ぬこのイラストブックれびゅう

ぬこのイラストブックれびゅう

雑読猫、ぬこによるイラストブックレビュー。本との出合いにお役に立てれば幸いです。

子どもを育てるための情報のひとつとして活用

子どもを病気にする親、健康にする親』の

イラストブックレビューです。

 

子どもを病気にする親、健康にする親 (世界に満ちる毒から子どもを守れ)
 

 

ワクチン、フッ素、食品添加物スマホ…。
現代社会には毒が満ちている。
子どもを病気にするのか、健康にするのかは、まさに
親の知識とその判断にかかっているのです。

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インフルエンザ薬は危険、ワクチンがアレルギーや自閉症を作る、
フッ素はガンなどを引き起こす猛毒、砂糖は子どもを暴力的にする…
などなど、帯にある説明文だけで『ひえええ〜』となってしまう本書。

NPO法人薬害研究センター理事長でもある著者、内海先生は
『精神科は今日も、やりたい放題』や『医学不要論』など、世の中を震撼させるような
内容の著書を出している方です。

ワクチンについては、様々な医師の意見やサイトでの個人の主張を見かけます。
子宮頸がんワクチンの後遺症については、ニュースでも大きく報道された
ように、重篤な後遺症を引き起こす割合が比較的高い事が証明されました。
インフルエンザについては、効果がほとんどない事が実証されたために、
94年から学校での集団摂取が中止されたそうです。
そういえば、自分が子供の頃は学校で注射していたけれども、自分の
子供たちは全然していません。

この集団摂取中止のきっかけとなったのは、インフルエンザワクチンを打った場合と
打たなかった場合のインフルエンザ発症率を調べた群馬県前橋市の医師会による
レポートなのですが、統計データとしては使いものにならない、といった説もあります。
当時はインフルエンザワクチンの後遺症による被害が頻出したために、
このデータが追い風となって採用され、集団摂取中止の運びとなったようです。

個人的には、上記の点を踏まえた上で、小さな子供や老人、妊娠中の方などは
後遺症の可能性を頭に入れて摂取するかどうかを判断したら良いのでは
ないかと思います。インフルエンザになったために、重篤な事態を招いてしまう事を
心配するのか、予防接種による後遺症のリスクを心配するか、どちらかですね。

内海先生の主張は、どれも激しいように自分には感じます。煽り系ですね。
先生は、そうした主張に足る事由を、具体的に説明。気になる場合は、
ご自分でもっと詳しく調べてみてください、というスタンスです。

何気なく過ごしている日常には、子どもたちにとってこんな危険な可能性に
溢れているんだよと。まずは、親がその事実について認識するべきなのでは
ないでしょうか。
全ての項目において対処することは難しいかもしれませんが、できる範囲で
詳しい情報を調べて、できる範囲で対応をする。
そうやって、考えながら子育てしなさいよと、そう言われているような
気がします。

自分で考え判断し、行動できる子どもを育てなさい、と先生は述べています。
それには親自身が調べ、考え、行動する姿を、見本として子どもに見せていく事が
大事なのかなと思いました。

 

仕事も出産も全部自分の糧にして行く女たち

書店ガール 2 最強のふたり』の

イラストブックレビューです。

 

書店ガール 2 最強のふたり (PHP文芸文庫)

書店ガール 2 最強のふたり (PHP文芸文庫)

 

 

吉祥寺出店する大手書店チェーンに転職した理子と亜紀。
いままでと違った店長という職責に戸惑う理子。
そして、文芸書担当として張り切っていた亜紀は妊娠。
自分と周囲の考えのギャップに不安や怒りを覚えて…。

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今回は、新しい職場で、書店員の仕事に頑張るお二人の物語です。
理子は、店長という立場で仕事をしていますが、優秀な部下に恵まれ
自分が店長じゃなくてもいいのでは?などと考えたりしています。

一方、元気一杯の亜紀は、妊娠が発覚した途端に周囲から心配されたり、
実は夫が子供が産まれたら母として家にいてほしいと思っていた事が
分かったりして、イラだったり、歯がゆい思いをしています。

理子はフェア企画し、さすがの実行力でそれを達成します。
しかも、人々に寄り添う本の良さを知ってほしい、という一念で、
同業他社の書店や、果ては同じビルにある異業種の店舗まで巻き込んで
結果的に大成功となるのです。
この企画が育って行く描写にはワクワクします。
実際にこのフェアがあったら行ってみたい〜!!

理子の本が好き、という真摯な思いが多くの人を動かしたのです。
ホントかっこいい女性なので、こういう人、上司に欲しい。

亜紀はといえば、仕事もこれからというこの時期になぜ妊娠?と戸惑います。
夫は子供を産んだら母親が家で面倒を見るのが当たり前、などと発言して
仕事を辞めるなんて露ほど思っていなかった自分の神経を逆なでする。
なぜ女性だけが子供を産んだからといって変わらなくてはいけないのか。
そんな中、夫が務める出版社でトラブルがあり、夫の今後の働き方を
いやがおうにも考えなくてはいけない局面をむかえます。

自分の価値観をぶつけ合う若い夫婦が、トラブルにより時には反目し、そして
良い形で折り合いをつけていく。決して妥協ではなく、二人の最高の着地点を
見つけるのです。若い二人が1つの家族を形成した瞬間は、とても穏やかで
満ち足りています。亜紀が今後母親として、また新しい局面を備えて帰ってくるのが
楽しみになります。

理子のちょっとしたロマンスにも注目です。仕事ばかりではなく、一人の
女性なんだよ、というところも見ることができて親近感もわきます。

理子と亜紀、二人の女性は年齢も立場も異なります。
そして二人に訪れる出来事も当然違ったものです。
その出来事は、トラブルであろうと、良い出来事であろうと全て自分の糧とする、
力強さを持った二人なのです。
そんな二人に元気をもらえる物語です。

ゆるやかな昭和の空気が漂う 酒呑み風景

作家の酒』の

イラストブックレビューです。

 

作家の酒 (コロナ・ブックス)

作家の酒 (コロナ・ブックス)

 

 井伏鱒二池波正太郎三島由紀夫赤塚不二夫星新一など
26人の作家が愛した酒やつまみ、お店などを写真とエッセイで綴る。

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議論しながら飲む、散歩の途中で飲む、ぶっ倒れるまで飲む、
スマートに飲む…
とまあ、作家の数だけ酒との付き合い方もあります。

中でも印象に残ったエピソードは、立原正秋氏にまつわるもの。
ある日、仕事の区切りがついた立原氏が長男の潮さんに酒を飲もう、と誘います。
潮さんがつまみ担当で、昼に食べたすき焼きの残りにネギを再投入することを
思いつき、準備します。

戻れば立原氏が酒器の用意をして待っています。
そこには、一合ほど入る粉引きの徳久利と明川の盃がふたつ。
酒を飲みながら、夏ならばどんな酒器が良いか、という話になります。
立原氏は青磁のようなキリッとした器がよかろう、と言います。
もっと大ぶりな器ではどうか、と提案する潮さんに、
あれでは、飲み過ぎてしまう。それに緊張感が伴い酒が美味しくなくなる、
と答えます。

お酒を飲む時には、お気に入りの酒器でゆっくりと嗜んでいるのだろうな、
と感じさせるエピソードです。立原氏はいくら飲んでも乱れることはなく、
また、酒に酔って女を口説いたり愚痴を言う人間を嫌ったそうです。
綺麗に飲む方だったのでしょうね。素敵です。
器を含め、お酒を飲む時のたたずまい、といったものを大切にされていたのかなぁ、
なんて思いました。

他にも優雅だったり、ほぼアル中だったり、陽気だったりと
酒との付き合い方は本当に様々です。
都内にも現存するお店がいくつも出てきます。機会があったら行ってみたい
けれども、ゴールデン街なんかは敷居が高いので本を読んで行った気分に
なることにします。

写真に写る作家さんたちは、仲間や酒とともににこやかな表情を
されているものが多いです。時には飲まれてしまう作家さんもいるようですが
どの方にとっても、お酒は大事な存在であった様子がうかがえます。

少し色あせた昭和の香りが漂う、素敵な写真が多数掲載されています。
時間のゆったりとした流れ、そして作家たちの酒やつまみ、店や人への
愛しさが伝わってくるような、素敵な内容です。

世界が向こうからやってくる

日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは動く。』の

イラストブックレビューです。

 

日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは動く。

日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは動く。

 

世界50カ国、1000人以上ビジネスマンたちと出会ってきた
次世代の起業家が提案する、世界を舞台にして働くための入門書。

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グローバル世界と言われて久しい昨今。でも、現実として自分のまわりは
日本人だらけ。英語を話す必要性も感じない。
しかし、日本のこれまでの働き方では今後厳しくなっていくのは
事実なのでしょうね。

実際に上司は外国人だから英語でしか相談、報告できないとか、
外資系でなくてもそういった状況がすぐにでも訪れるのかもしれません。
楽天ファーストリテイリングではTOEICを社員全員が受けること、
取得点数を設定されたことで一時期ニュースになりましたよね。

本書はそういった現実的な状況を解説し、そのうえで世界という
舞台に興味を持って活躍している人たちの考え方、世界を選んだ理由などを
紹介しています。

世界がボーダレス化している中、外に目を向けようとしない日本は
非常に厳しい状況である、というようなネガティヴな状況であると言えます。
しかし、著者はその考え方を一転し、今の若者は『世界を楽しめる状況だ』
と主張しています。

むしろ、日本で生きていくには窮屈だなぁ、とか、これってすごいことなのに
なんで日本では評価されないんだろう?なんて考えを持っている人には
世界で活躍する素質が大いにあるわけです。

そして、後半では具体的な行動や方策について解説。
海外で働く方法としては、どんな種類があるのか。
英語を学ぶための手法、そして世界を舞台にして働く、という心構え。
順を追って説明しているので、イメージとしてつかみやすいです。

就職を考える際に、たとえば地方から東京に就職するような感覚で、
海外を就職先に選ぶ時代がやってきているのかな、と思います。

それは不安や恐れも伴う事ではあります。その壁のように見えるものは
実は壁ではなく、扉なのです。扉を開けると、新しい世界が、そこには
待っている、と著者は述べています。

世界へ開く扉はこんなにも広く多彩であり、期待に満ちている、
そんなメッセージが込められた、ワクワクする本でした。

人生のコツは深刻になりすぎへんこと

キオスクのキリオ』の

イラストブックレビューです。

キオスクのキリオ (ちくま文庫)

キオスクのキリオ (ちくま文庫)

 

 ノーと言えないおっちゃん、キリオ。キオスクで働く彼のもとには、
なにかを胸に抱えた人たちがやってくる。
なんだかおかしい、なんとも不思議な連作短篇集。

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最初の2作あたりでは、不思議な展開ぶりに、は?え?なになに?と
頭の中が????でいっぱいになったのですが、中盤から後半にかけて
じわじわと心に沁みてくる部分があります。

独り身で、生まれたときからおっさんでした、といった雰囲気を
醸し出している、それはそれはスタンダードなおっさんのキリオ。
問題を抱えた人達の様々な要望に対しても、困るわ~ 無理やがな~
と言いながらも結局話を聞いてあげたりお世話してあげたりします。

相手の問題を拒否せず、深刻になりすぎず。そんな距離感が絶妙です。
パッとしない地味なおっさんなのですが、やはり1人の人間として生きてきた
厚みも感じます。そこを相手に押し付けないバランス感覚、というのも
人生経験上で学んだ技術なのでしょうか。

なんとも不思議な短編集です。さらっと読もうと思ったら意外と深く
考えさせられたりする部分もあったり。
シミルボンでは書籍の画像が出ておりますが、購入したのは文庫本。
表紙のイラストのとぼけたキリオの表情が良くて購入しました。
このおっさんがあんなことを・・・ なんて想像しながら読むと
さらに楽しめるかもしれません。

 

腸のおしごとを楽しく学べます

脳はバカ、腸はかしこい』の

イラストブックレビューです。

脳はバカ、腸はかしこい

脳はバカ、腸はかしこい

 

 

免疫や伝染病研究の第一人者である藤田紘一郎先生が、
脳と腸の働きについてやさしく、楽しく解説。

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生物の歴史では、40億年前にまず腸ができ、そのずっと後の
5億年前にようやく脳が誕生したとのこと。
脳との付き合いはまだ浅いために、生物は脳をうまく使いこなせて
いないと著者は主張します。

ダイエットが失敗するのも、タバコがやめられないのも、
勉強に弱いのも、腸を鍛えてないから。
脳は目先の欲求に打ち勝つ事ができません。
腸を大事にする事でドーパミンセロトニンなどが脳に運ばれ、
良好な精神状態が作られます。
うつ病の方は腸の働きが活発でないというのは、よく言われていることですよね。

自分のことを振り返ってみると、心身ともに元気な時は、
食べすぎたり飲みすぎたりすることはありません。
しかし、ストレスが強くなると、暴飲暴食したり、普段は食べない
甘いものを食べたくなったりします。
そんな時はたいてい便秘気味。元気な時に無茶食いするとすぐに
お腹を下してしまうので…。

身体にいい食べ方は腸が知っているのですね。納得です。
ラーメンカレーと牛丼が大好きな夫には「あなたはいつも脳で食べているのね」
と言ったら納得していました。
夫は食べることでストレス解消しているそうです。
とはいえ、ぼちぼちカラダがついていかない四十代。
この本を読んで、多少なりとも腸を気にして生活して欲しいものです。

先生の語り口はとてもユーモアに溢れていて、とっても楽しく
読み進めることができました。
なかでも研究の一環として?かどうかはわかりませんが、ご自身の
身体に回虫を育てていらっしゃいます。うわああ。
こちらの回虫が腸の中で着床した瞬間を、我が子を妊娠したかのように
喜び溢れる描写で綴っておられます。もうおかしくて爆笑必至。

腸のプロフェッショナルが教えてくれる、腸のおしごと。
もっと腸を大事にしなくてはいけないなあと思わせてくれた、楽しい健康書
でした。

色々やらかす女性ホルモンと上手に付き合うコツ

女の曲がりカド プレ更年期がやって来た! !』の

イラストブックレビューです。

 アラフォー漫画家が、プレ更年期 に悩まされ、そして立ち向かう
体験コミックエッセイ。

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著者を襲うネガティヴ思考&イライラ、不眠、肌のかさつきなどなど。
赤裸々にその症状を描きます。

プレ更年期、とは聞いた事がある言葉ですが、その症状については
今ひとつ理解していませんでした。
実際、著者については今回のような症状となったわけですが、
必ずしもみんな同じ状態になる、といったものではありません。

女性ホルモン分泌量の減少は、誰にでも訪れるもの。
でも、アラフォーの自分にとっては更年期障害とはもう少し先の話かなと
漠然と思っておりました。とはいえ、白髪が増える、肌のハリが衰える、妙に汗をかく
など目に見える老化現象(または女性ホルモン減少による?)が出てきたため、
何か対策を講じなければいかんなと考えていたのです。

単純に高価な化粧品を使っても肌に合わないことも多いし、白髪を染めるために
ただでさえ苦手な美容院に頻繁に通わなければいかんのか?
そういう外的な事で解決したとしても、その対策をやめたら元どおりなのでは
なんか意味がないような…?

なんかもっと自然に、歳をとるスピードを緩めるような、歳を重ねても快適に
過ごしていけるような、そんな対策はないものか。
そして、身体の内側から元気になるには、女性ホルモンとの関係は必須なのでは?
などと考えていた時に本書に出会いました。
まあ、歳の取り方、身体の衰え方は人それぞれあります。
その中でも、女性ホルモンというのは目に見えないし、ハッキリとこれに効く!
というものでもない。
そのくせ、ありとあらゆる症状を、裏を返せばあらゆる効果をもたらすのです。

自身の不調が女性ホルモンの仕業と発見した著者は、食事、運動、サプリメント
など、様々な対策を実践します。このあたりは大豆が良いとか、運動したら
調子がいいとか、本当に内容としては普通なんです。
でも、不調の前後で比較してみたら、その効果には非常に説得力があります。
手法についても、体の内側から整えていく、というところに共感できます。
サプリメントについては、不足している栄養分を補う、ということですかね。

最終的には、病院でピルを処方してもらう、というところで落ち着きます。
ここまでいくのにも心無い医者にひどい言葉を投げつけられたりして気の毒です。
まだまだ理解が足りないお医者さんもいるですね。

若い頃にはピルというとなんだか怖いイメージがありました。
しかし、ホルモン補助という役目をしっかりと理解し、お医者さんの処方により
適切に飲用すれば、とても頼りになる薬なんだなあということがわかりました。

こうした心身の変調が来るのはまだまだ先の話か、それとも意外と近いのか。
ものすごく不調になるのか、それとも結構軽く済んだりするのか。
ビビリな自分としては、更年期障害やプレ更年期障害の一端を覗いてみたことで
少し安心材料をもらえたように思います。
日々、食事内容に気をつけて、適度な運動をし(これが難しいんだけど)
前向きに事態を受け入れられるよう備えたいと思います。
結果的に老化スピードが緩やかになることも期待しつつ。