ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

あなたが預けたいものはなんですか?

あずかりやさん 』の

イラストブックレビューです。

([お]15-1)あずかりやさん (ポプラ文庫)

([お]15-1)あずかりやさん (ポプラ文庫)

 

「1日100円でどんなものでも預かります。」
東京の下町にある商店街のはじでひっそりと営業するあずかりやさん。
紺地に白抜きでさとう、と書かれた暖簾が目じるしです。
様々な事情を抱えたお客たちが、預かって欲しいものを持って
お店にやってきます。

 

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まずあずかりやさん、という職業にびっくりです。
何だそれは??何を預かってくれるのか?ナマモノは?
大きなものは?いろんなことが気になります。
さわりの部分だけで、だいぶひきこまれてしまいました。

店主は目が見えません。それで、お客さんはなんとなく安心して
モノにまつわる話や、全く関係ない話をしたりして、モノを預けたり
預けなかったりします。話している間にやはり手もとに置いて置こうと
思ったりするのでしょう。そんな意味では店主はお客さんに対して
カウンセラーの役目を果たしているのかもしれませんね。

モノを手放さなくてはいけなくなった背景には、お客さんの様々な
事情が絡んでいます。自分が持っていると困るもの、見るのも
嫌なもの、生き方が変わってしまうもの、とっても大切なもの。
お客さんたちは、そのモノをいったん自分の手から離すことで
モノに対する考え方を見直し、時には自分の生き方までも
見つけることがあります。

店主は誠実のかたまりが服を着ているような人間で、大事に
モノを扱います。そして、お客の心もいっしょに預かって
いるようです。お客の心に寄り添い、歩き出そうとする背中を
見守ってあげるような、静かな優しさに満ちています。

短編集なのですが、お話ごとに語り手が変わります。
暖簾、ショーケース、自転車、猫…。
彼らから見た、お客や店主はおもしろく、とっても魅力的に
うつります。そんなファンタジー要素を含みつつ、
こんな店があったら、ぜひ訪れてみたいものだ、と思ってしまいました。
誠実な店主に何を預けようか。そんな事を考えるのも楽しい、
心がじんわりとあたたかくなる、やさしい物語です。

カゴの中の鳥が生きていく世界

滔々と紅』の

イラストブックレビューです。

滔々と紅 (ディスカヴァー文庫)

滔々と紅 (ディスカヴァー文庫)


 

 

天保八年、飢饉の村から九歳の少女、駒乃が江戸吉原の遊廓へと
口入された。駒乃は吉原のしきたりに抗いながらも、花魁として
成長していく。忘れられぬ客との出会い、訪れる悲劇。
吉原を生き抜いた彼女が最後に下す決断とは。

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九歳で遊廓の世界へと足を踏み入れた駒乃。勝手に名前を
つけられたと言っては怒り、ありんす言葉が変だと嫌がる。
無力である少女ながら気が強くて跳ねっ返りです。
翡翠(かおとり)花魁のもとで吉原の世界を学んでいきます。

吉原における女の買いかた、遊廓で遊ぶ手順、花魁とのやりとり。
これらが詳しく描かれていて、へえなるほどねえ、と頷いて
しまいます。子どもの頃から吉原に入り、段階を経て花魁になる。
花魁になると駒乃のような少女、禿を数人抱えることとなり
彼女らの生活にかかる費用も花魁持ち。客が料金踏み倒せば
花魁持ち。厳しい世界ですね。夜の銀座の世界に通じるものが
あるかも。

そして強烈なのが遣り手ばばあと呼ばれる、見世の一切合切を
取り仕切るマネージャーのような存在のお豊。
遊女に病人が出れば容赦なく追い出し、ケチれるところはとことんケチり、
遊女がやらかせば全力で折檻する。これはヤクザというのがぴったり。
それが、女が女に対してする仕打ちなものだからエグい。
物語の中でスパイス的存在となっていていい味出しています。

好きな男ができても一緒になる事も叶わず、病気になれば追い出され
なお一層立場を下げて生きていかなくてはならない。そんな自分の
将来に絶望して自ら命を絶つ者も少なからずいます。
駒乃は飢饉の村から来たため、死は身近なものであり、恐怖の対象では
ありません。それでも目の前のことに怒り、喜び、直感的に行動する
駒乃は野生の、頭が良い動物といった印象です。

その能力を活かしてどんどんと出世を重ね、若くして花魁へと登り
つめます。そこでも心を揺さぶる出来事が起こり、彼女を
ある行動へと掻き立てるのです。
一見生きることに執着のないように見える駒乃ですが、日々目の前の
ことをこなししっかりと生きています。自分の将来に期待もしていないが
絶望もしていない。そんな軽やかな姿勢が、彼女に新しい未来を呼び込んだ
のかもしれません。

厳しい世界を生き抜いた女性の物語。したたかに、そしていつでも
自分というものをしっかりと持っている人間というのは、どこででも
生きていけるということを教えてくれるお話です。

通り過ぎてなお くすぶるような恋愛物語

あとかた 』の

イラストブックレビューです。

あとかた (新潮文庫)

あとかた (新潮文庫)


 

 

実体がないような男との、演技めいた快楽。
結婚を控え変化を恐れる私の身体に男が遺したものとは。
傷だらけの女友達が僕の家に住み着いた。彼女とは絶対に
体の関係を持たない。かけらが少しずつリンクしていく
6つの恋愛短編集。

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5年も一緒に暮らしてきた彼との結婚を控えた私。
同じ形を保つために結婚という形を取る。しかし、彼との間に
変化は容赦なく訪れる。そのことを考えると何とも言えない気持ちに
なり、身体の中から何かが滲み出してしまうような感覚を覚える。

そんな時に出会った男は、思いつきで喋り行動するようないい加減な
人間だった。男とは、都合の良いときに身体を重ねるだけの、
形などない気軽な関係であるはずだった…。

結婚を控えた彼との、輝いていた頃の互いを良く覚えていて、今の落ち着いた
関係も納得できるし、彼のことを大事だと思っている。でも、
次第に身体も心も関係性も変化していくことに納得しながらも
自分の身体の中から何か滲み出してしまうような気分になってしまう。

その滲み出した部分を埋めるのは、別の男。しかしこの男も
彼女と同じ空白を持っていて、それが二人を共鳴させたのかもしれません。
あと腐れない間柄だった二人の関係ですら、変化することに
女は愕然とします。二人とも客観的に自分を見ていますが、
それぞれのその視線の先にはっきりと相手を見てしまう瞬間が
あります。その瞬間に、相手のことを自分に焼きつけてしまうのです。

二人の関係は終わりを告げますが、通り過ぎてもなお、弱く光を発し、
小さな火が燻っているような、そんなチリチリとした痛みを感じる
恋愛の物語です。

他の五編の物語も、暗闇の中で淡く光る小さな火のような、そんな
思いを描いています。浮気相手、友人、滅多に会えない恋人。
決して口に出せないような関係もありますが、思いがけない瞬間に
愛がそこにあったのだということを気づかせてくれる、そんな
恋愛連作短編集です。

仏像の意味や役割を楽しく学ぼう

編集

やさしい仏像 一生モノの基礎知識』の

イラストブックレビューです。

マンガで教養 やさしい仏像

マンガで教養 やさしい仏像


 

 

仏像の基礎がマンガでわかる。
如来、菩薩、明王、天部がもし会社で働いていたら??
インターンとして仕事の体験をしながら、それぞれの仏の
意味や役割を学んでいきます。

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仏カンパニーへ就職したOL、知子は先輩で小鬼のジャッキーの
案内で、仏たちの仕事を手伝ったり体験したりしながら
仏について学んでいきます。

仏の世界は上から4種類。
もっとも上部にいるのが如来。悟りを開いた存在です。
釈迦如来薬師如来阿弥陀如来大日如来などがいます。
会社で言うところの、社長、役員クラス。

二番目の位置にいるのが菩薩。人々の願いを叶える役目です。
十一面観音、千手観音、如意輪観音など6人の観音が修羅道
餓鬼道、天道などの6つの世界ごとにそれぞれ存在します。
会社では部長クラス。

三番目の位置にいるのは明王。怒りの表情で敵を従わせます。
不動明王を中心とし、東西南北に金剛夜叉明王大威徳明王軍荼利明王
降三世明王五大明王として存在します。
会社では説教くさい係長クラス。

四番目の位置にいるのは天部。もとはインドの神様で、仏教を守る立場に
変化した存在。
梵天帝釈天、吉祥天、弁才天など。
会社で言えば、転職組のためになかなか出世できない平社員。

最下層の五番目は羅漢・高僧。現世で教えを広める人々のことで、
釈迦の弟子であったり、実在した高僧などがこれに当たります。
阿難陀(あなんだ)、達磨(だるま)、羅睺羅(あごら)、
賓頭盧(びんずる)など。
会社に入るために就活中という立場。

と、会社の階層別になぞらえて、各仏の仕事の内容や
衣装、ポーズの意味合いを、美しいイラストで解説。
線が細く、優美な仏たちの姿を眺めているだけでも目の保養になります。

そして、お仕事の様子をマンガでコミカルで描いていて、仏の
激務ぶりに可笑しいやらありがたみが増すやら。
不眠不休で、人間の幸せに力を尽くしてくださっているのです。
まあ、神様だから当たり前なのかもしれないのですが、それを
会社の人間風に描いているところが、哀愁が漂っていたりして
またおもしろい。

今まで仏に地位や役割などの違いがあることも知らず、ざっくりと
神様、というイメージを持っていました。
これほどまでに担当エリアと仕事内容が異なるとは!
新鮮な驚きでいっぱいです。

仏像や、仏教の世界に少し興味を持った時に、大まかに全体像が
掴めるような内容です。
京都や奈良へ旅行に行って寺院を巡りたい。
そんな時に事前のテキストとして読んでおくと、仏像に出会ったときの
感慨もより深いものになるかもしれません。

ちなみに自分のお気に入りは弁才天。音楽と知恵を司る女神です。
才の部分が財に変わると、財宝の神様となるそうです。
七福神の一人になるわけですね。
それぞれの仏が見られる寺院も紹介していますから、まずはお気に入りの
仏様を探してから、寺院に訪れてみるの良いかも。
仏の世界をやさしく、楽しくおしえてくれる一冊です。

わが子と、ひとりの人間と向き合うということ

Aではない君と 』の

イラストブックレビューです。

Aではない君と (講談社文庫)

Aではない君と (講談社文庫)

 

 

元妻が引き取った息子の翼が、死体遺棄の容疑で逮捕された。
父として息子の何を理解していたのか?
世界が崩れるような感覚の中で、事件について一言も発しない
翼の本意を必死に探ろうとする。

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殺人事件を起こした中学生の息子を持つ父親の物語です。
妻とは離婚し、元妻が引き取った息子の翼と3ヶ月に一度程度
共に食事をしていた吉永。
仕事も順調で、現在の交際相手には近いうちにプロポーズするつもり。
そんな吉永にかかってきたのは、息子が同級生の殺害事件で
逮捕された、という元妻からの電話でした。

吉永は信じられない気持ちで翼と面会しますが、翼は
何も話そうとはしません。警察の取り調べをはじめ、弁護士にも
事件について一切口を開かないのです。

元妻は鬱病を患っており、今回のことでパニック障害も併発。
吉永は自分で弁護士を調べ、協力してもらうことにします。
面会においても翼に必死に話しかけますが、帰ってくるのは
激しい憎しみだったり、何も宿さない無表情な目つきだったり。

吉永が翼の、殺人犯の父親として腹をくくるには時間がかかります。
息子が逮捕された事を会社に隠したり、ネット上に殺人犯の母子として
写真を晒されてしまった事に対して、密かに自分でなくて良かったと
安堵したり。

息子と会う回数が減っていたのも、現在の彼女と交際していたことと
関係していて、お世辞にもいい父親とは言い難いです。
しかし、もし自分が同じ立場であったらどうか?
行動以前に、事実を認めるまでに相当時間がかかり、頭が働かなく
なるのではないかと思います。その点、弁護士を手配したりと
何か行動を起こしたのはまだマシと言えるかもしれません。

母親は、仕事が忙しく翼のことをよく見てあげられなかったという
負い目、父親も翼が会いたがっていた時に会ってやれなかったという
負い目から、翼と面会するときはどうにも及び腰です。
やがて殺人を認めた翼ですが、相変わらず事件については何ひとつ
語りません。そこで吉永は翼の付添人になる事を決意します。

翼が友人を殺害したのは壮絶なイジメが原因でした。
殺した事に罪悪感や反省の気持ちを持たない翼は、吉永にこう尋ねます。

心を殺すのはゆるされるのにどうしてからだを殺しちゃいけないの?

心を殺される事で、うまく生きていけなくなってしまう人もいる。
自殺まで追い込まれてしまう人もいる。
でも心を殺したことは外から見えない。警察に捕まることもない。
吉永はうまく答えられずに、翼の反省を促すことはできませんでした。

その回答を息子にできるのは、翼が鑑別所から出所してしばらく
たってからのことです。アルバイトはじめてひとりでの生活も
板についてきた翼に、殺してしまった友人の家に、謝罪に行こうと
吉永が提案したときのことです。

たとえ翼の苦しむ姿を目の当たりにしなきゃいけなかったとしても、
生きていればこうやって話をしたり、作ってくれた料理を食べたり、
翼の成長を感じて喜ぶことができる。翼のことを見守っていられるんだ。
藤井さんにはもう叶わないことだ。

殺人を犯した自分に対して、生きていてくれて良かったと父親が
心の底から言ってくれた。そのことで、はじめて翼は殺した友人の
家族の心まで殺してしまった事に気がつくのです。
14歳という年齢は、個人差はあると思いますが学校と家が世界の
全てです。そこでイジメ受けるのは、学校が地獄になるということ。
家に戻っても頼りになる人間がいなければ、地獄から脱出する術は
自分だけで考えなければなりません。
そして、地獄の度合いが激しければ激しいほど、思いつめてその状況を
終わらせようとするでしょう。

翼は決してひねくれた子供ではなく、根は素直で優しい性質です。
そんな彼が追い詰められていく状況は痛ましく、親として何か
助けてやれなかったのかと、読みながら歯噛みしてしまいます。
しかし、起こってしまった事は消す事は出来ない。
どうであれ、生きていかなくてはならず、どこまでも子どもに
寄り添い、サポートしていかなくてはならないのです。
そして、少なからず、そこには成長を見守ることができる、という
喜びも伴うものなのです。

わが子と、ひとりの人間と向き合うということは、こんなにも
エネルギーと覚悟がいるものなのかと改めて考えさせられて
しまいます。読み進めていくのが苦しくなりますが、読まずには
いられません。今後の父子がどのように生きていくのか。
深い余韻を残す物語です。

 

 

世界が真っ白になる13歳最後の夏

クール・キャンデー 』の

イラストブックレビューです。

クール・キャンデー (祥伝社文庫)

クール・キャンデー (祥伝社文庫)

 

中二の夏、誕生日と夏休みの初日を前日に控え、胸を
弾ませていた渚。
そこへ入ってきたのは兄嫁の訃報。
そして、兄嫁にストーカーをしていた男が同日に変死し、
兄が疑われている。兄の無実を証明すべく、調査に乗り出す
渚だった。

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新宿の小田急の10階にある、STORYSTORYという本屋へ
よく訪れます。有隣堂の経営で、カフェと雑貨と本が
販売しており、カフェでは本とコラボした企画メニューも登場。
書店としての坪数は大きくはありませんが、フェアもいい視点で
選書されているので、じっくりと眺めたくなります。
作家別、分類別などの本の並べ方にも工夫を凝らしており、新しい
作家との出会いも多くあるため、毎回訪れるのが楽しい本屋さんです。

新刊の棚でこちらの本を見つけ、若竹七海さんの著書であるこことと
中学生が主人公というところに惹かれて購入しました。
帰ってからネットで調べてみたところ、この表紙の文庫が
どこにも見当たらない!何故だろう?とおもったら、こちらは
有隣堂の限定復刊本だったのです。おおお!
書店の企画で復刊できるなんてすごい!
有隣堂全体がこれいい!と思ったら復刊できるのですよ!

という事で、文庫で写真が表紙の『クール.キャンデー』をご希望の
際には、先ずは在庫を確認してからお求めになることを
オススメします。

↓詳細はこちらから
http://www.yurindo.co.jp/storeguide/59848

ちなみにアマゾンや楽天ブックスで求めると
イラストの表紙で、中古品となります。
刷数どれくらいだったのかな、気になるな…。

話はそれましたが、中学生の女の子、渚が兄の容疑を晴らすため
奔走します。渚は元気で活発、推理小説が大好き。
夏休みは古本屋でお手伝いして、報酬として本をもらって帰るくらいの
本好き。本で読んだ知識を活かして、聞き込みや現地調査に乗り出します。

友人とのやりとりも、時に賑やかに、淡い恋の予感も感じつつ
青春の世界が繰り広げられます。でも、基本的には渚という女の子は
ひとりで何でもやり遂げようとするところがあります。
それは、血が繋がらない兄も同じ。
それは、彼らが育ってきた環境も影響しているのかもしれません。

小さな事件が解決していくうちに、別の事実が少しづつ明らかに
なっていきます。後半部分は、謎が明らかになるにつれどんどんと
読んでいて不安を感じて、かえって引きつけられて目が離せません。
そして、最後の最後に衝撃の結末がやってくるのです。
いやはやさすが若竹七海さん。爽やかな青春推理小説かと思いきや、
見事にひんやりとさせてくれました。
残暑のひとときの、おともにぜひ。

埼玉県民は広い心を持っているのだよ

翔んで埼玉 』の

イラストブックレビューです。

翔んで埼玉

翔んで埼玉

 

 

パタリロ!』で知られる魔夜峰央の伝説の作品、『翔んで埼玉』。
強烈な埼玉ディスぶりに、埼玉県民はもう笑うしかない!?

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「埼玉から東京に行くには通行手形がいる」
「一生に一度は三越に行くのが埼玉県民の夢」
「病気になっても医務室は都民のもの」

などなど、強烈に埼玉県民をディスった本書。
設定としては、東京が優れた都市であり、文化度が高く住民も豊かである。
埼玉県民は文化的に遅れており、貧しく、肥溜めの匂いがしみついて
いる(ひどいな)。というか、ここまでくるともはや笑ってしまいます。

舞台は東京の都内でも評判の高い名門校。
ここへ、アメリカ留学から帰ってきた一人の学生が転入します。
魔夜先生お得意の見目麗しいその転校生、麗 麻実は
その美しさと文武両道な活躍で、たちまち人気者に。
それを妬ましく思う学園理事長の息子、白鵬堂百美。
…という昭和の香り漂う懐かしい設定です。

しかし、魔夜先生の細く美しい、スッキリとした線、そして
真剣な表情でおそろしくくだらないセリフを吐くところなんかは
パタリロを彷彿とさせ、懐かしい気持ちになります。

麗 麻実が埼玉県民とバレて逃げ、革命の機会を伺っていたところに、
白鵬堂百美が後を追って埼玉へとやってきます。
そこで、百美が何とサイタマラリヤという伝染病にかかってしまうのです。
サイタマラリアて(笑)!
百美を助けるために捕まりそうになった麗を救ったのは…。
と、テンポよく話は進みます。

3話で終わってしまうのがもったいない。
まだまだ展開が期待できそうなので、ぜひ30年ぶりに続きを執筆して
もらえないでしょうかね。

私は埼玉県出身なのですが、こちらはとても楽しく読めました。
読み終わった後、ぜひ埼玉県民と感想を共有したい!と強く感じました。
いちばんひどいと思った部分はどこ?とか(笑笑)。

坂が少なく、平らな土地が多い埼玉は、ものごとに対して大らかなのでしょう。
この強烈な埼玉ディスぶりにも、笑って読める埼玉県民の冷静さと心の広さが
この本をヒットさせた原因なのかもしれませんね。
埼玉のますますの発展を祈っております!