたことの
ないような場所に行きたいと思い、この地を選んだようです。
そして、政治的なやりとりなどを中心とした上から目線のルポルタージュでは
なく、実際にアヘン原料である芥子の種まきから採取まで、現地の人と
生活を共にしながら作業を手伝い、そして芥子を育てている人々がどのような
暮らしをしているのか、同じ目線で見、感じたいと思ったのでした。

現在は国に反するゲリラ軍であり、かつては首狩り族であったというワ人。
血の気の多い、荒っぽい民族なのかと思いきや、礼儀正しくて物静かな
人たちだそうです。現地の人たちに入り込んで、芥子を育てる作業を手伝い、
途中マラリアにかかったり、ダニの襲撃に遭ったりと様々なトラブルに
見舞われながらも、住民からの信用を得て行きます。

著者は原因不明の体調不良に陥った時に、アヘンを吸わせてもらいました。
すると、不調感が無くなり、とても気分が良くなりました。モルヒネ
加工されれば薬なわけですから、正しい使い方と言えるかもしれません。
しかし、さすがは麻薬。その効果が抜けると途端にもとの不調に逆戻り。
本来は、麻薬の効果が効いているうちにじっくり体を休ませることで
回復につながっていくのですが、アヘンで体調が良くなった気がしてしまった
著者はそこからまた作業をしたり、近所のお宅へ飲みにいったりしていたので
全然具合が良くならない。で、またアヘンを吸う。完全に中毒です。

アヘンの収穫を手伝うと、収穫できた量の3分の1をもらえるそうです。
それを貯めていくと結構な量となり、売ればお金にもなるのですが
どうやって売ればいいんだ?って話です。おまけに著者は、体調が
良くなってからはアヘンを吸う量が増えたので、この手持ちのアヘンが
徐々に減っていくことになります。リアルなアヘン体験記です。

頭の隅では「いかん、もうやめよう」と思っているのに、目の前に
あるとつい手を出してしまう。制御不能になっていく、そして禁断症状などが
詳細に語られ、やはり手を出すものではないな、と思います。
ちなみに著者はこのワ州を出ると同時にアヘンの摂取を止めたので、
二、三週間の禁断症状ののち、すっぱりと手を切ることができたようです。

山の奥の、政府の介入の手が届かない、少数民族の素朴な人々。
学校も、病院もなく、特定の宗教もない。裸足で歩き回り、祝い事があれば
豚を絞めて皆に振る舞う。酒を酌み交わす。
世界の経済や社会から隔絶されたような、静かなこのワ州では、世界の一部が
強く求める白い花=アヘンを作っています。

高価格で取引される麻薬ですが、この集落は豊かさとは無縁です。
この集落に生き、この集落で死ぬ、という人たちです。
それはひと昔前の古き良きアジアの国を見るようなあたたかな気持ちにさせてくれますが、
一方で政府との対立という現代社会の暗い部分を併せ持つという、不思議な状況です。
麻薬を生産していてもこの集落ではほとんど吸う人がいないこと。
集落の人々はもうけていないこと。いろいろな歪みも見えてきます。

現代社会において麻薬は悪であり、存在してはならないもの。
しかし、実際にその麻薬を育てる人々がいる。その「善悪の彼岸」に
足を踏み入れた著者が見てきた真実をありのままに語ったルポルタージュです。

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自分自身から逃れられない悲しみを叫ぶ

生きてるだけで、愛。 』のイラストブックレビューです。

編集

 

25歳の寧子は、津奈木の家に押しかけて同棲し、3年になる。
鬱からくる過眠の症状から引きこもりがちになり、バイトも続かない。
その寧子のもとへ、津奈木元カノだという女が現れ、寧子を攻めたてる。
働いて自立しろ、と迫り2人で入ったイタリアンの店でバイトしろという。
何とかバイトをはじめてみる寧子だったが。

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昔から気分にムラがあり、たまに奇行に走る寧子は、高校の頃に
全身の毛を剃ってみたことがある。髪の毛、眉毛、脇毛、陰毛。
うら若き女性が毛なしのツルツルというのはなんというか、怖くもある。
剃った理由も、学校生活が何となくかったるい、とゆるめです。

寧子という人物はかなりエキセントリックな考えや行動持つ人間なのだ
ということがわかります。が、読み進めて行くうちに鬱病であることが
判明します。症状のひとつでもあるらしいのですが、眠くてたまらないので
ずっと寝ています。起きてはテレビを見たり、同じ症状を抱える人たちが集まる
ネットの掲示板にコメントを書き込んだりして、また眠る。

このように不安定な状況の時にはバイトもできず、彼氏の津奈木に頼る状況です。
しかし寧子は、思い通りに動かない自分の心や体にイラつき、津奈木に当たり
散らしています。そんな寧子に対してキレるでもなく、寄り添うでもなく、一定の
調子で津奈木は応えています。

ほぼ一日中ゴロゴロしていた寧子のとへ、津奈木の元カノだという女が
やってきて、津奈木と別れるように寧子に迫ります。散々毒を吐かれ、
まずは自立して家を出ろ、とバイトまで手配されてしまいます。

反撃する気力もなくバイトをはじめた寧子。お店のオーナーやスタッフは
とてもいい人たちで、寧子の鬱を治してあげよう!とまで言ってくれます。
寧子は時折混乱しながらも、もしかしたらこの仕事を続けられるのかも
しれない、と思い始めました。

しかし、またも奇行に走ってしまうのです。
それは、「理解してもらえない」という寧子の心の叫びだったのです。
家に戻った寧子は津奈木を呼び出します。

そして津奈木に向かって言うのです。

「あんたが別れたかったら別れてもいいけど、あたしはさ、あたしとは別れられないんだよね、一生。
(中略)あきらめなきゃ駄目なんだよね?いいなあ津奈木。あたしと別れられて、いいなあ」

寧子が自分にどれだけ絶望しているか。ほかの人間になれない悲しさ。
心も、体もコントロールが効かない。それでもずっと子の自分で生きて行かなくちゃ
いけない。そんな寧子の気持ちが叫びとなって溢れてきます。
こちらまでその悲しみに心を絞られるようです。

あやふやなように感じていた津奈木と寧子の関係ですが、津奈木は津奈木なりに
寧子を見守ってきたことがわかります。生きているだけで、そこに愛があったのです。
言葉のやりとりや態ではわからない愛情、そして自分に対する絶望。
満たされきれない思いに満ちているのですが、それでも生きている、
生きていくのだ、ということを感じさせてくれる物語です。

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女として生きるってどういう事なのでしょう

悪いものが、来ませんように 』の

イラストブックレビューです。

 

助産院の看護助手として働く紗英は、夫の浮気と妊娠できないことに
悩んでいた。そんな紗英心の支えは育児中の奈津子。彼女もまた
悩みをかかええ、紗英と過ごすことで安らぎを感じていた。
そんな中、紗枝の夫が他殺死体で発見される。犯人は誰か、そして
その動機は。驚きの結末に身を震わす、心理サスペンス。

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紗英、奈津子、紗英の妹・鞠子。
それぞれの女性たちが悩みや葛藤を抱えて日々暮らしている様子が
描かれます。紗英や奈津子について、第三者が語る、という形も
ところどころ入り、彼女たちの人となりや事情が次第に明らかとなって
いきます。

紗英の夫、大志の死が明らかになるのは物語の中盤。
彼の死は偶然だったのか、必然だったのか。
また、犯人だとされる人物は本当に殺意を持っていたのか、いなかったのか。
なぜ死体は自宅から離れた山の中で発見されたのか。

事件の内容自体は物語を読めば簡単にわかることですが
複雑なのは出来事ではなく登場人物の心です。複雑に絡み合った挙句に
こんな結末になってしまった、と言えます。

自分を誰よりも深く理解してくれる人物に依存し過ぎたために起こった
悲劇。紗英は被害者でもありますが、奈津子に依存していたことに気づき、
自分自身が一人で立つという強い意志を持って生きていれば、起ることの
なかった事件なのかもしれません。

結婚、出産、仕事。女だからこそ得ることのできる喜びと苦しみが
登場人物たちからひしひしと伝わってきます。人に依存することは
相手の価値観も自身の身にまとい、本当の自分の感じ方や喜びを
見えなくしてしまう可能性があることを教えてくれます。

女として生きる事、その喜びの定義は、自分に適しているので
しょうか。女として生きるっていったいどんな事なのでしょう。

構成が見事な心理サスペンスではありますが、「自分自身の足と頭を
使って生きなさいよ」というメッセージが込められているように
感じた物語でした。

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怖いけど懐かしくもある、もののけを追う珍道中

逢魔が時に会いましょう 』の

イラストブックレビューです。

 

大学四年生の高橋真矢は、アルバイトで民俗学者である布目准教授の
助手を務めることになった。布目の調査対象はなんと「座敷わらし」。
子供が沢山いる一般家庭に多く出没するという座敷わらしの姿を
真矢はビデオカメラにおさめることができるのか。

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映画研究会在籍で、体力に自信のある真矢と、体が細くて頭がボサボサの
布目のデコボココンビが座敷わらしや河童、天狗などの正体を探るべく
目撃証言の出た地域へ出向き、調査を進めます。

就職せずに、好きな映画を撮り続けたい。それには大学院に行かなくては。
しかし親に反対されて、仕送りも止められた真矢は金欠の危機に。
そこで紹介されたのは、民俗学の調査を手伝う、というアルバイト。
担当准教授の布目は頭ボサボサの無精髭、分厚いメガネをかけた男性。
調査の様子をビデオカメラで撮影してほしい、とのことだったのですが
その対象というのがなんと「座敷わらし」。

最初に訪れたのは子どもが八人もいる一般の家庭。
人数分のスイカを用意しても、一人分足りなくなる。
皿を上からカメラで撮影したところ、八人分の手が皿に伸びていた。
そして、父親が抜き打ちで点呼。一、二、三、四…と声を上げる子供たち。
八までの声を聞いた後、その家の末っ子はオムツを履いた赤ちゃんで、
まだ喋れないのだ、という話を聞く…。

ぞわぞわしますねえ。
はっきりとした座敷わらしの姿をカメラでとらえることができなかったため
場所を変える二人。次は、以前座敷わらしがよく出ていたという屋敷の
あった場所に、新たに建てられた幼稚園です。ここでも、不思議なことが
起こっています。何度数えても園児の数が一人多い。誰が描いたのか
わからない絵があるなど。

布目は園児たちに向かってゲームをはじめます。
一番最初に手を上げた人が勝ちゲーム。
朝、パンを食べてきた人。朝、ご飯を食べてきた人。プリンが好きな人。
あん団子が好きな人。四歳の人。五歳の人。
つぎつぎと手を上げる園児たち。

座敷わらしの人。

はいっ

これはスクープだ!とカメラを向ける真矢。
失敗に気づき、カメラを向けられ恐怖の悲鳴をあげる座敷わらし。
座敷わらしが姿を消した後、真矢は座敷わらしがもとはどのような存在であって
現在のような解釈になったのか、という推察を布目から聞きます。
それは、厳しい時代に生きることができなかった悲しい子供たちの
思念とも言えるようです。

古くから伝わり、日本人であれば誰でも知っているようなもののけたち。
その存在は、人々の生活と密接に結ばれていて、怖い存在でもあるけれど
忘れてはいけないものなのだ、という事を気づかせてくれます。

現代では、おおよそのところが検証により事実に近い状況を推察できる
ようですが、それでも解明しきれない部分がある事を、物語の中では
描かれています。日本人の根っこの部分を形成する要素とも言えるかも
しれません。だからこそ、こうしたもののけたちは、私たちにとって
怖くもありますが、どこか懐かしく、郷愁を誘うのです。

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いるよねー、とうなずきたくなる「まったくもう」な人々

二人の彼』の

イラストブックレビューです。

 

女子校の同窓会にきた同級生、会社を突然辞めてしまった夫、35歳になった
娘のためにいまでも弁当を作って持たせてくれる母、前妻と別れて
自分と結婚してくれた夫の真実。ちょっと面倒な、でもやっぱり
大切に思う身近な人たちを描いた物語。

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女子校に通った高校時代、不愉快な発言をしては場を凍らせていた
あの子。クラス会で久しぶりに会ってみたら、相変わらずだった。

夫が突然会社を辞めた。次の仕事を探しなさいとハッパをかける妻。
しかし、のらりくらりとかわす夫。そのうち夫は、家事に喜びを
見出したようで…。

35歳で会社に勤める娘のために、未だに立派な弁当を毎日作り、持たせて
くれる母。娘や家の事以外に興味を持って欲しいと思う娘なのだが。

夫に別れた奥さんと子供がいる事は知っていた。慰謝料を毎月払っていることも。
でも支払先は3件。え、なんで?と問いただすと、なんと元奥さんは3人いると
いうではないか!

と、このように身内にいたら結構面倒だなあ、という人たちが登場する
10編を集めた短編集です。迷惑をかけている方の人は、悪気がなく、ごく
自然にふるまっているのだけれども、結果的にはやらかしてしまって、
周りの人がその後始末をしてまわる。そんな関係性が見られます。

やらかす困ったちゃんが、親しくない人間であれば、関係を切ることも
できるでしょうが、母や妹、夫などはそう簡単にはいきません。
こちらが、一生懸命世間的に正しい道へと誘導しようとしても、聞く耳すら
持たない相手には、話を聞いてもらうどころが、向こうのペースに
巻き込まれかねません。

こんな面倒くさい人が身近にいたら嫌だなあ、今のところいないみたいだ
よかったなあ、と思いながら読みすすめていましたが、ふと気付きました。

もしや自分が人をトラブルに巻き込む困ったちゃんなのでは…?

その可能性を全力で否定できないことが悲しくもありますが、裏を返せば
お世話してくれたり、助けてくれる人が周囲にいてくれたのだと解釈し、
とにかくそんな風に手を差し伸べてくれる人の話に、真摯に耳を傾けようと
心に誓ったのでした。

いるよねーこんな人、とうなずくはずが自分が人にうなずかれているのかも
しれないと思わせてくれる作品です。教訓:人のふり見て我がふり直せ。

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進化型ミニマリストは常に変化し続ける

手ぶらで生きる。 見栄と財布を

捨てて、自由になる50の方法 』の

イラストブックレビューです。

 

お金や時間、人間関係など、不安を生み出す要素を取り除き、
自分自身のための生き方を手に入れる。そのためのノウハウや
考え方を解説。

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ミニマリストとして、月間100万PVを超えるブログを運営する著者の
生き方と考え方を紹介した本です。
福岡県の四畳半のマンションに住み、財布は持たず、冷蔵庫も持たず、
床にそのまま寝る。食事は1日1食。60万円以上は貯金しない。
などなど、一見修行僧のようにも見えるその生活ぶりですが、
実は結構豊かな内容のようです。

その生活の詳細ですが、日常の支払いはほぼiphoneのApplepay、カード、楽天pay
などを使用。どうしても現金が必要な時だけ、必要な分のお金を持ち歩くので、
財布はいらない。財布を落とすと、お金を失くすリスクが発生するが、
電子マネーだとデータが残り、お金の動きがわかる、ポイントがつくなど
メリットが多くある、とのこと。

また、冷蔵庫がないので、刺身など悪くなりやすいものは買ったその日の
うちに食べます。家に置いてあるのは常温で保存可能な玄米、サツマイモ、
缶詰など。そして野菜をたっぷりと摂り、タンパク質は缶詰や刺身など
魚類で摂り入れる。玄米、野菜たっぷりスープ、新鮮な魚の刺身など
バランスのとれた食事ではないですか。それを、人間本来の生きていく力を
有効にするために、1日1食として味わって食べるといいます。

食材をある程度決めておくことでメニューを考えるストレスからも解放され、
同時に健康も手に入れられるという、まさに一石二鳥ですね。ただし、
食いしん坊さんにはちょっと難しいかもしれません。健康には確かに良いようで
著者の場合はアトピーの症状が改善されたそうですよ。

いろんなものを最低限にして、なるべくミニマルに暮らす著者。
それでいて、洗濯乾燥機はいいものを使っていますし、iPhoneは常に最新機種で
Mac bookも持っている。ゲーム機もあればカメラもある。
ブログを書いている関係もあるとは思いますが、お金をかけているところには
かけているわけです。要は、どこにそのお金をかけるのかということ。

著者は若い男性の一人暮らしなので、こういった形のミニマルな暮らしに
なっていますが、女性の一人暮らしや夫婦、親子など状況によって暮らし方や
必要なものも異なると思います。各々の視点で、自分が必要とする、または
必用としないものを見つけていくと良いでしょう。

著者が提唱する50の自由は、生きていくうえで、私たちが知らぬうちに
縛られている何かを気づかせてくれて、その束縛から解放されるための
気づきを与えてくれます。
そして、今の状態に立ち止まることなく、常に変化に対応し続け、その
変化を楽しんでいるようにも見えます。そうした姿勢は、これからの
変化の時代において最強の存在と言えるかもしれません。

何も持たない空間から生まれてくる、豊かで満ち足りた自分自身。
モノが「ある」ことで、得るものの良さが分からなくなった時は、モノがない、
スッキリとした空間を、自分が必要としている、と解釈し、自らそうした
環境づくりはじめてみてはいかがでしょうか。

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